みかん小説
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"終電の風呂敷" 第9話

1138分になるたび。

から入を見る癖が抜けなかった。

は別の駅へ異した。

度成はさらにみ。

駅の周辺にも。

しい宅や商が増えた。

方から集団就職で京する若者たちは。

相変わらず勢いたが。

彼らを取り巻く環境も。

しずつ変わっていった。

さらにが過ぎ。

駅には自券売が増え。

の切符も。

改札鋏も。

しずつ姿を消していった。

も。

結婚し。

子供を持った。

ある

になった娘が。

から遅く帰ってきた。

妻はもう寝ていたため。

が台所にった。

炊飯釜には。

えたご飯がし残っていた。

娘は。

「お腹すいた」

と言った。

は。

なぜか。

36駅をした。

古い女子寮。

油の染みた作業着。

赤くなった女たちの

そして。

呂敷。

はご飯をに取り。

塩をつけ。

握った。

形は。

ひどく格好だった。

「何これ」

娘が笑った。

「握り飯だよ」

「見れば分かるよ」

「ならべろ」

娘は笑いながら。

かじった。

は。

その姿を見ているうちに。

ようやく理解した気がした。

トキが毎晩運んでいたものを。

あれは。

べ物だけではない。

故郷かられた子供に。

「あなたのことを気にしているがいる」

と伝えるためのものだった。

らなくてもいい。

続いたか。

記録に残らなくてもいい。

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度受け取った優しさを。

別の誰かへ渡す。

それだけで。

とのには。

見えないが残る。

36

京郊さな私鉄駅。

1138分。

の老婦が。

毎晩。

最終に乗った。

会社の記録には。

おそらく。

彼女の名は残っていない。

に。

何個の握り飯を運んだか。

それを数えたもいない。

聞記事にもならなかった。

表彰されたわけでもない。

それでも。

夜勤を終えた女たちのには。

経っても。

あの噌の匂いを。

覚えていたがいたかもしれない。

自分が母親になった

子供が遅く帰った夜。

ご飯を握りながら。

ふとしたもいたかもしれない。

「あの、おばちゃんがくれたな」

そうやって。

つの握り飯が。

次の誰かへ渡っていく。

という代をかしたのは。

きなだけではなかった。

幹線でも。

でも。

名な経営者でもない。

方をれて働いた。

15歳や16歳の女たち。

その子供たちを送りした族。

そして。

誰にも頼まれていないのに。

「せめて、この子たちがお腹をすかせないように」

そうった。

名もないたち。

代の記録には。

残らなくても。

の記憶には。

残るものがある。

36

京の片隅をる最には。

毎晩。

数個の握り飯を抱えた老婦が乗っていた。

そのさな呂敷のには。

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い故郷の母親たちが。

本当なら娘へ渡したかったものまで。

緒に包まれていたのかもしれない。

それから何も経ったあるは仕事の帰りに、久しぶりに駅でりた。駅舎はすでに改装され、昔の造の待も、裸球の灯もなくなっていた。かつて女たちが暮らしていた女子寮のあたりにはしい集宅が建ち、の建物も部が取り壊されて、昔の面を探す方が難しいほど町は変わっていた。

それでもは、記憶を頼りに細いを歩いてみた。の夜、トキのを追ったは舗装され、幅も広くなっていたが、曲がり角だけは昔とほとんど変わっていなかった。あの夜、柱のに隠れて呂敷がかれるのを見ていた自分の姿が、まるで昨のことのようにされた。

女子寮があった所のくには、さな公園ができていた。がベンチに腰をろしていると、買い物袋を提げた60歳の女性が孫らしい女の子と緒に通りかかり、公園の入を止めた。女性はしばらく周囲を見回した、「昔ね、ここに女の子ばかりの寮があったのよ」と孫に話し始めた。

「おばあちゃんも、ここにんでたの?」

「そう。青森からてきてね」

その言葉に、わず顔をげた。女性の横顔には見覚えなどなかったが、「青森」

という名だけで、記憶の奥から女の姿が浮かびがった。夜勤帰りの作業着姿で、トキからつの握り飯を受け取っていた幸子だった。

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