"白木蓮の偽証" 第4話
黒瀬が沢子の戸籍を最初から洗い直したのは、夜10を過ぎてからだった。17にも確認はされていたが、当注目されたのは「優の実母ではない」という点だけだった。沢子自が藤代へ来るにどんなを送っていたかまでは、捜査対象になっていなかった。
そこで、黒瀬の指が止まった。
1970、沢井博幸と婚姻。
1978、婚。
つまり藤代政治との結婚は、沢子にとって度目だった。
翌朝、沢田が戸籍を遡った。
19748。
男誕。
沢井公平。
婚4歳。
親権は父親。
沢子の戸籍から子の名は消え、その、藤代へ入っている。
「きています」
沢田が資料を机へ置いた。
「現45歳。群馬県伊勢崎の運送会社勤務。独です」
黒瀬は子にもたれた。
17。
自分たちはこの男のをらなかった。
堀美津が見た「親戚の若い男」と齢もう。
公平は事件当29歳。
背丈は165cmほど。
町で目撃された男の特徴とも致した。
捜査本部は任で事を聞くことを決めた。
5旬、黒瀬と沢田は群馬県伊勢崎へ向かった。業団の角にある運送会社の事務所で分を告げると、しばらくして作業着姿の男が裏から現れた。
柄でがっしりした体格。
猫背。
焼けした顔。
を向くように歩く姿を見た瞬、黒瀬は美津の言葉をいした。
「沢井公平さんですね」
男はを止めた。
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「はい」
「野県警です。しお話を伺えませんか」
公平は驚かなかった。
そこが最初に気になった。
勤務先へ突然警察が来れば、普通は何かと聞き返す。ところが公平は瞬だけ目を伏せ、「どこで話しますか」と答えた。
休憩用プレハブへ移った。
黒瀬は最初に沢子の名をした。
「藤代沢子さんをごじですね」
公平は机ので指を組んだ。
「名はっています」
「どういうご関係ですか」
「戸籍のではです」
慎すぎる答えだった。
黒瀬は何も言わず待った。
やがて公平がさく言った。
「実の母親です」
4歳のに父親へ引き取られ、それ以来度も会っていないという。
黒瀬はそこでは追及しなかった。
次に優の名をした。
「藤代優さんをごじですか」
公平の呼吸がわずかに浅くなった。
「聞で見ました」
「あなたにとっては、血のつながらない兄に当たります」
公平は自分のを見つめた。
「そうなりますか」
黒瀬はそこで話を切りげた。
「今はこれで失礼します」
公平は顔をげた。
「え?」
もっと聞かれると構えていた顔だった。
黒瀬はちがり、最に枚の写真だけ机へ置いた。
蓮。
掘り返された根元。
茶い。
公平は写真を見た。
3秒。
4秒。
顔から表が消えた。
そして机ののがさく震え始めた。で押さえたが、今度は両ごと揺れた。
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「あの……」
公平の声が掠れた。
「まだ、あったんですか」
黒瀬は何も答えなかった。
聞報に空きの写真はていたが、蓮について詳しい説はなかった。
「あの、まだあったんですか」
過をるの言葉だった。
黒瀬は写真をしまい、へ向かった。
「もうつだけ」
ドアへをかけたまま言った。
「沢子さんはくなりました」
公平の肩がいた。
「ごじでしたか」
沈黙の。
「りませんでした」
へ戻ると、沢田がきく息を吐いた。
「あの反応、ってますね」
「違いなくな」
「なぜ押さなかったんですか」
黒瀬はシートベルトを締めた。
「押されて自分が悪いと言うは、本当のことを話しているとは限らない」
沢田が首を傾げる。
「公平は最初から、捕まる準備をしているように見えた」
「それなら犯では?」
「だから危ないんだ」
黒瀬は窓のを見た。
「認める言葉ほど、疑え」
その夜。
公平は暮らしのアパートで押し入れをけた。
古い缶のから、枚の写真を取りした。
蓮のにつ沢子。
写真の裏には鉛で、
〈20024〉
とかれていた。
公平はい、その写真を見つめていた。
公平に再び会うまでの9、捜査本部は彼の2003の活を調べた。そこでまず判したのが、額の借だった。2001から2003にかけて消費者融数社から借り入れ、総額は約420万円に達していた。
事件直、公平は内の会社を解雇されている。取引先からに預かったを自分の返済へ回したことが発覚したためで、刑事事件にはならなかったものの、退職はなかった。
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