"ガジュマルの根が暴いた夜" 第5話
慈善団体へ寄付。
被災支援。
学への援助。
聞記事には、柔に笑う吉田の写真が何度も掲載されている。
方、15の事件記録には、吉田への事聴取も残っていた。
「健は真面目な社員だった」
「失踪理由はらない」
「会社内で特別な問題は把握していない」
そして完璧にいアリバイ。
恵美は記事に載る吉田の顔を見つめた。
は15あれば、くのものを作り変えられる。
会社も。
評判も。
過も。
恵美は吉田へ面会を申し込んだ。
数、京都部の層ビル最階にある会へ通された。
広い内には価そうな具が並び、壁には画が飾られていた。
70歳い吉田は髪になっていたが、背筋は伸び、仕ての良いスーツを着ていた。
「田刑事ですね」
吉田は自ら茶を勧めた。
「今はどのようなご用件でしょう。警察のお役にてるなら、何でもお話ししますよ」
恵美はすぐには答えなかった。
目のの老を静かに見つめる。
「15の健さんについて伺いに来ました」
瞬。
本当に瞬だけ、吉田の目が止まった。
しかしすぐに穏やかな表へ戻る。
「君ですか。覚えていますよ」
「どんな社員でしたか」
「真面目で責任のい男でした。突然いなくなってしまって、本当に残でした」
15とほとんど同じ答えだった。
恵美は鞄から写真をした。
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のから発見された3体の遺骨の現写真だった。
「最、さんを発見しました」
吉田の線が写真へ落ちた。
「古寺ののです。3ともくなっていました」
数秒の沈黙。
吉田は息を吐いた。
「……そんなことが」
「何者かに殺害された能性がいです」
吉田はしそうに眉を寄せた。
「何とも痛ましい。ちゃんでしたか。あの子まで……」
演技なら見事だった。
ただ1つ。
吉田が茶碗へを伸ばした、その指先がわずかに震えた。
恵美は見逃さなかった。
会には、張りつめた沈黙が落ちた。
吉田は茶をみ、何事もなかったように茶碗を戻した。
「犯の見当はついているのですか」
「これからです」
「15も経っています。変でしょう」
「が経ったからこそ残るものもあります」
恵美は穏やかに答えた。
吉田の目がし細くなった。
「田刑事。古い過というものは、にそっとしておいた方がいいもあります」
「どういうでしょう」
「く掘り返せば、濁ったが広がるだけかもしれない。誰も幸せにならないこともあります」
忠告の形をしていた。
だが恵美には、脅しのようにも聞こえた。
「私たちの仕事は、被害者へ真実を返すことです」
恵美は席をった。
「がどれほど濁っていても、底に何があるか確認しなければ終われません」
吉田は返事をしなかった。
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会をた恵美は、エレベーターへ向かいながらく息を吐いた。
直では、吉田は何かをっている。
しかし直だけでは逮捕できない。
15の殺事件である。
必なのは、もっと直接な証拠だった。
その、朝建設の古い資料を洗い直した。
当の社員。
取引先。
会計記録。
退職者。
だが会社は15できく変わっていた。
類は廃棄され、も入れ替わっている。
健が調べていたとみられる裏帳簿そのものも、見つからなかった。
捜査は度、壁に突き当たった。
数。
恵美は事件の原点である古寺を訪れた。
倒れたガジュマルは根の部をえられ、専の助言を受けながらて直す作業がめられていた。
川崎尚は、何も聞かずに茶をした。
2は縁側へ座った。
午の差しがの葉を通り、境内へまだらなを落としている。
「尚さん」
恵美は茶碗を見つめたまま尋ねた。
「因果って、信じますか」
川崎はしだけ笑った。
「珍しいことを聞かれますな」
「私は警察官です。証拠がなければ何もできません。でも今回は……15も経っています」
「の法律はが作ったものです」
川崎は庭を眺めながら言った。
「因果は、それよりずっと古い。のでは答えが見つからないでも、が別の形で真実を表へすことはあります」
「例えば、台でが倒れるように?」
「そうかもしれません」
恵美は苦笑した。
「私は法律と証拠を信じます」
「それでよいといます。私は私の信じるものを、刑事さんは刑事さんの信じるものを」
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