"9年間消えた娘と「お姫様の部屋」" 第9話
「して!」
エリコは恐怖と痛みに顔を歪め、必に抵抗した。
彼女はで松尾の胸をい切り突きばし、拘束を振り解いて廊へと逃げした。
しかし、松尾の執は異常だった。
彼は背から彼女に襲いかかり、エリコの腰に太い両腕を回した。
そして、体をかけて彼女を引にへと引きずり倒したのである。
「やめて!」
は廊で激しくもみいになりながら、いていたユイナの部のへとなだれ込んだ。
に倒れ込んだエリコのに、松尾のい体が引にのしかかる。
彼の吐く、むせ返るような酒臭い息が、エリコの顔に直接吹きかかった。
エリコは恐怖で声もせず、探りでベッドの脇にあるサイドテーブルへとを伸ばした。
彼女の指先が、そこに置かれていたいピンクの象のランプに触れる。
エリコはそれをしっかりと握りしめ、力の限り松尾の側部に向かって振りろした。
ゴツッという鈍い嫌な音が響き渡る。
松尾は呻き声をげ、痛みに耐えかねてエリコのから横へと転がり落ちた。
エリコは今だとい、必にをいがってドアの方へと向かってろうとした。
しかし、を抑えながら素くちがった松尾に、彼女の首を掴まれてしまう。
松尾はり狂った顔でエリコの腕を引き寄せ、彼女の体を部の奥へと激しく投げばした。
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エリコの体が宙をい、彼女の背があの定な古いタンスに激突した。
凄まじい衝撃と共に、肺から全ての空気が絞りされる。
エリコは瞬識がびかけ、そのままへと崩れ落ちた。
その衝撃は、ただでさえ傾いていたタンスのバランスを完全に崩してしまった。
巨な製のタンスが、凄まじい軋み音をてながら、方へとゆっくり倒れ込んできたのだ。
バキッという、が避ける暴力な音が部に響き渡る。
湿気で歪んでいた板が、倒れたタンスの凄まじいみに耐えきれず、完全に陥没したのである。
片がび散り、にきな穴がいた。
そして、その陥没した板のに隠されていた、広な収納の空がきくをけたのだ。
もうもうといがる埃ので、エリコは咳き込みながら目をけた。
そして、その穴のに隠されていた信じられない景を目撃した。
暗いの空には、信じられないほど量の段ボール箱が、然と隠されていたのである。
箱のはいており、には数えきれないほどのVHSテープとVCDがぎっしりと詰め込まれている。
その景を見た瞬、狂暴だった松尾の態度が急変した。
彼の青い顔に、正気を失ったような狂気じみた笑みが浮かびがる。
「これだ……。俺は、これを探してたんだ……!」
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彼はまるで宝物を見つけた者のようににいつくばった。
そして、狂ったように穴のからテープをかき集め、自分の胸にく抱え込んだ。
エリコは痛む体を引きずり、彼に向かって叫んだ。
「何なのそれ!? やめて!」
エリコが彼を止めようとを伸ばすが、松尾は彼女を力任せに突きばした。
彼は両腕に量のテープを抱え込んだまま、弾かれたように階段を駆けりていった。
数秒、階の玄関のいドアが、激しく乱暴に閉まる音がに響き渡った。
エリコは荒い息を吐きながら、の巨な穴をただ呆然と見つめていた。
松尾が持ちったテープは、あのにあるもののほんの部に過ぎない。
まだ何本、いや何百本ものテープが、暗い穴ので気に息を潜めている。
エリコは震えるを伸ばし、松尾が慌てて元に落としていった本のカセットを拾いげた。
そのプラスチックのケースのラベルには、見覚えのある修平のきの文字が記されていた。
そこにはこうかれている。
『お姫様の部 ボリューム47』
あのカセットレコーダーに残っていた、無邪気な言葉。
しかし今、その言葉は、エリコにとって理解しがたいほどのおぞましいみを帯びていた。
エリコは壁にをつき、よろめきながらなんとかちがった。
警察を呼ばなければならない。今すぐに。
エリコの両は、自分でも制御できないほど激しく震えていた。
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