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"9年間消えた娘と「お姫様の部屋」" 第2話

すれ違いの活ので、些細な論が次第に増えていった。

誰が用品を買いにくのかという、つまらない言い争い。

なぜ今気代がこんなにいのかという、のない非難。

しかし、はそのりの根底にある本当の理由を痛いほどっていた。

お互いへの言葉にならない責めいと、守れなかったというい罪悪

そして、事件の真実が全く分からないという、耐えがたいほどの圧である。

今から半ほどのことだ。

の奥底で気づいていたつの事実を、ついに言葉にして認めた。

このまま緒にいても、するユイナは決して帰ってこないのだと。

玄関のドアがく音がして、修平が戻ってきた。

彼は額に浮かんだ汗を、無骨なの甲で乱暴に拭っている。

の午の空気は、肌を刺すように暑かった。

エリコのであるホンダ・シビックに、い箱を次々と積み込む作業。

それは、である彼にとってもかなりの労働だったようだ。

修平はエリコのち、荒くなった呼吸をえた。

彼は部の隅に残ったわずかな荷物へと線を向ける。

「これでほとんどだ。あとはしだけだな」

エリコは作業を止め、ゆっくりとがった。

彼女は階へと続く階段を見げ、しげに目を細めた。

「あの子の部きたいの」

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エリコは静かな、しかし芯のある声で言った。

彼女は修平の方へと振り返り、懇願するように彼を見つめた。

「最にもう度だけ」

修平はわずかに目を見き、そしてその険しい表を柔らかく崩した。

彼はく頷き、エリコに優しい線を向ける。

「もちろんだ。残りは俺が積んでおくよ」

修平はそう言い残すと、元にあった別の箱を持ちげた。

彼は再び背を向け、エリコがで別れを告げるための静かなを作ってくれた。

エリコはさく息を吸い込み、階段へと歩み寄った。

彼女は製のすりに、そっとわせた。

それは、このに引っ越してきたばかりの頃に、修平が自ら取り付けてくれたものだ。

エリコはすりの滑らかな触を確かめながら、見慣れた階段を段ずつ登っていった。

をかけるたびに、古い板がギシッ、ギシッと軋む音をてる。

その音の響きのつに、族で過ごした温かいがぎっしりと詰まっていた。

エリコは階の廊み、ユイナの部のドアので静かにち止まった。

彼女は目を閉じ、震える胸を抑えながら呼吸をする。

そして、たい属のドアノブにをかけ、ゆっくりと回した。

カチャリという音と共に、ドアが静かにく。

景は、1991のあの恐ろしい夜から何つ変わっていなかった。

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面には、ユイナが好きだった鮮やかなピンクの壁が貼られている。

そこには、彼女が拙いつきで描いた、らしい蝶々の絵がそのまま残されていた。

の隅には、とりどりのシールがベタベタと貼られたいタンスが置かれている。

その横にあるさなベッドには、リカちゃん形柄の子供用布団が綺麗に掛けられていた。

この部で唯変わってしまったのは、壁にある窓だけだった。

そこには、事件のになってから取り付けられた、遅すぎたしい鍵がっている。

さらに側には、酷な現実を象徴するような、頑丈な鉄格子がはめ込まれていた。

エリコは部央にち、あの10の夜の記憶を鮮い起こしていた。

その、彼女は病院で過酷な連続勤務をこなしていた。

を回り、ともに疲れ果てた状態で自宅へと帰宅したのだ。

は静まり返っており、夫の修平はすでにい眠りについていた。

エリコはいつもの習慣で、音を忍ばせてユイナの様子を見に部へと入った。

しかし、そこで彼女を待っていたのは、無にも空っぽになったベッドだった。

きくけ放たれた窓からは、10たいが吹き込んでいる。

そのが、らしい柄のカーテンをに揺らしていたのだ。

通報を受けた警察の捜索は、徹底なものだった。

鋭い嗅覚を持つ警察犬が投入され、空からはヘリコプターがサーチライトでを照らした。

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