"閉店写真館の11通" 第2話
の原。
ビニールシート。
おにぎり。
麦わら子をかぶった子ども。
笑う女性。
写真のはし褪せていたが、写っているたちはまだ若かった。
封筒の名は、
《坂井子》。
所は、この町からで駅ほどれた所だった。
話番号は当然、今では使われていないだろう。
佐子は封筒を閉じた。
普通なら、そのまま処分すればいい。
20以の写真である。誰かが今さら取りに来る能性などほとんどないし、そのものがなくなる以、保管しておくもない。
ゴミ袋は机の横にあった。
佐子は封筒を持ちげた。
しかしに入れるに、先ほど見た枚の写真をいした。
原で笑っていた女性ではない。
写真の端に写っていた、学くらいの男の子だった。
の族がカメラを見ているのに、その子だけはしれた所で川を見ていた。
なぜか、そのろ姿が気になった。
佐子は封筒をゴミ袋へ入れず、机の側へ置いた。
残りの10通も、その横へねた。
「閉するまで」
自分に聞かせるように言った。
「それまでに度だけ、探してみよう」
見つからなければ捨てる。
それなら規則を破っているわけではない。
佐子はそう考えた。
その夜、へ帰ってから、古い所をインターネットで検索した。
坂井子という名は見つからなかった。
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ただ、所にあったはすでになく、その所にはさな介護付き宅が建っていることが分かった。
佐子は画面を閉じようとした。
しかし施設名のに表示された話番号を見て、しばらく指を止めた。
写真館を59歳まで続けてきたが、客を探すために話をかけたことなど度もなかった。
翌朝10。
してすぐ、佐子はその番号を押した。
これが、11通の封筒の最初だった。
坂井子は、きていた。
話を受けた施設の職員が入居者名簿を確認し、「同じお名の方がおります」と答えた、佐子は自分でも驚くほど緊張した。個報の関係で直接話をつなぐことはできないと言われたため、瀬写真館という名と連絡先を伝え、本に確認してもらうことになった。
そのの午4過ぎ、話が鳴った。
「瀬写真館さんですか」
いけれど、はっきりした女性の声だった。
「坂井子です」
佐子は事を説した。19988に預かったフィルムの写真が、古い未受取品のから見つかったこと。が閉するため理をしており、もし本の物なら返したいとっていること。
話の向こうは、い静かだった。
「1998?」
「封筒にはそういてあります」
「何が写ってます?」
佐子は写真を枚ずつ見ながら説した。原、バーベキューらしい具、い子の女性、子どもが、青いクーラーボックス。
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それを聞いていた子が、突然「ああ」とさな声をした。
「それ、私です」
その声が変わった。
「主と、息子と、妹の族です」
佐子は封筒の表を見た。
「取りに来られなかった理由、覚えていらっしゃいますか」
聞いてから、余計な質問だったとった。
しかし子は答えた。
「主が倒れたんです。その旅の」
脳血だったという。
夫は命を取り留めたが、半に麻痺が残った。入院、術、リハビリ、仕事の理と活が気に変わり、現像にしたフィルムのことなど完全に忘れてしまったらしい。
「ずっと、フィルムごとなくしたとってました」
子は言った。
「にしてたことまで忘れてたんですね」
「そうみたいです」
佐子は写真のの男性を見た。
原で缶ビールを持ち、し眩しそうな顔をしている。
この、そののが変わる。
写真のの本は当然らない。
「ご主は?」
佐子は慎に尋ねた。
「12にくなりました」
子は静かに答えた。
その週の曜、佐子は施設へ写真を届けた。
宅配便でもよかったが、子が「まで取りにくのは難しい」と言った、なぜか自分から「いのでお持ちします」と言ってしまった。真理に話すと、「お母さん、写真館じゃなくて配達になるの?」と呆れられたが、止められはしなかった。
子は82歳だった。
子ではなく杖を使っており、施設の面会へゆっくり歩いてきた。髪をくえ、のカーディガンを着ていた。
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