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"捨てられた妻の逆転人生" 第7話

亮介は苛ち紛れにを伸ばし、乱暴にページをめくった。

秒、秒とが経つにつれ、亮介の表から苛ちが消え、代わりに底れぬ恐怖と混乱が広がっていった。

・佐々本部への推薦状……? 産根抵当権……? スイス・オートモーティブ級副社への親控え……? おい、これ……どういうことだよ……?」

亮介の刻みに震え、タブレット端末がカーペットのに滑り落ちた。

「全部……母さんが……? 嘘だろ……? 母さんはずっとにいて、世らずで、俺たちの稼ぎにぶらがっていただけのはずだろ……! なんでこんな企業のトップや政財界の物が、母さん個と直接つながってるんだよ!?」

亮介の膝がガクガクと音をてるように震え、彼はそのにへたり込んだ。

その、亮介のスマートフォンが甲い着信音を鳴らし始めた。ディスプレイに表示された名は『・現代表取締役専務』。現のカトウ・プレシジョンにとって、決して失ってはならない最の取引先の最幹部だった。

亮介はすがるように通話ボタンを押し、震える声でスピーカーモードに切り替えた。

「も、もしもし! 専務! お世話になっております、加藤です! 今朝の契約解除の件ですが、何かの違いでは――」

スピーカーから返ってきたのは、切のを排した徹な声だった。

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『加藤社違いなどではありません。が社がカトウ・プレシジョンというさな請け企業とにわたり特別な取引を継続してきた理由は、ただつ。美智子様に対する先代からのい恩義と、美智子様が裏で品質管理と経営姿勢に対して誠実な助言をくださっていたからです』

輔と亮介は息を呑み、息をすることすら忘れたように固まった。

『今朝、美智子様より直の丁寧なご挨拶状を賜りました。「本をもって加藤およびカトウ・プレシジョンとは切の縁を断つこととなりました。これまで夫と息子を支えていただき、より謝申しげます」とね』

「専務、お待ちください! 母は経営には直接関与しておらず、が社の技術力そのものは――」

『加藤社

専務の声がく、威圧を帯びた。

が社が求めていたのは、美智子様のい見識と誠実さに裏打ちされた信用です。美智子様がしないカトウ・プレシジョンに、が社が優先に発注をす理由など何つありません。今の案件はすべて、社との公正な価格競争コンペに戻させていただきます。以です』

ツーツーツー……。

質な切断音が、静まり返ったリビングに虚しく響き渡った。

「あ……あああ……」

亮介はそのに突っ伏し、両を抱え込んで呻き声をあげた。

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「終わった……コンペになったら、うちの規模とコスト構造じゃメーカーに勝てるわけがない……! の融資も引き揚げられたら、来形が落ちない……渡りで即座に倒産だ……!」

亮介は輔の元へい寄り、父親のパジャマの裾を必に掴んだ。

「父さん! 母さんを連れ戻してくれ! 母さんに座してでも戻ってきてもらわないと、俺の会社が潰れちゃうよ! 父さんが余計なこと言って追いしたりするからだろ!」

輔は力のない目で息子を見ろした。

まで「母さんは何もさない無能だ」「邪魔だ」と酷に切り捨てていた息子が、今は見るも無残に怯え、母親の力に縋り付こうとしている。

そして輔自もまた、元が完全に消滅して暗黒の底へ堕ちていくような絶望に苛まれていた。

の自分のは何だったのか。

自分を流の技術者、孤のカリスマ経営者だと信じ込み、妻を「政婦」と見して尊婚届を突きつけた自分は、美智子の掌ので踊らされていた無力な操り形に過ぎなかったのだ。

輔は震える指でスマートフォンを操作し、美智子の携帯話番号を呼びした。

いコール音が何回も続き、切れる寸で通話が繋がった。

「美智子! 美智子か!?」

輔は取り乱した声で叫んだ。

『……はい、加藤です』

受話器の向こうから聞こえてきたのは、聞き慣れたはずの、しかし今までに度も聞いたことがないほどたく澄み切った美智子の声だった。

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