"35万円の空冷蔵庫" 第7話
お茶くらいせないんですか?」
弓が反射にこうとした。
私はそのを止めた。
「座ってろ」
「でも……」
「今は何もしなくていい」
美穂は呆れた顔をした。
「そうやって健さんが甘やかすから、弓さんは駄目なんじゃないですか?」
私は答えず母へ向き直った。
「母さん。昨、弓が自分ので買った35万円分の材を全部持っていったな」
「自分の?」
母は笑った。
「夫婦のおでしょう。佐藤のおじゃない」
「弓のパート代から貯めたも入っている」
「だから何? 嫁がのためにを使うのは当たりでしょう」
「それを浩司のへ運んだ」
「美穂さんがべたいって言ったのよ」
「親戚の会は?」
「弓さんがやればいいじゃない。男の嫁なんだから」
母は片の悪もじていないような顔で言った。
襖の向こうで20い親戚がその会話を聞いていることなど、るはずもない。
さらに母は続けた。
「それより健。来から活費8万円ね」
「なぜ増える?」
「物価ががってるでしょう。それくらい分かるわよね」
「浩司の会社を助けるも必なんじゃないのか?」
浩司がびくりと肩を震わせた。
母は気づかない。
「そうよ。いい会だから言っておくわ。あんたののボーナス、全部浩司に渡しなさい」
弓がさく息を呑んだ。
「浩司の仕事、今変なのよ。男なんだから弟を支えるのは当然でしょう」
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「俺の族の活はどうなる?」
「弓さんがもっと働けばいいでしょう」
美穂が頷いた。
「そうですよ。弓さん、子供もいないんだからあるでしょう」
母は勢いづいた。
「そうだわ。弓さん、から毎朝7に私のへ来なさい」
「え?」
「最腰が痛いのよ。掃除も洗濯も変なの。事の準備もして、病院にも付き添って」
私は母の顔を見た。
「毎?」
「当然よ。男の嫁なんだから」
「弓にも仕事がある」
「辞めればいいでしょう」
あまりに平然としていた。
「私のの回りの世話をするのが嫌なら、婚届をいてこのをていきなさい」
弓の体がふらついた。
私はすぐに肩を支えた。
「丈夫だ」
弓は唇を噛んでいた。
「母さん」
私は静かに尋ねた。
「今言ったこと、本気か?」
「本気に決まってるでしょう」
「俺のボーナスを浩司へ渡せ。弓は仕事を辞めて毎おの世話をしろ。断ったら婚しろ」
「そうよ」
母は胸を張った。
「私は佐藤の姑として正しいことを言っているだけ」
その、私の目に浩司の姿が入った。
先ほどから言も話していない。
顔は青ざめ、額から汗が流れている。
「浩司」
私が名を呼ぶと、浩司はびくりとした。
「お、さっきからポケットので何を握ってる?」
「な、何も……」
「俺が渡した封筒だろ」
母が浩司を見た。
「封筒?」
私はゆっくり弟のへ歩いた。
「母さんに見せてやれよ」
「兄貴……」
「おがどこからを借りているのか。
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その借用をな」
浩司の膝が崩れた。
へ座り込む。
「浩司?」
母が駆け寄った。
「どうしたの?」
美穂も眉をひそめた。
「何よ、借用って」
浩司は答えられない。
「なら俺から説する」
私は斎から持ってきたクリアファイルをテーブルへ置いた。
から数枚の資料をす。
「浩司の会社は3に事実破綻している」
母が叫んだ。
「嘘よ!」
美穂の顔も引きつった。
「だって浩司さんは社で……だって現で……」
「売なんてほとんどない」
私は資料を枚ずつ並べた。
「そのも、ブランドバッグも、活費も、会社の利益で買ったものじゃない」
「じゃあ、何のおよ」
美穂の声が震える。
私は母を見た。
「母さんが渡した父さんの遺産だ」
母の顔が変わった。
「何を……」
「父さんがくなった、3000万円い資産が残っていた」
襖の向こうで、さなどよめきが起きた。
母は気づかなかった。
「そんなものないわよ!」
「ある」
私はの記録を置いた。
「おは父さんがくなるにを自分名義の座へ移した。そして約2000万円を浩司へ送った」
美穂が浩司を見る。
「2000万円?」
「違う、美穂、これは……」
「浩司さん、私に何も言ってなかったの?」
「事業のために……」
「事業?」
私は言った。
「事業にはほとんど使っていない」
美穂の顔が歪んだ。
「じゃあ私のバッグとかって……」
「父さんのだ」
リビングが静まり返った。
そして私は、もう枚の類をした。
「現、浩司の借は約800万円」
美穂が鳴をげた。
「800万円!?」
「利の業者から借りている」
「嘘!」
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