みかん小説
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"60代からの第二の人生" 第4話

波さんも華やかなリゾートワンピースの質なコートを羽織り、頻繁に腕計を気にしている。

「あのね、直哉。ちょっと座って話があるんだけど……」

私が必に言葉を絞りすと、直哉は面倒くさそうに片を振って私の言葉を遮った。

「悪い、成田へく成田エクスプレスのがあるから無理。あ、そうだ、子供たちの保険証と医療証、ここに置いとくから。何かあったら病院連れてって」

「でも、正休みでどこの個病院も閉まっているでしょう……? 当番医を探すのも変だし……」

すると、ろから波さんが首を傾げて朗らかに割って入ってきた。

丈夫ですよ! お母さん病院勤務がいんだから、どこの救急がいてるか裏ルートでってるでしょう? じゃあみんな、おばあちゃんとおじいちゃんの言うこと聞いて、お利に過ごすのよ!」

の孫たちがドタドタとリビングへ駆け込んでくる。

「ばあば! お玉ちょうだい!」 「お腹すいた! ポテチべたい!」

歳の男をに、子供たちが斉にを差ししてきた。その景を見ながら、直哉が何気ない様子で着のポケットにを突っ込み、振り返った。

「あ、そうそうお玉。今千円でいいから。領収はいらないからさ」

「領収はいらない」——その言葉が、私のの奥で凍りついた。 まるで遣いや駄賃でも与えるかのような、傲で尊調。

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、この子を慈しみ、自分のすべてを削って育ててきた記憶が、真っな虚無へと塗りつぶされていくようだった。

「じゃ、ってきまーす! ハワイ超楽しみ! お母さん、LINEで写真いっぱい送りますね!」 「じゃ、頼んだよ。の夜に迎えに来るから!」

バタンと乱暴に玄関のドアが閉まり、タクシーのエンジン音がたいの空気のへとざかっていった。

静まり返った玄関からリビングへ戻ると、そこには私と浩司、そしての孫たちだけが取り残されていた。にはのついた巨な荷物が積みにされ、子供たちが騒ぎてる。

「ばあば、ゲームどこ? スマホ貸して!」 「僕エビフライべたい!」 「ママー! ママがいいー!」

歳の次女がに座り込んで激しく泣き始めた。 浩司が、積みの荷物を見つめながら、絞りすようにく呟いた。

「おい……お玉まで当然のように求して、領収はいらないだと……? あいつらは……親を何だとっているんだ……」

私は無言のまま、散らかったリビングの真んち尽くしていた。だが、絶望と疲労の底で、私のつの固い決が、静かに、しかし鋼のように徹な形を成し始めていた。

の夜。 エビとカニを避け、卵を使わず、麦と乳製品を徹底に排除した特別を作り、男の難解な塾の宿題にを悩ませ、泣き叫ぶ次女を抱きかかえてオムツを替え——ようやくの孫たちを階の客に寝かしつけた。

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階段をりてリビングに戻った私の体は、骨の髄まで軋み、全鳴をげていた。 ソファーのに置かれたテーブルを挟み、私と浩司は向かいって座った。部には壁掛け計のカチコチという秒針の音だけが虚しく響いている。

浩司が赤くなった目を持ちげ、配そうに私の顔を見つめた。

「京子……丈夫か? 顔が真っだぞ。息ががっているじゃないか」

私はく息を吸い込み、ゆっくりと顔をげて浩司の目をまっすぐに見つめ返した。

「ねえ、あなた……」 「うん?」 「私たち、今の正はどうする予定だったかしら」

私の静かな問いかけに、浩司の声が微かに震えた。

で……ゆっくり温泉にでもって、の労をねぎらおうって……そう約束していたな。おべたいと言っていた、の蟹をべにこうと……」 「そうよね。、正も休まず厨で働いてきた私に、やっと訪れるはずだった夫婦入らずの正休み。それをあの子たちは……」

浩司は私の線の奥にある異様なに気づいたのか、息を呑んでじっと私を見つめた。

「京子……お、何か考えているな?」 「ええ。とても……とても素らしいアイデアがあるの」 「まさか……」 「その、まさかよ」

浩司の目がきく見かれた。を乗りすようにして私に問い詰める。

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