"22年目の母席" 第6話
京子はし笑った。
「今は呼ぶんだね」
美緒の目から涙が落ちた。
京子はすぐ慰めなかった。
「私、今まで度も、麗子さんに会わないでって言わなかったでしょう」
「分かってる」
「あなたが会いたいなら会えばいいとった。母親がいてもいいとってた」
「うん」
「でも、私は減らされるんだね」
美緒は何も言えなかった。
京子はその沈黙で分だった。
「分かった」
「お母さん」
「式では京子さんでいるよ」
「違う、私」
「いいよ」
京子はちがった。
「今はもう帰りなさい」
美緒もった。
「話聞いて」
「今聞いたら、たぶん嫌なこと言うから」
それは脅しではなかった。
京子は本当に、自分のにある言葉を止められる自信がなかった。
玄関で美緒が振り返った。
「私、お母さんのこと事だよ」
京子は靴箱へ目を落とした。
「事なを、で別の名にするんだね」
美緒は泣いた。
京子も泣きたかった。
しかし涙はなかった。
ドアが閉まった。
静かな部に残る。
京子はリビングへ戻った。
棚のには、修平の写真がある。
「あなたの娘、ひどいよ」
写真へ言った。
もちろん返事はない。
「私の育て方悪かった?」
そう言った瞬、自分で苦しくなった。
美緒を責めたいわけではない。
困っていることも分かっている。
浦とうまくやりたい。
実母とやり直したい。
結婚式を揉め事なく終わらせたい。
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全部分かる。
だからこれまでの京子なら、また譲った。
「いいよ」と言った。
しかし初めて、
それをしたくなかった。
翌朝、京子は仕事へった。
サービスカウンターで商品の返品を受け、宅配便をし、迷子の放送をした。
昼休み。
同じ売りで働く友の本由美子が、京子の顔を見て言った。
「どうしたの?」
「何が?」
「顔」
京子は笑った。
「そんなひどい?」
「昨泣いた?」
「泣いてない」
「じゃあ今から泣きそう」
由美子とは12の付きいだった。
京子は初めて、結婚式の話をした。
全部聞き終えた由美子は、弁当の蓋を閉めた。
「で、京子はくの?」
「結婚式?」
「うん」
「くよ。娘だから」
由美子は首を傾げた。
「きたいの?」
京子は答えられなかった。
考えたことがなかった。
母親ならく。
それだけだった。
「母親だからじゃなくて、京子がきたいか聞いてるの」
由美子は言った。
「きたくないなら、かなくてもいいんじゃない?」
「そんなことしたら美緒が」
「また美緒ちゃんの話」
京子は黙った。
由美子はし優しい声になった。
「京子、ずっと自分からがってきたんじゃない?」
「何が?」
「実母に慮して。美緒ちゃんに慮して。くなった旦さんにも慮して」
そんなつもりはなかった。
けれど否定もできなかった。
「回くらい、『私は嫌だった』って言ってもいいんじゃない?」
その夜。
京子は美緒へメッセージを送った。
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《式にはます。でもつだけ伝えておきます。私は今回のこと、納得したわけではありません。美緒が事だから黙っているのでもありません。傷ついたまま席します。》
送信した。
10分。
20分。
返事は来なかった。
。
いメッセージが届いた。
《分かった。ごめんなさい。》
京子はそれを読み、
初めて「丈夫」と返さなかった。
結婚式までヶになった頃、式で最終打ちわせがわれた。
京子は最初、参加しないつもりだった。
ところがウェディングプランナーから直接話があり、披宴で流すプロフィール映像に使用する幼期写真について相談したいと言われた。
美緒が子どもの頃の写真は、ほとんど京子のにあった。
アルバムは14冊。
幼稚園代のものは修平が保管していた。
学以は、京子が撮った写真がい。
京子は選んだ30枚ほどを袋へ入れてホテルへ向かった。
打ちわせには、すでに麗子と静がいた。
美緒と達也は仕事がし遅れ、20分ほどに到着するという。
プランナーの松原が写真をテーブルへ並べた。
学2。
運会。
。
ピアノ発表会。
学入学。
修学旅。
文化祭。
学卒業。
麗子は枚枚を、初めて見るように眺めていた。
実際、初めてなのだろう。
「この頃、美緒はピアノやってたの?」
麗子が聞いた。
「学3から学1まで」
京子が答えた。
「らなかった」
「そうですね」
それ以は言わなかった。
静が枚をに取った。
学の美緒が、病院のベッドにいる写真だった。
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