"ETCに残らない白バイ" 第10話
という希望も終わった。
父親の健は、連絡を受けた、集めてきた資料の置かれた部へ入った。
机には図が広がっていた。
事件当から何度もき込みを加えた関自周辺の図だった。
赤い線。
丸印。
候補。
問いわせた所。
そのどこにも、実際にバイが見つかった廃は記されていなかった。
「こんなところにいたのか」
健は図へを置いた。
元警察官として、自分なら見つけられるとっていた期もあった。
娘を救えなかったといういは、10消えなかった。
しかし今は、責める相がはっきりした。
酒井誠。
偶然と会い、ほんのわずかな判断をねるうちに、取り返しのつかないへんだ男だった。
酒井の供述は細部について何度も確認された。
犯を事に計画していた証拠は見つからなかった。
を狙ってPAへ入ったわけでもない。
バイを盗むために配送ルートを選んだわけでもなかった。
最初は偶然だった。
仕事の途でち寄った。
バイを見た。
触りたいとった。
そこへが戻ってきた。
そのつつだけなら、まだ引き返すことのできる瞬が何度もあった。
謝ればよかった。
そのをれればよかった。
に止められた、素直に従えばよかった。
拘束したでも、解放することはできた。
広告
警察へすることもできた。
だが酒井は、自分が捕まらないことを優先し続けた。
その結果、は命を失った。
「怖かったんです」
取り調べで酒井は何度も言った。
「また捕まるのが怖かった」
担当刑事は静かに聞いた。
「島さんは怖くなかったとうのか」
酒井は答えられなかった。
「あなたは自分のが壊れるのを恐れて、島さんのを奪った」
酒井は俯いたままだった。
「結婚を控えていた。両親もいた。仕事もあった。これから先、何もきるはずだった」
机の向こうで、酒井の肩が震えた。
「……分かっています」
「10経ってから分かっても遅いんです」
酒井はその、バイを隠したのことも詳しく供述した。
跡を利用したのは、その所を配送に偶然っていたからだった。
速周辺の管理用入についても、仕事柄、脇で作業両が入りする面を以から目にしていたという。
その識が、結果に捜査を難しくした。
ETCや料所の記録を追ってもバイがてこなかったのは、通常の両がる経からされていたためだった。
捜査本部が10に「計画な犯かもしれない」と考えたの部は、配送ドライバーとして蓄えた勘と、犯の恐怖からまれたものだった。
さらに酒井は、10事件を忘れたことはなかったと話した。
広告
会社が倒産して千葉をれた。
職を変えた。
む県も何度か変えた。
それでも412がづくと、テレビや聞を見るのが怖くなった。
「島さんの事件がるかもしれないとって」
事件が報されなくなったも、は消えなかった。
警察両を見ると体が張った。
バイが横を通れば、反射に顔を背けた。
「じゃあ、なぜしなかった」
「できませんでした」
それだけだった。
自分のために黙り続けた10だった。
の遺骨は両親のもとへ戻された。
静子は、娘を迎えるに何度も同じ言葉を繰り返した。
「よく帰ってきたね」
声は震えていた。
「遅かったね。お母さん、ずっと待ってたよ」
健は娘のでいったままだった。
やがてゆっくりをげた。
「見つけてやれなくて、すまなかった」
正志もそばにいた。
3のに、い言葉は必なかった。
10、それぞれ違う方法で同じを待ち続けてきた。
そしてようやく、そのに終わりが訪れた。
の葬儀には、族だけでなくくの警察関係者が参列した。
かつて緒に交通隊で勤務した同僚たちも来た。
10、朝のに声をかけた男性隊員もいた。
「あのも、いつも通りだったんです」
焼を終えた、静子へそう話した。
「何も変わらなかった。本当に、いつもの島でした」
静子は静かに頷いた。
「仕事が好きだったんです」
「はい」
「バイに乗るのも好きで。怖くないのって聞いたら、怖さをらない方が危ない仕事だからって」
広告
おすすめ作品
-
完結第13話
嘘葬りの豆腐店
1991年、茨城の古い商店街で、豆腐屋の嫁・美香が突然姿を消した。 姑と夫が語ったのは、「男を作って夜逃げした」という話。幼い息子を置いて消えた母親として、美香の名は商店街で長く汚され続けた。 しかし6年後、借金による強制執行で高橋豆腐店が取り壊されることになる。誰も近づこうとしなかった裏手のボイラー室。そのコンクリートを掘り返した時、そこから現れたのは、色褪せたスカーフと小さな金の指輪だった。 男と逃げたはずの嫁は、なぜ自宅の床下にいたのか。 そして家族は、6年間何を隠し続けていたのか。 雨の夜に消えた母の名誉を取り戻すため、古い商店街の沈黙が少しずつ崩れ始める。ミステリー|行方不明1.9萬字5 0 -
完結第13話
消えた退院前夜
1991年5月、静岡県の総合病院で、退院を3日後に控えた43歳の女性・田中道子が忽然と姿を消した。 手術は無事に終わり、回復も順調。財布も保険証も病室に残されたまま、彼女だけが夜の病院から消えていた。 最後に確認されたのは、消灯時間の午後9時。翌朝、看護師がカーテンを開けた時、そこに道子の姿はなかった。 自ら出て行ったのか。誰かに連れ去られたのか。それとも、病院の中で何かが起きていたのか。 家族は必死に行方を探し続けるが、手がかりは見つからないまま季節だけが過ぎていく。 そして8か月後、病院の監査で見つかった小さな異変が、すべてを変える。 消えた投薬記録。数の合わない睡眠導入剤。修正されたカルテ。 信じていた病院の奥で、道子に何が起きていたのか――。ミステリー|真相|行方不明1.9萬字5 0 -
完結第13話
長野中部山岳紅葉山カップル失踪事件
2019 年 10 月、韓国束草・雪岳山で忽然と姿を消した 20 代の恋人カップル。 山の監視カメラに最後の後ろ姿を残し、それきり跡形もなく消えてしまった二人。 大規模な山間捜索を何度も行ったものの、衣類の切れ端一つ見つからず、3 年間も謎のまま放置されていたこの失踪事件。 3 年後、排水溝の底から発見された一台の携帯電話。 本体に復元された記録の中に、たった 9 秒(原文 6 秒調整可)の謎の通話履歴が残っていたのです。 撮影した第三者の姿は監視カメラにも目撃談にも一切残らず、臨時インターネット電話番号からかかってきた不可解な電話。 通話直後、二人のスマホが同時に電源オフになる不可解な記録。 リュックの隠しポケットから出てきた手描き地図と謎のメモ「ここへ行けばある。17 時 25 分より前に渡るな」。 警察が調べても特定できない撮影者、地図に載っていない危険な山道、時系列が繋がる不自然な証拠たち… 長野(原文韓国束草に統一)の山に隠された、誰も想像できない真相とは? 年配の方も分かりやすく時系列順に整理した事件全貌、今すぐ全文を読んでみてください。真相|遺體発見|行方不明2.0萬字5 0 -
完結第13話
隠された十五年の物語
2005年、日本で誰も深く探ろうとしなかった不気味な過去がある。 生涯質素に暮らし、一文無しに近い老夫婦がいた。 一生懸命働き、大金とは無縁の日々を過ごしてきた二人に、思いがけない幸運が舞い込んだ。 閑古鳥が鳴くパチンコ店で、前代未聞の大当たりを出し、一夜にして大金を手に入れ、念願の一戸建てを購入したのだ。 苦労の末に手にした新居で、穏やかな老後が待っているはずだった。 だが誰も予想しなかった——引っ越してたった3日、老夫婦は新居ごと跡形もなく消え失せた。 庭の草木は新しく植えたばかりの瑞々しさを残し、部屋のお茶はまだ温かく、布団も整えられたまま。 主人だけが、この世から忽然と姿を消したのだ。 警察が数日間捜索したものの、手がかりは一切なく、最終的に不可解な失踪事件として処理された。 だが地元の古株の住民は皆知っている。この予期せぬ大当たりは、贈り物ではなく、命を懸けた交換取引だったと。 大金を手にした直後に消えた理由とは?空き家の下に隠された真実とは? 当時誰も口にできなかった封印された真相を、今こそ完全に解き明かす。真実|裡の顔|真相|遺體発見|行方不明1.9萬字5 0 -
完結第13話
消えた母の 10 年地下室
1993 年、お盆の帰省途中で姿を消した若い母親―10 年後、地下室で衝撃の真実が明らかに! 隣に住む親切な青年が、彼女を長年地下室に監禁していた悪夢の物語。 幼い息子だけが地下室に隠れた母と遭遇し、守らなければならない秘密を抱える。 夫の不審な観察、祖母の疑念、犯人の焦り… 積もった疑惑がついに決定的な瞬間を迎える。 10 年間の監禁、脅迫、欺瞞が一気に暴かれる衝撃結末。 失われた家族の絆が、長い悪夢を乗り越えて再びつながるまでの全記録。裡の顔|真相|遺體発見|行方不明2.0萬字5 0 -
完結第13話
マカオに消えた花嫁
2010年4月、マカオへ新婚旅行に訪れた日本人夫婦・田中浩司と山田愛子は、ホテルに荷物を残したまま忽然と姿を消した。 最後に確認されたのは、観光地の監視カメラに映った2人の姿。部屋に争った形跡はなく、財布も荷物もそのまま。誘拐か、事故か、それとも自ら消えたのか――事件は真相不明のまま、12年という歳月に埋もれていった。 しかし2022年、1人の女子大生がSNSで見つけた写真が、凍りついた時間を動かす。 マカオの街で中国人女性と寄り添う中年男性。その顔は、12年前に失踪したはずの夫・田中浩司に酷似していた。 では、彼と一緒に消えた妻・愛子はどこへ行ったのか。 幸せな新婚旅行の裏で、あの夜、本当は何が起きていたのか。 SNSに映った“夫の顔”が、12年間隠されてきた衝撃の真実を暴き出す。ミステリー|真実|行方不明2.0萬字5 0 -
完結第13話
消えた23人の観光団
2025年9月29日、福岡に約2700人の団体観光客が一斉に降り立った。 その日を境に、日本各地で不可解な失踪が相次ぎ始める。タクシー運転手、配達員、宿泊施設の関係者――いずれも夜、一人で行動することの多い男性たちだった。 やがて糸島の海岸で発見された身体の一部が、事件の扉を開く。 捜査を進める刑事・鈴木健二は、失踪した観光客、黒いワゴン車、古い倉庫、医療機器販売会社、そして横浜港へ向かう冷凍コンテナという、ばらばらに見えた点を追い始める。 これは単なる失踪事件ではない。 観光の人波に紛れ、日本の空き倉庫や港を利用して動いていた国際犯罪組織。その裏には、人間を“商品”のように扱う恐ろしい取引が隠されていた。 救える命はまだ残っているのか。 そして、海へ消えた男と「王」と呼ばれる人物の正体とは――。 福岡から始まった小さな違和感は、やがて日本全体を揺るがす闇へとつながっていく。ミステリー|真相2.0萬字5 0