"床下の小さな指輪" 第9話
美優の顔から血の気が引いた。
「お義母さん……何をするんですか」
「健のを壊させるわけにはいかない」
「置いてください」
「警察なんかかせないよ」
文が鉄棒を振りげた。
「やめて!」
鈍い音が音になった。
美優の体が崩れた。
へ倒れた美優は、ほとんどかなかった。
だけがポケットへ伸びた。
にはさなの指輪があった。
ヒロトが1歳になったに用したものだった。
いつか成したに渡そうとい、切にしまっていた。
美優はそれを握った。
そして、そのをくことはなかった。
文は鉄棒を落とした。
自分が何をしたのか理解した瞬、体が震え始めた。
しばらくして健が戻ってきた。
「はあったか?」
部へ入る。
の美優を見た。
「何だ……これ」
文はすぐ息子へづいた。
「あんたがやったんだ」
「は?」
「あんたがさっき蹴ったからんだんだよ」
「俺は蹴っただけだ!」
「骨が折れる音がした。あれでんだんだ」
「母さんが……」
「あんたが殺したんだ」
文は息子の腕をつかんだ。
「警察が来たら、あんたは殺しだ。刑務所へくよ」
健の顔から血の気が消えた。
「どうすればいい」
「母さんが何とかする」
文は次男の英を起こした。
「何も聞かず、セメントを持っておいで」
「こんなに?」
「く!」
英がれへくと、美優が横たわっていた。
「義姉さん……」
「見るんじゃない」
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文は命じた。
3でれの板を剥がした。
湿ったを掘る。
美優の遺体をそこへ移した。
英は泣きながらセメントを練った。
ザッ、ザッ。
スコップの音がに混じった。
「全部覆いな」
文が言った。
「隙を残すんじゃない」
セメントが流し込まれた。
そのへ板を戻す。
は元のように塞がれた。
夜がける頃、文は庭のドラム缶で類や布団、美優の写真を燃やした。
ヒロトと写った写真も炎へ入れた。
最に塩を撒いた。
「来るんじゃないよ」
炎を見つめながら呟いた。
「ここへ戻ってくるんじゃない」
その、れにはきな京錠がかけられた。
そして文は商へていった。
ごま油や餅を配りながら泣いた。
「嫁が男を作って逃げた」
「赤ん坊まで捨てていった」
健の友には、見らぬ男とバスに乗る美優を見たと証言させた。
美優のは、へ埋められただけではなかった。
名まで汚された。
母親としてのまで否定された。
そので族は6、何事もなかったように暮らした。
文が自した、警察は健を改めて追及した。
「お母さんが話しました」
田は机の向こうに座った。
健は目を閉じた。
「殺したのは母です」
「あなたは現にいましたね」
「戻ってきたには終わっていた」
「それから?」
「怖かったんです」
「何が?」
「俺まで捕まるとった」
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健はい声で答えた。
「美優を殴ったことは認めます。でもを殴ったのは母です」
「遺体を隠すのを伝った」
「母に言われたからです」
「友に嘘の証言をさせたのは?」
健は黙った。
「美優さんが男と逃げたという話を作ったのは、あなたと文さんですね」
い沈黙の、健は頷いた。
「そうしないと疑われるとった」
「妻を捜さなかった理由は?」
返事はない。
「翌から喫茶に通っていましたね」
健は拳を握った。
「もうんでるとっていたからですか?」
「……」
「美優さんは、あなたのために300万円を返した」
「っています」
「それでも、またを取りに帰った」
「俺だって追い詰められてたんです」
田の表がたくなった。
「美優さんの方が追い詰められていたんじゃないですか」
健は顔をげなかった。
英も正式な供述調へ署名した。
自分は殺害には関わっていない。
母に呼びされ、兄に脅され、遺体を隠す作業に加わった。
類を焼くのを見た。
へセメントを流した。
その6、れを見るたびに美優のことをいした。
「毎晩じゃないですけど、にるんです」
英は泣いた。
「義姉さんが何も言わず、僕を見ているんです」
田は黙って聞いた。
事件の全体像はほぼ固まった。
文が美優を鉄棒で殴った。
健は事件直に妻へ暴力を振るい、を求していた。
、文と健、英が遺体をへ隠した。
証拠となる類や写真を焼却。
さらに健の友による虚偽の目撃証言を作り、美優が自らをたように見せかけた。
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