"9年間消えた娘と「お姫様の部屋」" 第2話
すれ違いの活ので、些細な論が次第に増えていった。
誰が用品を買いにくのかという、つまらない言い争い。
なぜ今の気代がこんなにいのかという、のない非難。
しかし、はそのりの根底にある本当の理由を痛いほどっていた。
お互いへの言葉にならない責めいと、守れなかったというい罪悪。
そして、事件の真実が全く分からないという、耐えがたいほどの圧である。
今から半ほどのことだ。
は、の奥底で気づいていたつの事実を、ついに言葉にして認めた。
このまま緒にいても、するユイナは決して帰ってこないのだと。
玄関のドアがく音がして、修平が戻ってきた。
彼は額に浮かんだ汗を、無骨なの甲で乱暴に拭っている。
6の午の空気は、肌を刺すように暑かった。
エリコのであるホンダ・シビックに、い箱を次々と積み込む作業。
それは、である彼にとってもかなりの労働だったようだ。
修平はエリコのにち、荒くなった呼吸をえた。
彼は部の隅に残ったわずかな荷物へと線を向ける。
「これでほとんどだ。あとはしだけだな」
エリコは作業を止め、ゆっくりとちがった。
彼女は階へと続く階段を見げ、しげに目を細めた。
「あの子の部にきたいの」
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エリコは静かな、しかし芯のある声で言った。
彼女は修平の方へと振り返り、懇願するように彼を見つめた。
「最にもう度だけ」
修平はわずかに目を見き、そしてその険しい表を柔らかく崩した。
彼はく頷き、エリコに優しい線を向ける。
「もちろんだ。残りは俺が積んでおくよ」
修平はそう言い残すと、元にあった別の箱を持ちげた。
彼は再び背を向け、エリコがで別れを告げるための静かなを作ってくれた。
エリコはさく息を吸い込み、階段へと歩み寄った。
彼女は製のすりに、そっとをわせた。
それは、このに引っ越してきたばかりの頃に、修平が自ら取り付けてくれたものだ。
エリコはすりの滑らかな触を確かめながら、見慣れた階段を段ずつ登っていった。
体をかけるたびに、古い板がギシッ、ギシッと軋む音をてる。
その音の響きのつつに、族で過ごした温かいいがぎっしりと詰まっていた。
エリコは階の廊をみ、ユイナの部のドアので静かにち止まった。
彼女は目を閉じ、震える胸を抑えながらく呼吸をする。
そして、たい属のドアノブにをかけ、ゆっくりと回した。
カチャリという音と共に、ドアが静かにく。
部のの景は、1991のあの恐ろしい夜から何つ変わっていなかった。
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壁面には、ユイナが好きだった鮮やかなピンクの壁が貼られている。
そこには、彼女が拙いつきで描いた、らしい蝶々の絵がそのまま残されていた。
部の隅には、とりどりのシールがベタベタと貼られたいタンスが置かれている。
その横にあるさなベッドには、リカちゃん形柄の子供用布団が綺麗に掛けられていた。
この部ので唯変わってしまったのは、壁にある窓だけだった。
そこには、事件のになってから取り付けられた、遅すぎたしい鍵がっている。
さらに側には、酷な現実を象徴するような、頑丈な鉄格子がはめ込まれていた。
エリコは部の央にち、あの10の夜の記憶を鮮にい起こしていた。
その、彼女は病院で過酷な連続勤務をこなしていた。
午3を回り、ともに疲れ果てた状態で自宅へと帰宅したのだ。
のは静まり返っており、夫の修平はすでにい眠りについていた。
エリコはいつもの習慣で、音を忍ばせてユイナの様子を見に部へと入った。
しかし、そこで彼女を待っていたのは、無にも空っぽになったベッドだった。
きくけ放たれた窓からは、10のたいのが吹き込んでいる。
そのが、らしい柄のカーテンを気に揺らしていたのだ。
通報を受けた警察の捜索は、徹底なものだった。
鋭い嗅覚を持つ警察犬が投入され、空からはヘリコプターがサーチライトでを照らした。
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