みかん小説
本棚

"10年目のゲームボーイ" 第4話

警官はし迷ったが、森田へ確認を取った。

しばらくして、若い女性の鑑識官が証拠品袋を持って現れた。

「確認だけでしたら」

「ありがとうございます」

ラボへ移し、鑑識官は慎にゲームボーイを取りした。

本体にはさな擦り傷がある。

シールも褪せていた。

それでも恵美には見覚えがあった。

源、入りますか?」

「試してみましょう」

池を入れる。

スイッチをかす。

しのがあり、画面がるくなった。

恵美はわず元を押さえた。

「まだくんですね」

鑑識官もし驚いていた。

にソフトが入っています」

彼女がソフトを抜く。

褪せたラベルが見えた。

恵美は息を止めた。

「それ……直番好きだったゲームです」

「確かですか?」

「何度も見ています」

かけるも、そのソフトを入れたままにしていた。

恵美は森田へ向き直った。

「これでも偶然なんですか?」

森田は簡単には答えなかった。

能性としては、直君がどこかで落とした物を誰かが拾い、それが何ものに渡ったことも考えられます」

「でも10、何もなかったんです」

「分かっています」

「これが初めてなんです」

恵美の声が震える。

「警察犬も、防犯カメラも、目撃者も、何もなかった。直がどこへったかを示す物はつもなかった。でも今、いきなりこれがてきたんです」

鑑識官が静かに言った。

広告

「指紋や残留物は調べます。ただ、にわたってくのが触れている物なので、期待しすぎないでください」

「分かっています」

ではそう言った。

だがは納得していなかった。

ゲームボーイは証拠品袋へ戻された。

そのさな袋を見ながら、恵美は直が子供の頃、そのゲームを膝に乗せて真剣な顔をしていた姿をした。

帰宅した頃には、体が鉛のようにくなっていた。

台所で湯を沸かし、お茶を入れる。

んでもがしなかった。

静かなになると、今度は別のが湧きがった。

自分は違っていたのではないか。

権田は本当に何もらず、たまたまゲームボーイを持っていただけなのではないか。

勢ので彼を誘拐犯のように責め、倒れ込み、警察まで呼ばせた。

しかも権田は、この域でく勤務した元警察官だった。

恵美はを抱えた。

「私……何やってるんだろう」

罪悪がじわじわと広がった。

しばらく迷った話を取った。

里子へかける。

「恵美? どうだった?」

「お願いがあるの」

「何?」

「もう度、欅町へ連れてって」

里子は黙った。

「権田さんに謝りたい」

「今から?」

「私、あんなふうにで騒ぐべきじゃなかった」

「でもゲームボーイは」

「それは警察が調べてくれる」

恵美は目を閉じた。

「もし彼が本当に何もらないなら、私はただのひどいよ」

広告

里子はく息を吐いた。

「本当にそれで気持ちが落ち着く?」

「分からない。でも謝らないままにいるのはもっと嫌」

「分かった」

10分ほどして里子が迎えに来た。

再びフリーマーケット会へ戻る頃には、午3を過ぎていた。

くのが片付けを始めている。

権田は自分ののトランクへ箱を積み込んでいた。

恵美たちに気づくと、骨に顔を曇らせた。

「またか」

恵美はげた。

「先ほどは、本当に申し訳ありませんでした」

権田は何も言わない。

であんなふうに責めるべきではありませんでした。直の物に見えて、取り乱してしまいました」

「今朝の騒ぎで、所に妙な噂が広まらなければいいがな」

たい声だった。

「私は何もここで平穏に暮らしてきたんだ」

「分かっています」

「もう帰ってくれ」

権田はそれ以話さず、残った荷物を取りに歩いていった。

恵美と里子はへ戻った。

「やるべきことはやったわ」

里子がエンジンをかけようとしただった。

に1台の緑のフォルクスワーゲン・ビートルが入ってきた。

丸みを帯びた体。

この辺りではかなり目つ。

運転席から、30歳の男がりた。

権田が戻ってきた。

いらしく、何かを言いっている。

「誰かしら」

里子が呟く。

権田は苛った様子で、きな段ボール箱を若い男へ押し付けた。

るか」

に乗って声が聞こえる。

箱の蓋がずれ、の物が面へ落ちた。

ゲームカード。

ミニカー。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: