"5枚で消された妻" 第6話
そのも、よし子は2度警察署へを運んだ。
答えは同じだった。
兄の浩司も佐々弁護士へ相談した。
「刑事事件としてかすには、犯罪を裏づける証拠が必です」
佐々も悔しそうだった。
「今の段階では、警察が判断を覆すだけの材料がない」
族には何もなかった。
ホテルの部は片づけられた。
薬の現物も、警察が必と判断した範囲以は失われていった。
目撃証言も分に集められていない。
だけが過ぎていった。
方、健は妻の葬儀が終わると、別の所へ向かった。
保険会社だった。
彼は、美幸にかけていた5000万円の命保険を請求した。
しかし、ここで健の計画にきな誤算がじた。
保険契約から2以内の自については、規定、保険が支払われない条件があった。
美幸がくなったのは契約からわずか2か。
保険会社は支払いを拒否した。
健は引きがらなかった。
「妻は自分で命を絶ったのではない」
今度はそう主張した。
「婚のストレスで、誤って薬をみすぎた事故だ」
自ら作りげた「自」という状況を、を受け取るためには「事故」だったと言い換える。
そして保険会社を相取り、保険支払いを求める裁判を起こした。
裁判は引いた。
1996。
最終に裁判所は、現の状況から自の能性がいとして健の請求を認めなかった。
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5000万円はに入らなかった。
借も残った。
だが健は、それ以にきなものをにしていた。
自由だった。
誰も自分を殺犯とは考えていない。
警察は捜査を終えている。
裁判でも焦点は保険の支払い条件であり、殺の無ではない。
健は野県内の別の町へ移った。
過をるがほとんどいない所。
そしてそこで、自分のを最初から作り直した。
1997。
健はしい町での女性と会った。
奈という30代の女性だった。
町でさな美容を営み、元では顔の広い女性でもあった。
健は過について、ほとんど語らなかった。
以結婚していたこと。
の妻がくなったこと。
それだけだった。
「どうしてくなったの?」
奈が度尋ねたことがある。
健はし黙り、
「いろいろあって、自分で薬をんだ」
と答えた。
それ以、話そうとはしなかった。
奈もく追及しなかった。
過に傷があるのだろう。
そうった。
は再婚した。
2には子供もまれた。
健はさな物をいた。
朝は誰よりもく起きた。
になると、のへ積もったを黙々とかいた。
ザク、ザク。
まだ町が完全に目を覚ますから、スコップがを削る音が通りに響いた。
所のが通る。
「さん、いね」
健はを止め、笑ってをげる。
「昨はよくりましたから」
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「腰を悪くしないようにね」
「ありがとうございます」
お元や歳暮の期には、得先へ挨拶にく。
休には子供のを引いて公園へく。
運会ではビデオカメラを構える。
所のたちはを揃えた。
「さんは本当に真面目なだ」
「無だけど、族いだよ」
「いいお父さんだね」
健は、その役を完璧に演じ続けた。
夜。
族で卓を囲む。
奈が噌汁を置く。
子供が学であったことを話す。
健は々笑いながら聞いている。
テレビからるい笑い声が流れてくる。
から見れば、ごく普通の温かい庭だった。
しかし族が眠った。
健はで居に残ることがあった。
照を消し、テレビのだけが顔を照らす。
笑っていない。
何も考えていないようなたい表。
過を悔やむ様子もなかった。
美幸の命にも、彼は墓参りをしなかった。
奈から、
「今はどこかくの?」
と聞かれても、
「いや。にいる」
と答える。
12。
度も遺族のに現れなかった。
その方。
美幸の母、よし子は毎娘の命になると寺へ通った。
最初はで線バスを2回乗り継いでいた。
いステップへをかけ、痛む膝をゆっくり持ちげる。
寺へ着く頃にはが腫れていた。
それでも娘のへった。
1998。
膝の術。
2002。
再び術。
2度目の術以、関節の痛みはさらにくなった。
杖なしでは歩けない。
バスの乗りりも難しくなった。
兄の浩司が言った。
「母さん、俺が代わりにくよ」
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