みかん小説
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"35万円の空冷蔵庫" 第10話

涙が溢れた。

「お義父さん……」

父は見ていた。

弓がどんな扱いを受けても黙って働いたこと。

誰も見ていないところで父を気遣ったこと。

20、本さえ「誰にも分かってもらえない」とっていた優しさを、父だけは記録していた。

母は首を振った。

「そんなの偽物よ!」

跡鑑定してもいい」

私は帳を閉じた。

「そして、こっちが本物だ」

叔父がもうつの類をく。

正式な方式で作成された遺言だった。

父は自分の財産について確なを残していた。

私は内容を読みげた。

母と浩司の財産管理にい懸があること。

男である私へ財産のを託すこと。

そして何より、

『健は弓さんを切にし、涯守ること』

と記されていた。

私はその文で声が詰まった。

父は私より先に分かっていた。

私が守るべきものが何なのか。

母が叫んだ。

「夫婦なんだから、正雄のおは私が使って何が悪いのよ!」

「問題はそこじゃない」

私は言った。

「父さんのを勝かしただけじゃない。その、それを隠して『何もない』と俺へ嘘をつき、5仕送りまで受け取った」

「私は妻よ!」

「俺も息子だ」

男なんだから親を支えるのは当然でしょう!」

「支えるのと騙し取るのは違う」

母は言葉に詰まった。

私は続けた。

「達也と相談して、の流れについて正式に返還を求める準備をめている」

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「返還?」

「約3000万円についてだ」

浩司がを抱えた。

「無理だよ!」

「何が?」

「3000万なんて返せるわけないだろ! 俺は800万の借だってあるんだぞ!」

「それは俺には関係ない」

「兄貴!」

私はもうつ資料をした。

「それから母さん」

「何よ……」

「父さんのは全部浩司へ渡したと言ったな」

母の目がいた。

「実際に浩司へ渡したのは約2000万円だ」

親戚たちがざわつく。

浩司が母を見た。

「何……?」

私は通帳の記録をした。

「残り約1000万円は、今も母さん名義の別座に残っている」

母が青ざめた。

浩司はゆっくりがった。

「母さん……」

「違うの」

あるの?」

「これは老のために……」

「俺がなくてにまでしたのに?」

浩司の声が震えた。

「母さん、もうないって言ったよな」

「だって私だって活があるでしょう!」

「1000万持ってたのかよ!」

「私の老のおよ!」

浩司の表が歪んだ。

「じゃあ俺は何だったんだよ!」

母も鳴った。

「あんたが事業を失敗したからでしょう! 2000万円もあげたのに全部使ったのはあんたじゃない!」

ついに親子が互いを責め始めた。

私は静にその姿を見ていた。

これが、母が「族」と呼んできたものの正体だった。

母と浩司の論は止まらなかった。

「俺に1000万くれよ!」

浩司が母へ詰め寄る。

「嫌よ!」

「俺、に追われてるんだぞ!」

「自分で作った借でしょう!」

い息子じゃなかったのかよ!」

母の表が変わった。

派な社だったからかったのよ!」

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誰も言葉を発しなかった。

その言で全てが分かった。

母にとって浩司は、無条件にする息子ではなかった。

「自できる次男」であるだけ価値があったのだ。

に追われてる犯罪者みたいな息子なんて、私の老の役にたないじゃない!」

浩司は呆然と母を見た。

方、美穂は完全に夫を見放していた。

「最

バッグを持つ。

「浩司さん、婚届すから」

「美穂!」

「子供は私が連れていく。養育費は払ってよね」

「待ってくれ!」

の借まで隠してた男と緒にいられるわけないでしょう!」

浩司が美穂のへすがろうとした。

美穂は振り払い、そのまま玄関へ向かった。

「私の実には絶対来ないで」

扉が閉まった。

浩司はに座り込んだ。

母はそれを見ても助けようとしなかった。

私は母へ言った。

「まだ話がある」

母の目に恐怖が浮かぶ。

「もう何なのよ……」

「実のことだ」

母が顔をげた。

「実?」

「今、母さんがんでいる

「私のでしょう」

「違う」

私は父の遺言関係類を示した。

「相続続きはすでにめている。あのと建物は、現俺の管理にある」

母はがった。

「勝に何してるのよ!」

「勝じゃない。正式な続きだ」

「私は30んでるのよ!」

「だから?」

「私のよ!」

「名義と権利は別だ」

母の呼吸が荒くなった。

「俺は、父さんの財産問題を理するため、実の売却をめている」

「売却?」

母の声が裏返った。

「何言ってるの?」

「買いはもう決まっている」

「ちょっと待ちなさい!」

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