"6秒の着信" 第3話
1021朝、警察、消防、岳救助隊をとする捜索隊が岳へ入った。最初に点に調べられたのは、2が別々の方向へんだ分岐点と、午410分頃の監カメラが設置されていた区だった。滑落した能性を考え、登沿いの斜面や岩、沢の周辺まで員が配置された。
遭難者を探す、本そのものがすぐに見つからなくても、何らかの痕跡がることがい。のには滑った跡が残り、急な斜面では折れた枝や乱れた落ち葉が見つかることがある。転倒すれば筒や子、ストック、携帯話などを落とすことも珍しくないため、救助隊はさな異変も見逃さないよう慎にんだ。
しかし、ジフンとアリンにつながる物はつも見つからなかった。類の糸も、べ物の包装も、ペットボトルも、靴跡と断定できるものさえてこない。岳救助にく携わってきた隊員のは、に「あれほど何もない捜索はほとんど経験がなかった」と振り返っている。
翌には員が増され、空からの捜索も始まった。ヘリコプターとドローンがや崖、々に覆われた斜面を撮し、から見えない所まで確認していった。撮された量の映像は専班が拡し、赤や黒、といった2の装備にいがないかつずつ調べられた。
広告
捜索犬も投入された。ジフンの類やアリンの私物から匂いを覚えさせ、登から追わせると、犬たちは午に2が通ったについては比較定した反応を示した。ところが午3台の分岐点付に達した辺りから、そのきにらかな変化が現れた。
ある犬はのへ数メートルんだ、突然戻ってきた。別の犬はへんだが、途でち止まり、同じ所を円を描くように歩き始めた。ハンドラーを担当した職員によれば、や混みの響を考慮しても、2の匂いがある点から急激に瞭になっていたという。
この現象がに「2はに乗せられたのではないか」という説をむことになる。が歩き続けていれば匂いもに続くが、自などへ乗ればそこで突然追跡が難しくなるからである。しかし当の捜査員は、般両が入れないでその能性を真剣に考えることはなかった。
公式の登から100メートル、200メートルと範囲は広がった。救助隊はのほとんど入らない斜面までり、沢に沿って岩の裏や倒のを調べた。葉の落ち葉がく積もった区では棒を差し込みながら元を確認したが、それでも成果はなかった。
捜索が3目、4目と続くうちに、族の表は変わっていった。
広告
ジフンの父親は朝から現へ来て救助隊員へ温かいみ物を配り、母親は登の入で息子の名を何度も呼んでいた。アリンの両親も隣の病院や救急関へ連絡を続け、娘が元のまま搬送されていないか確認していた。
「2目までは、けがをしてけないだけだとっていました。でも3、4と過ぎて、の部すら見つからないと聞いたから、で普通の事故に遭ったのではない気がしてきたんです」
アリンの母親がに語った言葉だった。
捜索始から1週が過ぎる頃には、岳遭難の専も加わった。気温、装備、料、2の体力を総すれば、けない状態でにいた、すでにの能性はきくしていると判断された。それでも族は捜索の継続を求め、民の登団体やボランティアもへ入った。
約2週にわたる規模捜索の結論は、異例なものになった。
「方者2名に関連すると判断できる物理痕跡は確認されず、般な岳遭難と比較して著しく自然である」
報告にそう記された、ジフンとアリンはすでに「で迷った恋」ではなくなっていた。警察内部でも、第者との接触を定した失踪事件として検討する必があるという見がまり始めたのである。
だが、第者のを示す証拠はなかった。
なくとも、そのまでは。
2019のが来ると、岳はいに覆われた。になって解けがむと再び規模な捜索がわれたが、たながかりはなかった。
広告
おすすめ作品
-
完結第11話
飛騨の農家に消えた嫁
1995年、岐阜県飛騨地方の山あいにある和牛農家へ嫁いだ27歳のゆき子。 よく働き、誰にも逆らわず、慣れない村で必死に暮らしていた彼女は、ある冬の日、牛舎へ向かったまま姿を消した。片方だけ残された長靴。消えた青いジャンパー。そして、家族が語った「自分から出て行った」という言葉。 警察は深く調べることなく、失踪は家出として処理された。 それから8年。村では何事もなかったように季節が巡り、義父の幻蔵は“誠実な畜産農家”として周囲から慕われ続けていた。 しかし、牛舎裏の堆肥の山から見つかった人骨が、止まっていた時間を動かす。 長年誰も近づけなかった壺のそば。夜ごと繰り返された寝言。真冬の洗車場で執拗に洗われた軽トラック。 誰も探さなかった若妻は、8年間どこにいたのか。 そして、家の体面を守るために義父が隠し続けたものとは――。ミステリー|行方不明1.6萬字5 35 -
完結第12話
壁の中の13年
平成3年、埼玉の小さな町で、妊娠8か月の美智子が突然姿を消した。 財布も出産準備の品も家に残されたまま。昼にはスーパーで買い物をし、公衆電話から誰かへ電話をかけ、その後、背の高い男と歩く姿を目撃されたのを最後に、彼女の行方は分からなくなる。 夫の誠、東京にいたはずの兄・茂、そして美智子を追い詰めていた山田家の沈黙。 警察は夫を疑い、町は噂に揺れたが、決定的な証拠は見つからないまま、事件は13年の時に埋もれていく。 しかし平成16年、再開発で古い家が解体された時、寝室の壁の内側から、長年隠されていたものが見つかった。 あの日、美智子は誰に電話をかけたのか。 そして、壁の中に封じられていたのは、彼女の行方だけではなかった――。ミステリー|真相1.8萬字5 499 -
完結第14話
10年目のゲームボーイ
1991年、8歳の誕生日会の最中に、篠原恵美の息子・直樹は忽然と姿を消した。 公園には多くの親子がいた。ほんの数分前まで、直樹は青いゲームボーイを手に友達と遊んでいたはずだった。だが、気づいた時にはどこにもいない。目撃者も、手がかりも、残された物もなかった。 それから10年。 息子を見失った母の時間だけが、あの日のまま止まっていた。 そんなある日、友人に連れられて訪れたフリーマーケットで、恵美は古い玩具の山の中から一台の青いゲームボーイを見つける。そこには、直樹が自分で貼ったはずの3枚のシールが、記憶のまま残されていた。 それを売っていたのは、かつて地域で信頼されていた元警察官の男。 なぜ、消えた息子の持ち物が10年後にそこへあったのか。 そして男が思わず口にした「息子」という言葉が、隠されていた10年の闇を少しずつ暴き始める――。ミステリー|裡の顔2.1萬字5 183 -
完結第13話
消えた23人の観光団
2025年9月29日、福岡に約2700人の団体観光客が一斉に降り立った。 その日を境に、日本各地で不可解な失踪が相次ぎ始める。タクシー運転手、配達員、宿泊施設の関係者――いずれも夜、一人で行動することの多い男性たちだった。 やがて糸島の海岸で発見された身体の一部が、事件の扉を開く。 捜査を進める刑事・鈴木健二は、失踪した観光客、黒いワゴン車、古い倉庫、医療機器販売会社、そして横浜港へ向かう冷凍コンテナという、ばらばらに見えた点を追い始める。 これは単なる失踪事件ではない。 観光の人波に紛れ、日本の空き倉庫や港を利用して動いていた国際犯罪組織。その裏には、人間を“商品”のように扱う恐ろしい取引が隠されていた。 救える命はまだ残っているのか。 そして、海へ消えた男と「王」と呼ばれる人物の正体とは――。 福岡から始まった小さな違和感は、やがて日本全体を揺るがす闇へとつながっていく。ミステリー|真相2.0萬字5 202 -
完結第12話
床下の小さな指輪
1991年、群馬県山川町の古い油屋で、嫁の佐藤美優が幼い息子を残して姿を消した。 家族は「男と駆け落ちした」と証言し、町にもその噂は広まった。働き者で、息子を誰より大切にしていたはずの美優は、いつしか“子供を捨てた母親”として語られるようになる。 それから6年後。 借金で差し押さえられた油屋の離れを壊した時、床下のセメントの奥から、人骨と小さな金の指輪が見つかった。 美優は本当に家を出たのか。 なぜ姑は、離れを壊すことだけを必死に止めたのか。 そして彼女が最後まで握りしめていた指輪は、誰のためのものだったのか――。ミステリー|真相1.8萬字5 159 -
完結第11話
11年目のコロッケ
14歳の秋、黒田み咲の母・裕子は「夕飯のおかずを買ってくるね」と言って家を出たまま、二度と戻らなかった。 父は、母が家の金を盗み、近所の男と駆け落ちしたのだと親族に告げた。置き手紙も見つかり、周囲の大人たちは皆それを信じた。残されたみ咲は、“泥棒の娘”として11年間、父と継母、そして親族たちから辱められ続けることになる。 しかしある法要の日、裏山の古い井戸から、母が消えた日に買ったコロッケのレシートと、泥にまみれたカーディガンが見つかる。 母は本当に男と逃げたのか。 なぜ、継母の失くしたはずのイヤリングが井戸の底にあったのか。 そして、11年間沈黙していた“目撃者”が現れた時、黒田家が守り続けてきた嘘は音を立てて崩れ始める。 母に捨てられた娘だと思い込まされてきたみ咲が、封印された真実へたどり着くまでの、愛と復讐の物語。ミステリー|行方不明1.6萬字5 1415 -
完結第15話
灯油札の密告
2005年11月、長野県の山あいにある静かな村で、工藤家の住宅が深夜に炎に包まれた。 家の中には、父と母、そして7歳の息子。近所の人々が助け出そうと駆けつけるが、玄関には外側から鎖と南京錠が掛けられ、勝手口も角材で封じられていた。 これは事故ではない。 誰かが一家を逃げられないように閉じ込め、火を放ったのだ。 村人たちは涙ながらに犯人探しを願い、特に隣人の男は誰よりも深く悲しんでいるように見えた。だが刑事・星野は、焼け跡に残された不自然な痕跡と、その男の身体にあった小さな傷に違和感を覚える。 そして事件から数日後、町の貴金属店に持ち込まれた大量の一万円札が、捜査を大きく動かす。 その紙幣には、かすかな灯油の匂いが残っていた。 炎で消されたはずの夜に、いったい何があったのか。 そして、最後まで燃え残った“匂い”は、誰の罪を指し示していたのか――。ミステリー|遺體発見2.3萬字5 255 -
完結第10話
雪下の赤いマフラー
1998年11月12日、雪の降る旭川で、赤いマフラーを巻いた3人の女子高校生が忽然と姿を消した。 双子の美咲と南、そして親友の彩。3人は放課後の演劇部の練習を終え、いつものように学校を出たはずだった。だが、その日を境に、家族のもとへ帰ることはなかった。 捜索は続いたが、足跡も持ち物も見つからない。吹雪がすべてを消してしまったかのように、事件は未解決のまま17年の歳月が流れていく。 そして2015年。元郵便配達員の古い鞄から、17年間届けられなかった1通の手紙が見つかる。 そこには、こう書かれていた。 「私は、美咲、南、そして彩に何が起きたのか知っています」 手紙をきっかけに再び動き出す捜査。座布団の中に隠された日記、古いカセットテープ、稚内へつながる謎の手紙、そして雪深い小屋の床下に眠っていた赤いマフラー。 3人はなぜ消えたのか。 教師・田中浩は何を隠していたのか。 17年間閉ざされていた雪の中の真実が、今、静かに姿を現す。ミステリー|行方不明1.5萬字5 1156