みかん小説
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"壁の中の13年" 第2話

「お腹、きくなったね。無理しちゃ駄目よ」

佐藤さんが声をかけると、美智子は腹にを添えて笑った。「あとしですから」と答えた表に、特別変わった様子はなかった。に警察から何度聞かれても、佐藤さんは「あの朝の美智子さんは、いつもの美智子さんでした」と証言することになる。

しかし、そのの夜までに、美智子は町から姿を消した。

そして13、誰にも見つからなかった。

10頃、予定どおり義母がを訪ねた。美智子はお茶をし、体調について聞かれると「丈夫です」と答えたが、義母はそれだけでは納得せず、蔵庫をけてを確認した。「おかずがないわね」と言われ、美智子は午にスーパーへくつもりだと説した。

義母は「いものを持つのはやめなさい」と注しながらも、息子が最遅く帰ってくることについては、美智子に責任があるような言い方をした。「誠も疲れてるんだから、では休ませてあげないとね」と言われ、美智子は何も反論せず、さく頷いた。義母は30分ほどで帰ったが、玄関をる直に「今、誠はく帰るの?」と尋ねている。

「分かりません。最、帰りが遅いので」

美智子がそう答えると、義母はわずかに眉をひそめた。その表に美智子が何をじたのかは、になっても誰にも分からなかった。

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義母はそのまま自宅へ戻り、それが彼女がきている美智子を見た最となった。

正午、美智子は町のスーパーへ姿を見せた。主の鈴さんによれば、買ったのはインスタントラーメン、牛乳、量の野菜で、妊娠8かの女性が持って帰れないほどの量ではなかった。会計の際、鈴さんが「で歩くの変でしょう」と声をかけると、美智子は「ゆっくりなら丈夫です」と笑ったという。

ただ、そのだけは普段と違うことがつあった。美智子は会計を終えたあと、「10円玉を何枚か替えてもらえますか」と鈴さんに頼み、に設置されていた公衆話へ向かった。携帯話がまだ庭へ広く普及していなかった代で、公衆話を使うこと自体は珍しくなかったが、鈴さんは美智子が受話器を握っていたことを覚えていた。

が誰だったのかは分からない。美智子は話を終えると、買い物袋を提げてスーパーをていった。鈴さんは当、そのを特に気に留めなかったが、翌警察から聞き込みを受けて初めて、「そういえば話をしていました」とした。

1頃には、さらにな目撃証言が残されていた。町の入くを歩いていた70代の吉田さんが、美智子らしき女性と背のい男性が並んで歩く姿を見たのである。

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があり、ろ姿しか見えなかったため男性の顔までは確認できなかったが、暗いを着ていたという。

吉田さんは最初、それが夫の誠だとった。「妊婦さんが男のと歩いてたから、旦だとっただけだよ」と警察に説し、断定はできないと繰り返した。しかし誠はその、町かられた建設現で働いていたと主張していた。

2頃、義母がもう話をかけたが、誰もなかった。義母は美智子が昼寝をしているのだろうとい、それ以気にしなかった。夕方になってもから物音がないことを審にった所のはいなかった。

7、誠が帰宅した。かりは消え、玄関の鍵はかかっていなかったが、美智子の姿はどこにもなかった。台所には洗い終えた器が並び、寝には朝畳んだままの布団が置かれ、箪笥のには産準備の類もそのまま残されていた。

玄関を見ると、普段履きの靴のうちだけがなかった。財布については正確な確認ができなかったが、きな荷物を持ちした形跡もなく、旅たようには見えなかった。誠は義母へ話をかけたものの、「今は午に会っただけ」と言われ、次に佐藤さんや鈴さんのところを訪ねた。

「昼頃まではいたよ」

誰に聞いても、返ってくるのは同じだった。

夜9を過ぎても美智子は戻らず、誠は町のを何度も歩いた。駅、スーパー、診療所、くの公園まで探し回ったが、妊娠8かの妻はどこにもいなかった。

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