みかん小説
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"11年目のコロッケ" 第9話

「最初は、み咲さんへの言葉です」

鑑識員が読みげた。

するみ咲へ。どうかきなさい。お母さんはいつもあなたのそばにいる』

界が滲んだ。

暗い箱ので、母が最に考えていたのは私だった。

「続きがあります」

鑑識員の声がくなった。

父への言葉だった。

母は、父が扱っていた巨額の正資について記していた。

自分が事に仕掛けた処理によって、父が管理しているとっていた部の資がすでに別の管理へ移されていること。

父が見ていた残が、実際の資状況をそのまま示していないこと。

「そんな……」

父はを抱えた。

さらに京子への言葉が残っていた。

『私がまだ息をしているとりながら、あなたはをかけた』

座敷の全員が京子を見た。

父まで信じられない顔をした。

「京子……お……」

た。

「私も見ました」

京子が首を振る。

「嘘よ」

「健さんがへ入った、箱のから裕子さんの声が聞こえていた」

の声が震えた。

「京子さん。あなたは笑って言った。『しぶとい女ね。になさい』と」

「違う!」

京子が叫んだ。

「偽造よ! み咲が作ったのよ!」

私は歩もかなかった。

「あなたの嘘はもう終わりです」

「黙れ!」

「母を侮辱するのも、今で終わりです」

京子は刑事に押さえられながら暴れた。

父も抵抗する力を失っていた。

しかし黒田刑事がフロッピーディスクを再確認している途、私はもう1つ気になっていたことを條老へ尋ねた。

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「おじい様。母が残した記録は、本当にこれだけですか」

條老はしばらく黙った。

その、玄関から音が響いた。

全員が振り向いた。

黒いスーツ。

柄な体。

目から顎へる古い傷。

父の顔が恐怖に引きつった。

「郷田……」

父が最も恐れてきた男だった。

父は、郷田が率いる裏社会の組織と取引していると信じ、正資かしていた。

京子が男を見た瞬、必に指差した。

「その女よ!」

私を指す。

「おを盗んだのはみ咲と裕子よ! 私たちは関係ない! この女を連れていって!」

郷田は京子を瞥した。

「黙れ」

それだけで京子の声が止まった。

郷田は條老む。

そして、げた。

父の目が見かれた。

條先。ご指示の確認、完しております」

私は郷田へげた。

「11、ありがとうございました」

郷田も私へ礼した。

父は理解できず、を半きにしていた。

條老が父へ言った。

「おが郷田組と呼んで恐れていた組織は、最初からおっていたようなものではない」

父の顔から血の気が引いた。

「郷田は私の部だ」

「そんな……」

「お正なの流れを追うために、泳がせていた」

父は言葉を失った。

自分は裏社会とつながり、誰にも逆らえない力をにしているとい込んでいた。

しかし実際には、そのくが監されていた。

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「おは11、私たちので踊っていたんだ」

父は畳へ崩れた。

「俺は……何だったんだ……」

「犯罪者だ」

條老が静かに答えた。

黒田刑事が父と京子を連しようとした條老が声をかけた。

「待ちなさい」

父が虚ろな目をげる。

「まだ1つ、見せておくものがある」

しかしその、鑑識員が再び属箱を確認し、蓋の内側に残された文字を詳細に記録していた。

母の言葉は私へのメッセージだけではなかった。

父と京子がったこと。

自分が最まで何を守ろうとしたのか。

そして、私にどうきてほしいのか。

私はそれを聞きながら、14歳の自分をした。

玄関で笑った母。

「コロッケも買ってくるね」

私は何もらずに「待ってる」と答えた。

母は帰ってこなかった。

それから11、私は母に捨てられた娘としてきた。

親族から笑われた。

活も壊された。

就職を妨害された。

婚約さえ潰された。

に閉じ込められ、何度も「おは価値がない」と言われた。

それでも母が私を捨てたという話だけは、どうしても信じられなかった。

その覚だけを支えにきてきた。

今、ようやく分かった。

母は私を捨てたのではない。

の瞬まで、私を守ろうとしていた。

警察官が父へ錠をかけた。

京子も女性警察官に拘束された。

「私は何もらない!」

京子は最まで叫んでいた。

「健さんが全部やったのよ!」

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