"赤いバイクと最後の新聞" 第5話
「そうだ」
「まだ届いてるんですか?」
田所は返事をせず、聞を折った。
川は帳簿を確認した。
購読止。
やはり12末で終わっている。
「おかしいな」
もう度聞を見る。
「販売の違いかな」
「違いじゃない」
田所が言った。
「え?」
「俺が買ってる」
川は瞬、が分からなかった。
「田所さんが?」
「ああ」
「自分で?」
「そうだ」
川はわず笑いかけたが、田所の顔が真面目なので笑えなかった。
「どうしてです?」
田所は配達袋の留めを閉じた。
「読んでる子がいるから」
「でも、あと1かくらいですよ」
「ってる」
「学もなくなるんですよね」
「ああ」
「だったら聞くらい、なくても困らないでしょう」
田所は黙って袋をはめた。
川は続けた。
「しかも、あのだけで往復40分くかかるじゃないですか。学宛ての郵便もほとんどないのに、聞部のために毎がるんですか?」
田所はヘルメットをに取った。
「川」
「はい」
「最のまでは学だからな」
「……はあ」
それだけ言って、田所はへた。
川はその背を見送った。
最のまでは学。
言葉のは分かる。
けれど、なぜそれが自腹で聞を買い、を往復する理由になるのかは分からなかった。
その朝。
ノ分では、3の子どもたちがストーブのに集まっていた。
「今は遅いな」
6のが窓を見る。
8をし過ぎている。
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昨夜またがった。
先も配になり、へた。
すると坂のからが見えた。
田所だった。
バイクは途でに埋まり、かなくなっていた。
田所は聞の入った配達袋だけを肩にかけ、最の坂を歩いてがってきていた。
「田所さん!」
先が駆け寄った。
「そこまでして来なくても」
「途までは来られたんです」
「でも聞だけでしょう?」
田所は息をえた。
「はい」
「今は休んでも誰もりませんよ」
田所は舎の窓を見た。
そこから3の顔が覗いている。
「待ってるでしょう」
先も振り返った。
子どもたちは窓ガラスへ顔をづけていた。
田所は玄関へ入り、袋から聞を取りした。
「ほら」
「田所さん、歩いてきたの?」
「バイクが怠けた」
子どもたちが笑った。
「田所さんより先に疲れたんだ」
「そうらしい」
「今の記事は?」
「読めば分かる」
田所の肩にはが残っていた。
先がストーブのへ子をす。
「し温まっていってください」
「配達が残ってます」
「5分くらい」
田所はし迷い、子に座った。
子どもたちは机ので聞をいている。
そのの記事は、のき物についてだった。
「田所さん、見たことある?」
が尋ねた。
「ああ」
「きい?」
「より広い」
「より?」
「向こう側が見えない」
「本当に?」
田所はストーブへをかざしながら頷いた。
「聞に載ってるだろ。嘘だとうなら、になったら自分で見にけばいい」
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6のが聞から顔をげた。
「俺もけるかな」
「こうとえばける」
田所の声は、いつもよりしだけかった。
「ここにんでるからって、ここしからなくていいわけじゃない」
先はその言葉を聞いた。
どこかで聞いたことがあるような言い方だった。
しかしいせなかった。
5分。
田所は再びのへていった。
子どもたちは、いつものように聞を読んでいた。
自分たちがにしているその部を、田所が毎自分の料から買っているとは、まだ誰もらなかった。
3がづくと、ノ分の教からしずつ物が消え始めた。
使わなくなった教材。
古い図。
余った文具。
本へ運べるものには札がつけられ、処分するものは別の箱へ入れられた。
子どもたちは最初、その作業を面がっていた。
「これ持って帰っていい?」
級が古い鉛を見せる。
「学のものだから、勝には駄目だよ」
「閉まるならいいじゃん」
先は苦笑した。
「閉まるまでは学のものだ」
その言葉をにしてから、先はふと田所をいした。
最のまでは学。
川から聞いたわけではない。
ただ、田所も同じような言葉を以にしていた。
先はし議にったが、そのはく考えなかった。
閉式の準備も始まった。
の老たちが昔の写真を持ってきた。
「これは昭20代だ」
「こっちはもっとだな」
「この先、覚えてる」
教の机に写真を広げる。
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