みかん小説
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"「子なし」離婚の大誤算" 第1話

私が妊娠3かだとったのは、婚の話がほとんどまとまっただった。

産婦科の診察で医師から告げられた、私はしばらく言葉を失った。まだお腹は平らで、を当てても何もじない。それでも、超音波の画面には確かにさな命があった。

その数、私は渡辺健と向かいって区役所のに座っていた。

3。健は何度も腕計を確認していた。

彼の首には計がり、井のい照たく反射していた。午4には空港へ向かわなければならないらしい。

待っているのは、桜井美咲だった。

の初恋の相であり、私たちの結婚活を終わらせた女性でもあった。

目ののテーブルには婚協議が置かれている。

財産分与として、港区のマンション1、自1台、そして現5億円。その条件だけを見れば、世はきっと「分すぎる」と言うだろう。

私は1文字ずつゆっくりと読みめていた。

は苛った指先でテーブルを叩いた。

コツ、コツ、と乾いた音が続く。

さゆさん。そんなにをかける必がありますか」

5夫婦だった私を、彼はすでにのように名字と名で呼んでいた。

「弁護士に作らせた類です。あなたの取り分は1円も減っていません」

「分かっています」

私が答えた、健の携帯話が振した。

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画面に映った名を、私は見るつもりもなかったのに見てしまった。

美咲。

は携帯話を持って窓際へ歩いていった。

「もうすぐ終わる。うん、すぐ空港へくよ」

声をくしていたが、隠しきれない嬉しさが滲んでいた。

「チケットも取ってある。配しなくていい。いい子で待っていて」

話を切って戻ってきた彼は、私がまだ署名していないことを確認すると骨に眉を寄せた。

体、何をためらっているんです?」

私は協議の最のページをめくった。

そこで目が止まった。

婚姻の子――なし。

印刷されたその文字を見た瞬が無識に腹部へ向かった。

そこにはいる。

まだ誰にもられていない、3かの命が。

私は顔をげ、健を見た。

結婚した頃と変わらず、った顔ちだった。通った筋、い目元、仕てのいいスーツ。

けれど今、その顔にあるのは苛ちだけだった。

私と1秒でもく同じ所にいることが、の無駄だとっているようだった。

「渡辺健さん」

私は静かに言った。

「私たち、結婚して5になりますね」

は馬鹿げた冗談でも聞いたようにで笑った。

「だから何です? もっとおが欲しいなら、そう言ってください」

財布から黒いカードを取りし、協議へ投げた。

「暗証番号はあなたの誕です。にあるは全部使っていい。

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これで満でしょう」

私はカードを見なかった。

ただ健の目を真っ直ぐ見た。

「私をしたことはありましたか?」

その瞬、彼の顔に骨な苛ちが浮かんだ。

さゆさん。そんな子供じみた質問はやめてください。私たちはでしょう」

「私たちは夫婦でした」

「過形ですね」

たく訂正した。

「もうすぐ本当にそうなる」

そして私のから協議をひったくるように取り、最の署名欄を指で示した。

「サインしてください。それで終わりです」

彼の声には、わずかな迷いもなかった。

「あなたはを受け取って、あなたのきる。私は私のきる。もう私に執着しないでください」

執着。

その言葉を聞いた瞬、なぜか笑いそうになった。

妊娠を伝えるために、私は何度もで言葉を考えていた。

、赤ちゃんができたの。

私たちの子よ。

今なら、まだ引き返せるのかもしれない。

そんな考えが度もなかったと言えば嘘になる。

けれど目のにいる男を見て、全て消えた。

私はペンを取った。

をゆっくりと滑らせる。

さゆ。

が破れそうになるほどく、自分の名いた。

「どうぞ」

協議を差しすと、健は署名だけを確認した。

そしてらかに堵した顔をした。

私が何か言う能性など、もう考えていない。

自分の分の類をにすると、彼はがった。

振り返りもせず、ドアへ向かった。

で何かをしたようにを止めたが、それでもこちらを見なかった。

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