"私を変えた元嫁" 第10話
梨奈が鍵を見た。
「いいんですか」
「あなたが見せろって言ったんでしょう」
「そうですけど」
美津はし笑った。
「私も変わったんです」
梨奈も笑った。
その夜。
美津はでへ帰った。
の鍵を梨奈へ渡した。
帳簿も見せる。
商品も任せる。
しなら、を奪われるような気がしただろう。
今も全く怖くないわけではない。
梨奈が成するほど、自分の番は減る。
いつか宮本に、美津がいなくてもよくなるが来る。
でも。
そのが来ることと、
自分のが終わることは別なのだと、
ようやくし分かり始めていた。
梨奈が宮本へ戻ってから3が経った。
美津は66歳になった。
には以なかったものが増えた。
さなイートインスペース。
オンライン発送専用の作業台。
国客向けの商品カード。
若い職が考案した抹茶と柑橘の羊羹。
梨奈が提案したスタッフ用のしい制。
反対したものもい。
今でも見がぶつかる。
梨奈も以ほど美津へ慮しない。
「それ、根拠あります?」
と平気で聞く。
美津も、
「私が嫌だから」
と答えることがある。
それでも以のように、
自分が主だから最は従わせる、
とは考えなくなった。
数字をす。
試す。
駄目なら戻す。
梨奈から教わった方法だった。
ある。
元聞から取材依頼が来た。
テーマは、
《老舗をつなぐの女性》
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だった。
記者は美津と梨奈を並べて写真を撮った。
そのあと質問した。
「梨奈さんを継者として育てられたんですか?」
昔なら、美津はんで答えた。
《最初は何もらない子だったんですよ》
《挨拶から全部教えました》
《私がから育てたようなものです》
が覚えているくらい何度も言った言葉だった。
美津は梨奈を見た。
梨奈もこちらを見た。
しだけ笑っている。
美津は答えた。
「いいえ」
記者が驚いた。
「違うんですか?」
「教えたことはあります」
美津は言った。
「でも育てたなんて言ったら、またられるから」
梨奈が吹きした。
記者も笑った。
美津は続けた。
「むしろ、私の方が変えられました」
梨奈の笑顔が止まった。
「私はずっと、って守るものだとってたんです。嫁もにわせるものだとってました」
記者がメモを取る。
「でも違った?」
「守るために変えることもあるし、はの形に削るものじゃないって、最やっと分かりました」
梨奈は何も言わなかった。
取材。
の奥で梨奈が聞いた。
「今、どうしたんですか」
「何が?」
「急に派なこと言って」
「失礼ね」
で笑った。
「でも」
梨奈はし声を落とした。
「嬉しかったです」
美津は照れた。
「そう」
それだけ答えた。
数ヶ。
宮本は法化した。
美津が代表取締役。
梨奈が取締役兼舗責任者。
株式の部分は美津が持っている。
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すぐにを渡すわけではない。
梨奈自も、「あと数見てから決めたい」と言っている。
以なら、その曖昧さが耐えられなかった。
今はそれでいい。
拓とは婚も、々連絡を取っている。
息子は暮らしを続けている。
、別の女性と交際していると報告を受けた。
美津は、
「今度はを裏切るようなことしないで」
とだけ言った。
梨奈には伝えていない。
もう関係のない話だった。
それでもに度。
隆の命だけは、議なことに梨奈もへ来る。
元義父。
血縁も法関係もない。
なのに、
「隆さん好きだったから」
と梨奈は言う。
美津は何も聞かない。
族かどうかを、もう分類しなくなった。
のある。
閉。
梨奈がの奥でしい包装を広げていた。
い青。
のさな模様。
美津は見た瞬、
「宮本らしくない」
と言った。
梨奈が顔をげた。
「ました」
「何が」
「宮本らしくない」
美津はしむっとした。
「本当にそううんだから仕方ないでしょう」
「じゃあどこが?」
「が暗い」
「級です」
「仏事みたい」
「入ってますよ」
で10分く言いった。
最に梨奈が言った。
「じゃあ100枚だけ試します」
美津は腕を組んだ。
「50」
「80」
「60」
「70」
美津はし考えた。
「70」
梨奈が笑った。
「決まり」
昔なら、
最は自分が勝たなければ気が済まなかった。
今は70枚が売れるのかどうかの方が気になった。
翌週。
しい包装を使った季節箱はよく売れた。
美津はし悔しかった。
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