"6秒の着信" 第9話
2019には運用が変わっていたものの、彼は古い勤務経験を基準に「1725分よりに渡るな」とジフンへ説していたと考えられた。
「ここへけばある」という言葉も、削除されたSNSメッセージの断片から補われた。
〈ここへけば、のがらない所がある。夕が岩に当たるを狙えば、結婚写真みたいに撮れる〉
ジフンはそれを信じた。切な相を驚かせるため、らない男から教えられたを自分なりにメモし、アリンには詳しい事を話さないまま岳へ連れてきたのである。分岐点で別々の方向へんだのも、テミンから「最に違う方向から入れば、自然な再会写真が撮れる」と説されていたためだった。
午48分、計画通り2はテミンと流した。アリンの携帯話でテミンが撮した写真には、何もらない2が笑っている。その1分、しれた所へ移したテミンがアリンへ話をかけ、「そのまま来てください。彼も着きました」と伝えた。
では、なぜ端末はその直に切られたのか。
ハードディスクのには、その疑問への答えまで残されていた。テミンが以、別の登者へ送ったメッセージの文章に「この先は撮材への干渉を避けるので携帯話の源を切ってください」とかれていたのである。専識のない相を納得させるための、もっともらしい嘘だった。
広告
ジフンとアリンも同じ説をされたとみられた。秘密の撮所へくという揚ので、元に詳しいと名乗る男から言われれば、数分だけ源を切ることをく疑わなかった能性はある。テミンはそうして、2を部から切りした。
しかし、それだけでは犯罪を証できない。ジフンたちがテミンとした能性が極めてくなっても、その別れたところで事故に遭った能性は残っていた。警察が必としていたのは、2がテミンのへ乗った証拠だった。
それはなところから見つかった。
201911に古販売へ売却されたテミンの輪駆は、数の所者を経たも国内に残っていた。警察は現の所者に事を説して両を押収し、シートや内装を能な限り分解した。清掃や経劣化を考えれば、3の痕跡など残っていないとくの捜査員が考えていた。
部荷の内張りを剥がした、細い隙から女性用のさなイヤリングが1つ落ちた。
アリンの母親は写真を見ただけで、それが娘のものだと分かった。
イヤリングはアリンが常に使っていた物だった。失踪当の午に別の登者が撮った写真を拡すると、彼女のには同じ形ののイヤリングが確認できる。片方がテミンのの内張りから発見されたことで、「偶然同じに乗っただけ」
広告
という説は気に難しくなった。
内からはさらに微量の体由来物質が採取された。保状態が悪く完全なDNA型を得ることはできなかったものの、アリンの族系統と矛盾しない部分型が検された。ジフンに由来すると断定できる物は見つからなかったが、なくともアリンがこのに乗った能性は極めてくなった。
テミンは再び取り調べを受けた。最初は「勢の観客を乗せたことがある」と説し、アリンについても事件以に偶然乗せたかもしれないと主張した。しかし彼女が岳を訪れたのは失踪当が初めてであり、テミンとの接点もSNSを除けば確認されていなかった。
警察は証拠をつずつ提示していった。偽の写真アカウント、ジフンとのメッセージ、6秒の通話、古い管理の図、アリンのイヤリング。テミンは黙ったも「殺してはいない」とだけ繰り返した。
その言葉を聞いた刑事が質問した。
「まだ誰も、あなたに『殺したのか』とは聞いていません」
取調の空気が変わった。
数、テミンはようやく20191019にジフンとアリンに会ったことを認めた。ただし最初の供述では、写真を撮ったに古い管理まで案内し、そこで別れただけだと主張した。イヤリングについては「に乗せたに落ちたのだろう」
と説した。
広告
おすすめ作品
-
完結第11話
飛騨の農家に消えた嫁
1995年、岐阜県飛騨地方の山あいにある和牛農家へ嫁いだ27歳のゆき子。 よく働き、誰にも逆らわず、慣れない村で必死に暮らしていた彼女は、ある冬の日、牛舎へ向かったまま姿を消した。片方だけ残された長靴。消えた青いジャンパー。そして、家族が語った「自分から出て行った」という言葉。 警察は深く調べることなく、失踪は家出として処理された。 それから8年。村では何事もなかったように季節が巡り、義父の幻蔵は“誠実な畜産農家”として周囲から慕われ続けていた。 しかし、牛舎裏の堆肥の山から見つかった人骨が、止まっていた時間を動かす。 長年誰も近づけなかった壺のそば。夜ごと繰り返された寝言。真冬の洗車場で執拗に洗われた軽トラック。 誰も探さなかった若妻は、8年間どこにいたのか。 そして、家の体面を守るために義父が隠し続けたものとは――。ミステリー|行方不明1.6萬字5 35 -
完結第12話
壁の中の13年
平成3年、埼玉の小さな町で、妊娠8か月の美智子が突然姿を消した。 財布も出産準備の品も家に残されたまま。昼にはスーパーで買い物をし、公衆電話から誰かへ電話をかけ、その後、背の高い男と歩く姿を目撃されたのを最後に、彼女の行方は分からなくなる。 夫の誠、東京にいたはずの兄・茂、そして美智子を追い詰めていた山田家の沈黙。 警察は夫を疑い、町は噂に揺れたが、決定的な証拠は見つからないまま、事件は13年の時に埋もれていく。 しかし平成16年、再開発で古い家が解体された時、寝室の壁の内側から、長年隠されていたものが見つかった。 あの日、美智子は誰に電話をかけたのか。 そして、壁の中に封じられていたのは、彼女の行方だけではなかった――。ミステリー|真相1.8萬字5 499 -
完結第14話
10年目のゲームボーイ
1991年、8歳の誕生日会の最中に、篠原恵美の息子・直樹は忽然と姿を消した。 公園には多くの親子がいた。ほんの数分前まで、直樹は青いゲームボーイを手に友達と遊んでいたはずだった。だが、気づいた時にはどこにもいない。目撃者も、手がかりも、残された物もなかった。 それから10年。 息子を見失った母の時間だけが、あの日のまま止まっていた。 そんなある日、友人に連れられて訪れたフリーマーケットで、恵美は古い玩具の山の中から一台の青いゲームボーイを見つける。そこには、直樹が自分で貼ったはずの3枚のシールが、記憶のまま残されていた。 それを売っていたのは、かつて地域で信頼されていた元警察官の男。 なぜ、消えた息子の持ち物が10年後にそこへあったのか。 そして男が思わず口にした「息子」という言葉が、隠されていた10年の闇を少しずつ暴き始める――。ミステリー|裡の顔2.1萬字5 183 -
完結第13話
消えた23人の観光団
2025年9月29日、福岡に約2700人の団体観光客が一斉に降り立った。 その日を境に、日本各地で不可解な失踪が相次ぎ始める。タクシー運転手、配達員、宿泊施設の関係者――いずれも夜、一人で行動することの多い男性たちだった。 やがて糸島の海岸で発見された身体の一部が、事件の扉を開く。 捜査を進める刑事・鈴木健二は、失踪した観光客、黒いワゴン車、古い倉庫、医療機器販売会社、そして横浜港へ向かう冷凍コンテナという、ばらばらに見えた点を追い始める。 これは単なる失踪事件ではない。 観光の人波に紛れ、日本の空き倉庫や港を利用して動いていた国際犯罪組織。その裏には、人間を“商品”のように扱う恐ろしい取引が隠されていた。 救える命はまだ残っているのか。 そして、海へ消えた男と「王」と呼ばれる人物の正体とは――。 福岡から始まった小さな違和感は、やがて日本全体を揺るがす闇へとつながっていく。ミステリー|真相2.0萬字5 202 -
完結第12話
床下の小さな指輪
1991年、群馬県山川町の古い油屋で、嫁の佐藤美優が幼い息子を残して姿を消した。 家族は「男と駆け落ちした」と証言し、町にもその噂は広まった。働き者で、息子を誰より大切にしていたはずの美優は、いつしか“子供を捨てた母親”として語られるようになる。 それから6年後。 借金で差し押さえられた油屋の離れを壊した時、床下のセメントの奥から、人骨と小さな金の指輪が見つかった。 美優は本当に家を出たのか。 なぜ姑は、離れを壊すことだけを必死に止めたのか。 そして彼女が最後まで握りしめていた指輪は、誰のためのものだったのか――。ミステリー|真相1.8萬字5 159 -
完結第11話
11年目のコロッケ
14歳の秋、黒田み咲の母・裕子は「夕飯のおかずを買ってくるね」と言って家を出たまま、二度と戻らなかった。 父は、母が家の金を盗み、近所の男と駆け落ちしたのだと親族に告げた。置き手紙も見つかり、周囲の大人たちは皆それを信じた。残されたみ咲は、“泥棒の娘”として11年間、父と継母、そして親族たちから辱められ続けることになる。 しかしある法要の日、裏山の古い井戸から、母が消えた日に買ったコロッケのレシートと、泥にまみれたカーディガンが見つかる。 母は本当に男と逃げたのか。 なぜ、継母の失くしたはずのイヤリングが井戸の底にあったのか。 そして、11年間沈黙していた“目撃者”が現れた時、黒田家が守り続けてきた嘘は音を立てて崩れ始める。 母に捨てられた娘だと思い込まされてきたみ咲が、封印された真実へたどり着くまでの、愛と復讐の物語。ミステリー|行方不明1.6萬字5 1415 -
完結第15話
灯油札の密告
2005年11月、長野県の山あいにある静かな村で、工藤家の住宅が深夜に炎に包まれた。 家の中には、父と母、そして7歳の息子。近所の人々が助け出そうと駆けつけるが、玄関には外側から鎖と南京錠が掛けられ、勝手口も角材で封じられていた。 これは事故ではない。 誰かが一家を逃げられないように閉じ込め、火を放ったのだ。 村人たちは涙ながらに犯人探しを願い、特に隣人の男は誰よりも深く悲しんでいるように見えた。だが刑事・星野は、焼け跡に残された不自然な痕跡と、その男の身体にあった小さな傷に違和感を覚える。 そして事件から数日後、町の貴金属店に持ち込まれた大量の一万円札が、捜査を大きく動かす。 その紙幣には、かすかな灯油の匂いが残っていた。 炎で消されたはずの夜に、いったい何があったのか。 そして、最後まで燃え残った“匂い”は、誰の罪を指し示していたのか――。ミステリー|遺體発見2.3萬字5 255 -
完結第10話
雪下の赤いマフラー
1998年11月12日、雪の降る旭川で、赤いマフラーを巻いた3人の女子高校生が忽然と姿を消した。 双子の美咲と南、そして親友の彩。3人は放課後の演劇部の練習を終え、いつものように学校を出たはずだった。だが、その日を境に、家族のもとへ帰ることはなかった。 捜索は続いたが、足跡も持ち物も見つからない。吹雪がすべてを消してしまったかのように、事件は未解決のまま17年の歳月が流れていく。 そして2015年。元郵便配達員の古い鞄から、17年間届けられなかった1通の手紙が見つかる。 そこには、こう書かれていた。 「私は、美咲、南、そして彩に何が起きたのか知っています」 手紙をきっかけに再び動き出す捜査。座布団の中に隠された日記、古いカセットテープ、稚内へつながる謎の手紙、そして雪深い小屋の床下に眠っていた赤いマフラー。 3人はなぜ消えたのか。 教師・田中浩は何を隠していたのか。 17年間閉ざされていた雪の中の真実が、今、静かに姿を現す。ミステリー|行方不明1.5萬字5 1156