みかん小説
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"5枚で消された妻" 第13話

所の々がっていた「さん」という男の活は、跡形もなく消えた。

奈はその、取材に応じることはなかった。

夫として暮らした男が、過に何をしていたのか。

自分との活ので、どこまでが本当の顔だったのか。

その答えをへ語ることはなかった。

そして佐藤啓介。

判決の翌朝も、いつもと同じに署へ勤した。

机のには、すでに別の事件の資料が置かれていた。

犯罪は止まらない。

つ終われば、また次の事件が来る。

佐藤は美幸事件の分いファイルをに取った。

12

5枚しかなかった。

今は、簡単に片では持てないほどくなっている。

資料庫へ戻す

佐藤はさなメモ用を取りした。

黒いボールペンでい言葉をいた。

――たった5枚の記録が、12を耐えた。次は決して、そうならないように。

署名はしなかった。

メモをファイルの最へ挟む。

そして棚へ戻した。

1994412

美幸があのホテルへ向かったぬつもりではなかった。

には弁護士へ会い、婚調が予定通りむか確認していた。

夫の借を自分が負わずに済む方法も聞いていた。

温かいうどんをべた。

これから始まる活について考えていたはずだった。

「財産分与について、いい条件でする」

夫からそう言われた。

苦しい結婚活を終わらせるための最の話しいだと信じた。

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そして、差しされたみ物へをつけた。

それが美幸のを奪った。

その12

しい族と暮らした。

をかき。

け。

子供を育て。

町の々から「真面目な父親」と呼ばれた。

方で、よし子は痛む膝を抱え、毎墓へ通った。

「娘は自分でんだのではない」

その言葉を信じてもらえないまま。

事件の現となったホテルは消えた。

薬局も消えた。

弁護士事務所も閉じた。

関係者も町をれた。

記憶もれていった。

真実を残していたのは、わずかな血液試料と、誰も見ようとしなかった古い資料だけだった。

もし2006の夜。

佐藤が違法薬物事件の帳簿にかれた「」というをそのまま読みばしていたら。

もし、2と4という付のさに違を覚えなかったら。

もし、たった5枚の古い捜査記録を「昔の事件」として棚へ戻していたら。

美幸のは、今も自として記録されたままだったかもしれない。

真実は、自分から声をげることができない。

ただ、どこかに残る。

古い

消えかけた記憶。

忘れられた証言。

保管庫の底に眠るさな試料。

誰かがもう度見つめ直すまで、静かに待っている。

野。

が溶ける頃。

よし子は娘の墓ので最度だけ振り返った。

に揺れる線の煙が、青い空へ細く伸びていた。

12

あまりにもかった。

失われたが戻ることはない。

美幸がきるはずだったも、母が娘と過ごすはずだった々も、誰にも返すことはできない。

それでも。

「自ら命を絶った女性」というたったで終わりかけたは、ようやく本当の姿を取り戻した。

美幸。

31歳。

婚の先に、しいを望んでいた女性。

彼女が最まできようとしていたことを、12になってようやく記録が証した。

よし子は杖をつき、ゆっくり墓にした。

浩司がれたところで待っている。

「帰ろうか」

「うん」

は並んで歩き始めた。

そのろで、が墓を静かに通り抜けていった。

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