"最後の上映会" 第11話
初めて会う姪をに、正雄は何度もをげた。
「兄さんは、ずっと私を捜していたんですね」
恵子は父が残したを渡した。正は弟が見つかったのために、毎通ずつをき、送り先のない封筒を箱へ収めていた。
正雄は最初の通をき、途で読むことができなくなった。封筒を胸へ抱き、声を押さえて泣いた。
そのの午、清治は正雄と恵子のためだけに、正のフィルムを映した。町の祭り、駅、学、座へ集まる々が、さなスクリーンに映った。
正が弟を探すために向け続けたカメラ。その映像を、探されていた本が何もたって見つめていた。
正雄は映像のに自分を見つけることはできなかった。それでも映、穏やかな顔で言った。
「兄さんは私を見つけられなかった。でも、私が兄さんの残した景へ帰ってくることはできました」
清治はその言葉を聞き、座が最に果たした役割を理解した。映画館はもうしない。けれど、そこへ返されたフィルムが、れていた族のをつなぎ直したのである。
さらに数、杏通り商のは以よりなくなった。それでも座映像の扉は、毎週曜にけられた。
古い映像を見に来る老もいれば、昭の町を研究する学や、祖父母の若い姿を探す子供たちもいた。
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清治は映写の扱いを正夫へ教え、正夫はしい記録を残すため、現の商を8ミリカメラで撮り始めた。
「今の町なんて、撮っても面くないでしょう」
通りかかった主が言うと、正夫はカメラを回したまま笑った。
「昔だって、撮られていたたちはそうっていたはずです。何でもない今が、いつか誰かの切な昔になるんですよ」
映像の壁には、座ののが飾られていた。傷だらけで、塗装も剝がれていたが、午の差しを受けると、映画館の正面にあった頃と同じように静かにった。
清治はそのの子へ座り、若い々が映写を準備する姿を眺めた。文子も正もいない。それでも2が残したは、別のへ受け継がれていた。
本のフィルムが記録できるはい。そこに映るのは、祭りのや、誰かが笑った数秒、先を通り過ぎた瞬にすぎない。
しかし、その瞬のには、名を呼ぶ声、帰る所、誰かを待ち続けたまで残ることがある。映像がすべてを語るわけではないからこそ、見るが記憶をね、次のへ物語を渡していく。
昭49、閉館した座へ毎週届いたフィルムは、古い町を懐かしむためだけの贈り物ではなかった。それは、失われたを取り戻すことはできなくても、忘れられようとするを未来へ渡すことはできると教える、町から町へのだった。
座の建物はなくなった。それでも毎週曜になると、さな映像の奥から映写の音が聞こえた。
暗くなった部を本のが横切り、い幕のでは、昭をきた々が今も歩き、働き、笑っていた。
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