みかん小説
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"最後の定期券" 第3話

「……これを見つけたの?」

「うん」

美佐子はしばらく何も言わなかった。

その沈黙が、由紀には答えのようにじられた。

「お母さん、ってたんだよね」

責めるつもりではなかった。

でも、声にはりが混じった。

「お父さんが30、この子を探してたこと」

美佐子は静かに子へ座った。

「全部はらなかった」

「でもってたんだ」

っていたのは、昔のことだけよ」

母は写真から目をさなかった。

夫さんが駅員だった頃、度だけに女の子を連れて帰ってきたことがあるの」

由紀は驚いた。

に?」

「その子は泣いていた」

美佐子はい記憶を探すように話し始めた。

30

まだ由紀がまれる

夫が勤務していた青葉川駅は、部にあるさな駅だった。

利用客はなかったが、くに古い団があり、学へ通う子どもたちが毎利用していた。

そのに。

女がいた。

佐伯優子。

10歳。

母親とで暮らしていた。

父親は数き、母親は昼も夜も働いていた。

優子は学帰り、で駅の待に残っていることがかった。

「お父さんは、その子を気にかけていた」

美佐子は言った。

「駅員だったからというだけじゃないとう」

由紀は黙って聞いていた。

夫さん自も、子どもの頃に父親をくして苦労しただったから」

父は昔、自分の話をほとんどしなかった。

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祖父母のこと。

子どもの頃のこと。

なぜ駅員になったのか。

由紀は何もらない。

「それで、その子はどうなったの?」

美佐子の表が曇った。

「あるに、突然いなくなったの」

?」

「当はそう言われた」

聞にもさく載った。

女。

母親との論。

親戚のへ向かった能性。

警察も調べた。

しかし。

がかりは見つからなかった。

「でも、お父さんは違うとっていた」

美佐子はさく首を振った。

夫さんは、あの子は逃げたんじゃないって言っていた」

「じゃあ、どこへ?」

「分からない」

母は答えた。

「だから30も探していたんだとう」

由紀は写真を見る。

そこに写る若い父は、今の父とは違って見えた。

し笑っている。

女に何か話しかけているような表だった。

いつも無表だった父が。

こんな顔をすることがあったのか。

そのことが、由紀にはだった。

由紀は青葉川駅について調べるため、域の古い資料館へ向かった。

父が最に向かった所。

そこに何かがかりがあるかもしれない。

資料館の職員に写真を見せると、配の男性が驚いた顔をした。

「青葉川駅か……懐かしいですね」

「この駅についてっていますか?」

っているも何も、昔ここで働いていたですから」

男性は写真をじっと見た。

「この……田さんじゃないですか」

由紀の臓がねた。

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「父をっているんですか?」

「ああ。真面目な駅員さんだった」

男性はし考えるように目を細めた。

「でも、あのは最まで気にしていたな」

「何をですか?」

男性は写真の女を見る。

「佐伯さんのことですよ」

由紀は息を止めた。

「この子がいなくなったも、田さんだけは諦めなかった」

「父は……何をしていたんですか?」

男性は静かに答えた。

「毎、あの子の誕になると青葉川駅へっていました」

「毎?」

「そうです」

「でも駅は30になくなっていますよね」

男性は頷いた。

「だから、駅がなくなったも……あの所へっていた」

由紀は言葉を失った。

父は。

30

誰にも言わず。

同じ所へ通っていた。

そして今回。

退職して自由になった直

に向かった。

「どうして……」

由紀は呟いた。

「どうして父は、そこまでその子にこだわったんですか?」

男性はしばらく黙った。

そして。

さな声で言った。

「それは、田さん本しからないといます」

「でも、つだけ聞いたことがあります」

「何ですか?」

男性は答えた。

田さんは、あののことをずっと悔していました」

由紀の背に寒気がった。

「あの?」

「佐伯さんが消えたです」

男性は続けた。

田さんは言っていました」

「もし、あのもうく気づいていれば……あの子はにならなかったって」

その言葉を聞いた瞬

由紀は初めてった。

父は。

誰かを探していたのではなく。

30の自分自を許せずにいたのではないか。

その夜。

由紀が実へ戻ると、母が枚の封筒を渡してきた。

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