"閉店写真館の11通" 第11話
昭40代の商。
どこのか分からない縁側。
名のない子ども。
運会。
盆踊り。
の。
裏に何もかれていない写真を見るたび、佐子は瀬写真館に残された通をいした。
全部の写真に名を戻すことはできない。
それでも、町の誰かが見れば「ここは昔の駅だ」「このは豆腐の主だ」と分かることがある。
枚の写真は、だけの記憶ではないのかもしれない。
12のある、図館へ坂井子から話があった。
瀬写真館がなくなったため、商でしい勤務先を聞いたらしい。
「息子から返事が来ました」
子は言った。
佐子は作業のを止めた。
「そうですか」
「写真、受け取ったって」
息子のはかったという。
《読みました。写真も見ました。来、そちらへきます》
それだけ。
「許してくれたんでしょうか」
子が聞いた。
佐子はし笑った。
「本に聞いてください」
「相変わらず何にも教えてくれない写真さんね」
「もう写真じゃないですよ」
「私には写真さんです」
話を切ったあと、佐子はしばらく窓のを見た。
の午。
を自転が通る。
向かいの公園で子どもがっている。
何の記でもないだった。
その週の曜、真理が佐子の部へ来た。
鍋の材料を持っている。
「急に何?」
「寒いから」
「自分のでべればいいでしょう」
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「鍋飽きた」
で台所にった。
真理が菜を切り、佐子が汁を作る。
包丁の使い方が危なっかしくて何度か注すると、「35歳に今さら言わないで」と嫌がられた。
事、真理がスマートフォンを取りした。
「これ見て」
画面に、枚の写真がた。
瀬写真館最のの集写真。
佐子と真理が並んでいる。
「会社のに見せたら、お母さん似てるって言われた」
「あなたがお母さんに似てるんでしょう」
「同じじゃん」
「違う」
くだらない話をした。
、真理はソファで眠ってしまった。
昔もの奥でよく寝ていた。
佐子は毛布をかけた。
スマートフォンを取ろうとして、やめた。
写真を撮ろうとったのだ。
眠っている娘。
テーブルに残った鍋。
空になった缶ビール。
特別なものは何もない。
父なら、こういうに撮ったのだろうか。
佐子はし考え、スマートフォンを取った。
枚だけ撮った。
音が鳴った。
真理がく目をけた。
「撮った?」
「起きてたの?」
「今の音で」
「ごめん」
真理はまた目を閉じた。
「別にいいよ」
佐子は画面を見た。
眠そうな顔。
髪も乱れている。
写真としてきれいではない。
消そうかとった。
やめた。
何か、この写真を見た自分が何をうのかは分からない。
真理が何をうのかも分からない。
もしかしたら、誰も見返さないかもしれない。
それでも今夜、娘がここで眠っていた。
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それだけは本当だった。
になる頃、佐子は図館で枚の古い写真を理していた。
昭50代らしい。
商の祭り。
勢の。
写真の央には子どもを抱いた若い母親がいる。
そのろに、カメラを持った男性が半分だけ写っていた。
顔は見切れている。
誰なのか分からない。
けれど佐子は、そのをく見た。
写真を撮るが、偶然別の写真へ写り込んだのだろう。
いつも写真の側にいる。
族を撮る父親。
子どもを撮る母親。
学事でカメラを持つ先。
誰かのを残しながら、自分はほとんど残らないたち。
佐子はデータ欄へ入力した。
《撮所:旧央商付》
《代:1970代半推定》
《物:》
そこまで入力して、保した。
。
昔なら、その文字を見ると何とか埋めたくなった。
今は空があってもいいとえる。
写真の側にもは続いている。
写らなかったから、なかったわけではない。
写っているから、それがすべてでもない。
夕方5。
図館の窓からのが入ってきた。
佐子は仕事を終え、パソコンを閉じた。
携帯話を見ると、真理からメッセージが来ていた。
《曜空いてる?》
佐子は、
《空いてる》
と返した。
すぐに返事が来る。
《桜見にこう》
佐子はし考えた。
以なら、がい、が混む、写真なら所でも撮れる、と理由を並べたかもしれない。
《いいよ》
と送った。
続けて、
《カメラ持ってく?》
と来た。
佐子は窓のを見た。
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