みかん小説
本棚

"23回拒まれた元部長" 第12話

しかし、肩きのない所では、は命令を聞く義務がない。休のゴルフ練習で、パソコンサークルで、写真講座で、相は加藤の部ではなく、同じ料を払い、自分のを楽しみに来ただった。そこで必だったのはかす能力ではなく、「相が望んでいないならがる」という、ごく普通の距だった。

加藤が失ったものは、ゴルフ練習でもパソコンサークルでもなかった。

もっときかった。

誰かが自分にづいても警戒しない関係、自分の言葉を善として受け取ってもらえる信用、そして「このなら嫌だと言えばやめてくれる」とってもらえる最限のだった。識や経験を誇るほど、その台になる信頼だけがしずつ削れていった。

のある、佐藤はゴルフ練習の休憩スペースで野と缶コーヒーをんでいた。偶然加藤の話になり、野が「最は見ませんね」と言ったため、佐藤は「別の趣を見つけたみたいですよ」とだけ答えた。とも、それ以追いかけて話題にする必はないとっていた。

「変わったんでしょうかね」

佐藤が何気なく言うと、野はし考えてから首を振った。

は、嫌な目に遭っただけでは変わらないですよ。自分が違っていたとえたに初めて変わるんでしょうね」

広告

佐藤はその言葉に頷いた。23回の拒絶を突きつけられ、自分が嫌だと言った瞬をそのまま返され、複数の所から追われても、加藤は最まで「自分が悪かった」とは考えなかった。彼にとって反省とは、自分の価値が違っていたと認めることにく、それだけはどうしても受け入れられなかったのだろう。

その頃、隣町の域交流センターでは、しいスマートフォン講座が始まっていた。休憩、画面を拡できず困っている70代の男性の横へ、いポロシャツを着た加藤がづいていく。以より髪はくなっていたが、相元を覗き込む表には、あのと同じ自信が浮かんでいた。

「そこ、違いますよ。元企業の管理職だった僕が、もっと効率のいい方法を教えてあげましょう」

男性は困ったように笑い、「いや、まず自分でやってみます」と答えた。加藤は瞬だけ黙ったものの、すぐに子を寄せ、「自分でやるより、最初に正しい方法を覚えた方がいんですよ」と続けた。

所を変えても。

具を変えても。

加藤は、まだ“司”を辞められずにいた。

そして本だけが、自分がどこへってもく居所を失う本当の理由を、最まで理解していなかった。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: