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"嫁に奪われた最後の400万円" 第10話

母親だから、最には受け入れなければならない。

そんな決まりはありません。

輔が本当に変わるのなら、それは私からおをもらうためではなく、自分自のために変わるべきです。

それを確認できるまで、私は距を置くつもりでした。

目のを眺めながら、私はく息を吸いました。

潮のりが胸いっぱいに広がりました。

今、私は自由でした。

本へ戻ってからも、私は以活には戻りませんでした。

とは話しいをね、まいも理しました。輔にはしい活の細かなことを教えていません。

が必だったからです。

輔と美は何度か以を訪ねたようですが、そのたびに私たちと会うことはできませんでした。

輔の仕事がなくなったわけではありません。

も社会から追放されたわけではありません。

ただ、自分たちがしてきたことによって、周囲から以と同じ目で見てもらえなくなった部分はあったようです。

そして何よりきかったのは、私からの援助がなくなったことでした。

2は自分たちの収入の活しなければならなくなりました。

の母親も、以のようには助けてくれなくなったと聞きました。

「私まで利用されていた気がする」

そう話しているそうです。

私には、輔を苦しませたい気持ちはもうありません。

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を取り消したのようなたいりも、とともにれていきました。

しかし、だからといって以のように財布をくつもりもありません。

ある輔からいメールが届きました。

《母さん》

《あののことを何度考えても、俺が違ってた》

《400万円してもらっておいて、母さんを置いていくなんて最だった》

《美緒になって、母さんなら何をしても許してくれるとってた》

《今まで学も結婚も全部助けてもらったのに、それが当たりになってた》

《本当にごめん》

なら、この文章を読んだ瞬話していたでしょう。

「もういいのよ」

そう言っていたといます。

でも私は、スマートフォンを置きました。

になってからく返信しました。

《謝罪は受け取りました》

《今はまだ会いません》

《自分たちの活を、自分たちでて直してください》

輔からすぐに返事がありました。

《分かった》

初めて、おの話はありませんでした。

それが本当の変化なのかどうかは、これからが教えてくれるでしょう。

私は会社の仕事もしずつ減らすことにしました。

28、働くことが私の活のでした。

顧客との関係は切です。

仕事も好きです。

しかし65歳になった今、朝から晩まで誰かのためにり続ける必はないとえるようになりました。

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く。

好きなを買う。

事をする。

何も予定を入れず、で本を読む。

そんなにおを使っています。

あの、美に笑われた紺のワンピースも捨てませんでした。

ハワイのホテルの夕で着ました。

が言いました。

「似ってるよ」

私はわず笑いました。

「本当に?」

「本当に」

「センスないって言われたのよ」

「俺は好きだ」

それだけで分でした。

400万円。

決してさなおではありません。

けれど、あの来事がなければ私は今でも、自分を犠牲にしながら「族だから」と笑っていたかもしれません。

すことがだとっていました。

頼られることが、必とされることだとっていました。

でも違いました。

本当に切にしてくれるは、おがなくてもそばにいます。

逆に、おさなくなった瞬に態度が変わるは、最初から私自を見ていなかったのかもしれません。

私はもう、誰かに必とされるためにおを使いません。

自分がから使いたいとったに使います。

孫へ何か贈りたいとえば贈るでしょう。

輔をいつか助けたいとが来るかもしれません。

でも、それは義務ではありません。

私が選ぶことです。

ある夕方、広所を散歩していました。

空が赤く染まり、私たちのく伸びていました。

「美佐子」

「何?」

「今、幸せか?」

私はし考えました。

なら、夫や息子が幸せなら私も幸せだと答えていたでしょう。

今は違います。

「ええ。幸せよ」

自分自の気持ちとして、そう言えました。

「私、自分を事にするって、こういうことだったのね」

は何も言わず、私のを握りました。

あの、空港で置きりにされた私は、族を失ったといました。

けれど本当は逆だったのかもしれません。

私はあの、失いかけていた自分自を取り戻しました。

28族のために働き続けてきた悔してはいません。

輔をしたことも、支えたことも悔していません。

ただ、これから先まで同じように犠牲になる必はない。

それに気づいただけです。

「400万円、ごちそうさまでした」

あの、美は笑いました。

今でもその声をすことがあります。

けれど、もう胸は痛みません。

むしろ私はで静かに返します。

400万円で学ばせてくれて、ありがとう。

私はもう、自分のを誰かに差しすことはありません。

私は誰かのヅルではない。

息子の財布でもない。

嫁の都のいい義母でもない。

私は成瀬美佐子という、1です。

そしてこれからのは、自分で選んで歩いていきます。

夕暮れのを広と並んで歩きながら、私は久しぶりにだけを見ていました。

もう振り返る必はありませんでした。

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