"身代わり妻の逆転帰還" 第3話
記録。
会社登記簿。
送覧。
見覚えのない会社名。
「健さんは、あなたが刑務所に入った直から会社資をしずつへ移しています」
「へ?」
「ええ」
先は枚の登記簿謄本を私のに置いた。
聞いたことのないコンサルタント会社だった。
けれど代表取締役の欄にある名を見た瞬、私は息を止めた。
林美。
玄関で健の腕に寄り添っていた女。
そして。
私が逮捕される半、突然会社に入ってきた女でもあった。
「この……会社の経理にいました」
「やはり」
「父の代から経理をしていた恵子さんが辞めたに入ってきたです」
2の記憶が、急に鮮になった。
健は会社が苦しいと言っていた。
資繰りが厳しい。
がうるさい。
社員の料を払うのも変だ。
癖のように繰り返していた。
なのに、その頃から健は急に級腕計をつけるようになった。
子も旅に頻繁にかけるようになった。
そして美が入社した。
派で若い女だった。
仕事はできると健は言っていた。
だから私は何も疑わなかった。
「由美さん」
先が静かに言った。
「健さんは、会社の資産を美さんの会社へ移し、元の会社には負債だけを残すつもりです」
「計画倒産……」
「その能性がいです」
父が命をかけて作った会社。
社員とその族を守るための所。
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それを健は、最まで絞り取ったに捨てるつもりだった。
膝ので握ったが震えた。
「先。証拠は、これだけですか」
先は首を振った。
「いいえ」
鏡の奥の目が鋭くなった。
「番きいものは、まだこちらへ届いていません」
私は刑務所にいた頃のことをいした。
あのたい所で、私のを変えたの女性。
子さん。
髪混じりの髪をいつもきれいにまとめ、背筋を伸ばして歩くだった。
齢は私よりかなりだったが、議な品のある女性だった。
同じ部になっても、最初はほとんど会話をしなかった。
私が夜ごと毛布をかぶり、声を殺して泣いていても、理由を尋ねることさえなかった。
あるの作業。
乾燥と気で、私の指先がひび割れた。
血がにじみ、作業を続けるのがつらかった。
すると子さんが、自分の分の絆創膏を枚、そっと差しした。
「使いなさい」
「でも、子さんの分が……」
「私は今は怪していないから」
そう言ってから、私の顔を見た。
「それから、泣くのは今までにしなさい」
わず顔をげた。
「涙はね、が本当に見るべきものを曇らせるから」
その声はく、静かだった。
けれど議なくらいに残った。
それから私は、しずつ自分の話をした。
父の会社。
健との結婚。
経営を任せたこと。
脱税と架空請求。
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夫に頼まれて罪を被ったこと。
子さんは最までを挟まずに聞いた。
そして聞き終えた、こう言った。
「由美さん。あなたのご主、本当に会社を守りたかったのかしら」
その言に、私は何も答えられなかった。
「いしてみなさい。事件の、ご主や族の暮らしに変化はなかった?」
私は記憶をたどった。
健の級腕計。
子の旅。
美の入社。
以より派になった活。
会社が苦しいと言いながら、どうしてあんな暮らしができたのか。
その瞬だった。
バラバラだった記憶が、本の線になった。
私は会社を守るために罪を被ったのではない。
健と美が私腹を肥やすための代わりにされたのだ。
その夜。
いベッドので、私は初めて悔しさで震えた。
すると子さんが、背をそっと撫でてくれた。
「にたら、という弁護士を訪ねなさい」
「先をってるんですか?」
「名だけね。でも必ず力になってくれる」
「どうして……」
子さんはすぐには答えなかった。
数、ようやく理由を話してくれた。
「あなたのお父様の会社、渡辺物産とい取引があるでしょう?」
驚いた。
渡辺物産は県内でも数の総商社だった。
父が若い頃から世話になっている取引先で、うちの売の半は渡辺物産関連の仕事で成りっていた。
「今の渡辺物産の社はね、私の弟なの」
私は言葉を失った。
子さんの実がきな商だとは、誰もらなかった。
彼女自は族の借を巡る事で役していた。
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