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"9年間消えた娘と「お姫様の部屋」" 第1話

1991のことだった。

埼玉県の静かなを、ある信じがたい事件がきく揺るがした。

の幼い女が、突然の失踪を遂げたのである。

彼女は、い眠りについているに、まるで煙のように姿を消してしまった。

夜勤けの疲れ切った体を引きずり、母親が自宅へと帰宅したのことだ。

彼女が目にしたのは、無残にも空っぽになった娘のベッドだった。

そのすぐ脇にある窓は、たいを招き入れるかのようにきくけ放たれていた。

事件はがかりのないまま、残酷にもだけが過ぎていった。

しかし、それから9というい歳が流れたのことである。

母親は、娘が残した古いおもちゃの録音テープを偶然に見つけることになる。

彼女は震える指先で、そのたいプラスチックの再ボタンをく押し込んだ。

その瞬、彼女のび込んできたのは、決して聞くべきではなかった恐ろしい音声だった。

それは、数々の凄惨な事件を見てきたベテラン捜査官たちでさえ、完全に言葉を失ってしまうほどの内容だった。

あまりにもおぞましく、そして残酷な真実へと続くい扉が、ついにかれたのである。

そのの午

エリコは、かつて自分のだった所のっていた。

彼女の線は、元に置かれた最の段ボール箱に向けられている。

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エリコはゆっくりとをかがめ、に持ったガムテープを引き伸ばした。

ビーッという鋭い音が、静まり返った部に響き渡る。

彼女は段ボールの蓋を閉じ、しっかりとガムテープを貼り付けた。

周囲を見渡すと、見慣れた具のほとんどはまだそこに取り残されている。

それなのに、の空気はどこかひどく空虚にじられた。

もうここは、彼女の帰るべきではないのだ。

ここは元夫である、修平のなのである。

そのたい現実が、い毛布のようにエリコの全にのしかかっていた。

修平は、エリコのすぐそばに静かに膝まずいていた。

彼はうつむいたまま、別の段ボール箱を丁寧に梱包している。

彼のきは、何をするにしても常に慎で、規則正しかった。

それは、15というい結婚活ので培われた、よい沈黙のリズムだった。

婚という結末を迎えても、その奇妙な親しみだけは完全に消えってはいなかった。

エリコはく息を吐きした。

彼女は目のにある箱を両で押し、修平の方へと滑らせた。

そして、作業を続ける彼の横顔を見つめる。

「これは終わったわ」

修平はを止め、ゆっくりと顔をげた。

彼の線が、エリコの押しやった箱へと向けられる。

その箱のには、エリコが仕事で使う護師の制が入っている。

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にも、分い医学や、卒業式でもらった切な聴診器などが詰め込まれていた。

45歳になる修平は、として鍛えげられた太い腕を持っている。

彼はきな両を伸ばし、そのい段ボール箱の側面をしっかりと掴んだ。

そして、顔つ変えることなく、軽々と箱を持ちげてみせた。

彼はがり、エリコを見ろすように線をわせた。

「これは俺がに運んでおくよ」

修平はくそう告げた。

彼は体の向きを変え、音を響かせながら玄関へと向かって歩きした。

エリコは彼の広い背を見送った。

彼女はすぐに線を落とし、また別の段ボール箱の封じ作業に取り掛かる。

このが、ただのの霊廟になってしまったのだという事実。

エリコは、その残酷な事実を極力考えないように努めていた。

ユイナが忽然と姿を消したは必にもがいた。

なんとかして、この結婚活を維持しようと懸命に努めてきたのだ。

しかし、しみの形というものは、それぞれ全く違うものだった。

修平はい絶望を抱え、自宅のにある自分の作業へと引きこもるようになった。

そして、すがるようないで被害者族の会へと通い始めたのである。

方でエリコは、病院での夜勤を自ら志願して極端に増やした。

ふとした瞬をよぎる、娘に関する数々の疑問。

彼女はそれらを、極限の疲労で引に掻き消すように働き続けたのだ。

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