"白木蓮の偽証" 第9話
掴みいになった。
母が止めに入った。
倒れた。
を掴んだ。
撃。
全員が守ろうとしていたのに。
がんだ。
黒瀬は捜査会議で、その流れをつずつ説した。
「優さんは母親を守ろうとして公平さんへ嘘をついた。沢子さんは公平さんを守ろうとして警察へ嘘をついた。公平さんは母親を守ろうとして17、自分が殺したと嘘をついた」
誰かがさく息を吐いた。
とも。
互いを庇った。
その嘘が。
全員を引きした。
黒瀬は優の帳を閉じた。
「誰も誰かを殺そうとしていなかった」
静かな声だった。
「誰も、本当は誰かを傷つけたくなかった」
だからこそ。
事件は17も続いた。
憎しみからまれた事件なら。
もっと単純だったかもしれない。
み。
。
復讐。
犯のを追えばいい。
だがこの事件で々をかしたのは。
。
慮。
罪悪。
そして。
「相にられたくない優しさ」だった。
沢子のによって、殺について本を件することはできなかった。公平については、優になりすまして駅へ向かい、鞄と携帯を処分した為、そして真相を隠し続けたことについて法検討がめられた。
公平は基礎事実をすべて認めた。
裁判で最に述べたのは。
言だけだった。
「兄さんに謝りたいです」
誰かがいた反省文ではない。
それ以の言葉もなかった。
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兄。
初めて会ったになせてしまった男を。
公平は最までそう呼んだ。
判決。
黒瀬は度だけ公平を訪ねた。
「母親の最期について聞きたいですか」
公平はし迷ってから頷いた。
黒瀬は言った。
「眠るようだったそうです」
「そうですか」
「枕元に、ずっと写真が枚あった」
公平の表が揺れた。
「俺の?」
黒瀬は首を振った。
「優さんとの写真です」
しばらく沈黙。
公平は俯いた。
そして。
「よかった」
と言った。
黒瀬は最初、そのが分からなかった。
なぜ。
17自分を守った母親が。
最期に公平ではなく優の写真を選んだことを。
「よかった」と言えるのか。
公平は静かに続けた。
「兄さんを忘れてなかったんですね」
その。
黒瀬はようやく理解した。
公平が母に守ってほしかったのは。
自分だけではなかった。
8初め、公平は黒瀬へ枚の古い写真を渡した。20024、事件の1半ほどに撮されたもので、蓮のに紺のカーディガンを着た沢子がっている。し困ったような顔でこちらを見ており、写真の端は何度も触られたせいでく擦れていた。
「俺が撮りました」
公平は言った。
「にったのは、あのが初めてでした。母が『蓮っていうんだよ』って教えてくれて」
沢子は写真を嫌がったという。
だから恥ずかしい。
撮らなくていい。
何度もそう言った。
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「でも結局、枚だけ撮らせてくれました」
黒瀬は17、自分が事聴取した沢子の顔をいした。同じ女性なのに、目のの写真はまったく違って見えた。
「これを私に?」
「持っていてください」
「なぜ」
公平は窓のを見た。
「俺が持ってると、母は俺だけの母になってしまうから」
黒瀬は何も言わなかった。
「母は兄さんの母でもありました」
血はつながっていない。
だが。
それが何だというのだろう。
沢子は優を幼い頃から育てた。
学受験のには弁当を作り。
格すれば町ので泣き。
京へたも、帰省のたびに好物を作った。
そして。
最には。
自分のでなせた。
それでも。
母だった。
「これも」
公平が封筒をした。
事件から3にき、せなかった。
便箋には。
〈お母さん、俺は元気です〉
〈あのを切らないでください〉
〈忘れないでいてください〉
黒瀬は読み終わってから丁寧に封筒へ戻した。
「忘れないでほしかった?」
公平は頷いた。
「俺が忘れられなかったから」
蓮は17。
沢子の庭にった。
になればを咲かせた。
はすべて空へ向いた。
向きには咲かない。
沢子は毎そのを見た。
いのに。
優がいることをりながら。
もし切ってしまえば。
本当にのへ埋めてしまうことになる。
だから切らなかったのか。
あるいは。
切れなかったのか。
誰にも分からない。
黒瀬はそのの、嘱託職員も辞めた。
72歳。
警察に関わったとしては分すぎるほどかった。
最の勤務。
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