みかん小説
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"消えた水色の妹" 第1話

2001519京・宿にある結婚式は、朝から柔らかな差しに包まれていた。壁のには鮮やかなが並び、正面玄関では礼姿の招待客が次々とりていた。誰もが、このが鈴にとってで最も幸せなになると信じていた。

嫁の美は28歳、その妹のは24歳だった。2は群馬県さな町で育ち、父親をくにくしてからは、青果を営む母・文を助けながら暮らしてきた。子供の頃から性格は正反対だったが、周囲が羨むほど仲の良い姉妹だった。

は慎で、何かを決めるまでにがかかる性格だった。方のは、迷ったほど先に体をかし、困っているを放っておけなかった。その性格から護師を目指し、同3護学を卒業すると、内の学病院で働き始めていた。

「お姉ちゃん、もうし顔をげて。せっかくきれいにしてもらったんだから」

9過ぎ、嫁控は美のベールをえながら笑った。淡いのワンピースに、母から贈られたさな真珠のイヤリングを着け、髪をろで丁寧にまとめていた。

は鏡越しに妹を見て、緊張したように息を吐いた。がいなければ、引き物の準備も招待客の座席確認もわなかっただろう。

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結婚式の3から京へ来て、夜遅くまで伝ってくれた妹に、美は何度も礼を言っていた。

「私より、の方がしっかりしてるね」

「今だけだよ。からはらない」

が舌をすと、美はようやく普段のように笑った。しかし、廊から郎の田啓介が姿を見せた瞬の表がほんのわずかに曇った。

啓介は32歳で、美と同じ貿易会社に勤務していた。数はないが気配りのできる物として評判がよく、美の母にも礼儀正しく接していた。父をくした鈴にとって、頼りになるしい族が加わるはずだった。

さん、朝からありがとう。美が迷惑をかけていない?」

丈夫です。今くらいは姉のわがままを聞きます」

は笑顔で答えたものの、啓介と線がなった瞬、先に目をそらした。啓介も何も言わず、嫁控へ入ることなく廊を戻っていった。

1010分、群馬から到着した文を、は正面玄関まで迎えにた。娘のれ姿を見るから泣いていた母の腕に自分の腕を絡ませ、幼い頃のように笑いながら館内へ案内した。

「お母さん、まだ式も始まってないよ」

「だって、あんたたちをここまで育てられたとったら……」

「今は泣いていいだから、好きなだけ泣いて」

はそう言って母の背をさすった。

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そのの笑顔が、文がはっきりと覚えている娘の最の笑顔になった。

1047分、は病院の同僚、伊藤子へ話をかけた。通話は2分に満たず、結婚式が終わったら翌に会おうと約束しただけだった。子の記憶では、の声は忙しそうではあったものの、普段と変わらずるかった。

11、予定どおり挙式が始まった。は母と並んでから2列目に座り、姉と啓介が誓いの言葉を交わす姿を見つめていた。美が指輪を受け取ったはハンカチで目元を押さえながら、母の元で「お姉ちゃん、きれいだね」と囁いた。

正午からの宴会で披宴が始まった。円卓は12卓、招待客は60余りで、会には笑い声と器の音が絶えなかった。は母の隣に座りながら、招待客への挨拶や写真撮伝いで、何度も席をっていた。

1240分頃、郎側の招待客の男性が、へ声をかけた。

「お姉さん、いい結婚相を見つけましたね。田さんは会社でも評判のですよ」

瞬だけきを止めた。それでもすぐに微笑み、「そうみたいですね」と答えたが、男性はその自然なまで覚えていた。

15分、は啓介の同僚である渡辺子にづき、会社での啓介について尋ねた。

「義兄は、会社ではどんなですか」

「真面目で、面倒見のいいですよ。し無ですけど」

「そうですか」

は笑った。しかし子には、それがしたの笑顔ではなく、聞きたくなかった答えを聞いたの顔に見えた。

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