"床下の小さな指輪" 第7話
健は何も答えなかった。
田は部をて、今度は文のもとへ向かった。
「文さん」
文は苛った顔をげた。
「今度は何だい」
田はコップのを差しした。
「今回、このが差し押さえられた理由を本当にりませんでしたか?」
文の目が曇った。
「健さんが、また賭博で借を作ったんですよ」
「……」
「しかもあなたに黙って、の権利を持ちした」
文のが止まった。
田は続けた。
「6も同じだったんじゃないですか」
文の呼吸が乱れた。
「美優さんは健さんの借300万円を自分の貯で返した。その2に殺されている」
「黙れ」
「あなたは息子を守るために、嫁をへ隠した」
「黙れ!」
「6、遺体ので暮らしてまで守った息子ですよ」
田は静かに言った。
「その息子が今度は、そのごと借の担保にした」
文の顔が歪んだ。
「あなたが守ったものは何だったんでしょうね」
「やめろ……」
「健さんは、自分のアリバイが崩れた途端、母親がやったと言う準備を始めていますよ」
これは田が仕掛けた言葉だった。
しかし文のにはく刺さった。
「健が……?」
「誰のために黙っているのか、考えてください」
田は部をた。
文は1残され、井を見げた。
息子のためなら何でもしてきた。
を継がなくても許した。
賭博をしてもを用した。
嫁とのに問題が起これば、いつも息子の側についた。
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その果てに、美優まで失った。
それでも守った息子が、自分のを奪った。
「健……」
文は震える声で呟いた。
初めて、男へののに疑いがまれた。
警察はれ跡から回収された物を1点ずつ調べ直した。
そのに、ひどく錆びた鉄製の棒があった。
先端が角形になったい具で、く油の作業に置かれていたものらしい。
鑑定結果では、美優の部に残る損傷と、その角形の形状が矛盾しないとされた。
「凶器の能性がい」
田は報告を読みながら言った。
しかし6というが経っている。
表面の腐が激しく、指紋は残っていなかった。
田は舌打ちした。
凶器とわれる物があっても、誰が握ったかは証できない。
ただ、田には別の方法があった。
1号へ戻ると、文のへ黄い封筒を置いた。
文は2の事聴取で疲れ切り、頬もこけていた。
「何だい、それ」
「鑑定結果です」
田は鉄棒の写真を取りした。
「これを覚えていますね」
文は目をそらした。
「油にあった具なんて、いちいち覚えてない」
「美優さんの部の傷と形が致しました」
文のがわずかに震えた。
田はさらにを乗りした。
「それだけじゃありません」
文が見た。
「持ちの部に油が染み込んでいた。そのおかげで錆がなく、指紋が残っていました」
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文の顔から血の気が引いた。
もちろん嘘だった。
実際には指紋など検されていない。
「現照です」
田は平然と言った。
「結果がれば、誰がこれを握ったか分かります」
文は何も言わない。
「今のうちなら、偶発だったという説も聞ける。しかし指紋がたまで嘘を続けたら、事は違ってきます」
田はもう1枚のを机に置いた。
それは、田自が急いでいた偽の供述だった。
〈母が鉄棒をにした〉
〈私は止めたが、母は興奮していた〉
そんな文章を並べた。
「これは?」
文の声が震えた。
「健さんの供述です」
文はを取った。
「母が……鉄棒を……」
田は黙っていた。
「あの子が、これを言ったのかい」
返事はしない。
沈黙が、文の像を膨らませた。
「私を売ったのか」
文の目から涙が落ちた。
「私があの子を守るために……」
のでが震えた。
「40も、あの子のためだけに……」
突然、文は両で机を叩いた。
「そうだよ!」
田はかなかった。
「私が殴ったんだ!」
声が狭い部へ響いた。
「私があの女のを鉄棒で殴った!」
田は静かに尋ねた。
「なぜです?」
文は肩を震わせながら答えた。
「を渡さないと言ったからだ」
「誰に?」
「健にだよ」
「詳しく話してください」
文は両で顔を覆った。
「美優は、健が借のを求めたのに拒んだ。あの女はを隠していたんだ」
「何のためのです?」
「ヒロトの……」
文の声がさくなった。
「ヒロトの将来のためだと言っていた」
美優はすでに健の借を何度も肩代わりしていた。
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