"60代からの第二の人生" 第5話
「京子、本気なのか……? 孫たちを置いて……?」 「本気よ。本気。……あなた、私についてきてくれる?」
瞬の沈黙の、浩司の迷いが消えった。拳を力くテーブルに打ちろし、く頷いた。
「当たりだ! 必に頑張ってきたおの正休みをで踏みにじる奴らは、実の息子だろうが許すわけにはいかん! こう、京子!」
その力い言葉が、私の背をく、確かに押してくれた。
「ありがとう、あなた。じゃあ、今すぐ配を始めましょう」
私はスマートフォンを取りし、旅予約サイトをいた。震える指で検索窓に入力した文字は、ただつ。「ハワイ・ホノルル」。
画面を操作し、航空券とホテルの空き状況を確認する。末始の直予約は極めて額だが、幸運にも直のキャンセルがたのか、直哉たちが泊まるのと同じワイキキの最級ホテルの最階スイートルームに空きがあった。
『ハワイ・ワイキキビーチホテル オーシャンビュースイート チェックイン、チェックアウト 名 総額万円』
私は迷うことなく、自分名義のクレジットカード報を入力し、予約確定のボタンをく押し込んだ。
翌朝、、午。 の空がみ始める、私はスマートフォンのフライト追跡画面を見つめながら、すでに支度を終えていた浩司に静かに声をかけた。
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「あなた、息子たちの乗った、無事にハワイ・ホノルル空港へ到着したみたいよ」 「そうか……。よし、じゃあこっちもくか」
は静かにちがった。つのスーツケースは、昨夜のうちに玄関へ用してある。浩司が最に私の目を見て、を押すように尋ねた。
「京子、本当にいいんだな? 孫たちを置いていくんだぞ」 「何が悪いの? あの子たちだって、自分たちの子供を置いて旅にったじゃない。しかも、私たちのでね。私たちが自分たちで汗流して稼いだおで、自分たちのために旅にって、何が悪いっていうの?」 「確かにな。その通りだ」
浩司の元に、久しぶりに敵な笑みが浮かんだ。 私はリビングのテーブルの央に、い封筒を通、しっかりと置いた。には丁寧にいた便箋が枚入っている。
『直哉へ。急用ができたので、まで留守にします。子供たちはにいますので、そちらで対応してください。緊急連絡先は携帯ですが、られないかもしれません。母より。』
「よろしく、任せたわよ。……今度は、私たちがこの言葉を使う番ね」
私の呟きに、浩司がく笑った。
「俺たちがコツコツ貯めてきた貯だ。今こそ、自分たちのために使うだな」 「ええ。息子たちに援助ばかりしてきたけれど、たまには自分たちの幸せのために使わなきゃ」
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午。たい朝靄の、私たち夫婦は誰にも気づかれることなく自宅の玄関をにした。向かう先は、成田空港。そして、息子夫婦が今まさにを踏み入れたばかりの、太平の楽園・ハワイだった。
本の午。 ハワイ・ホノルル空港にりち、気揚々とリゾートホテルへチェックインした直哉のスマートフォンが、けたたましく鳴り響いた。画面に表示されているのは、本の実の固定話番号だった。
訝しげに話にた直哉のにび込んできたのは、歳の男・翔太の激しい泣き声だった。
『パパぁ! うわーん! ばあばがいないの! じいじもどこにもいないんだよ!』
ホテルの吹き抜けロビーで、直哉はわず声をげた。
「はぁ!? どういうことだよ! どこか所のスーパーにでも買い物にってるんじゃないのか!?」 『ううん、違うの! テーブルのにおが置いてあって……「急用ができたので留守にします。そちらで対応してください」っていてあるの! スーツケースもなくなってる!』
直哉の隣でウェルカムドリンクのトロピカルジュースを優雅にんでいた波さんが、異変に気づいて血相を変えて駆け寄ってきた。
「ちょっと直哉、どうしたの!? 何があったの!?」 「母さんが……にいないらしいんだ。子供たちだけ残して、き置きを残していなくなったって……」
「はあ!? 嘘でしょ!? が分からないわよ!」
直哉は顔を青ざめさせ、震える指で母親である私の携帯話へ発信した。
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