"ガジュマルの根が暴いた夜" 第1話
2008の、い台が京都を襲った。と豪は数にわたって町を叩き続け、古い々の瓦をばし、には折れた枝やが散乱した。
京都郊にあるさな古寺も、被害を免れることはできなかった。100以この所にち続けてきた境内のガジュマルの老が、夜のうちに根元から倒れていたのである。
台がった翌朝、職の川崎尚は箒をに境内を歩いていた。60代になる川崎は痩せた体つきで、物静かな表を崩すことがなく、いこの寺で暮らしながら、境内の々やの1つ1つまで切にしてきた。
裏庭へ回ったところで、川崎はを止めた。
倒れたガジュマルの巨な根が面からむきしになり、黒々とした穴がいていた。根はまるでから引き抜かれた巨な爪のようにを抱え込み、その周囲ではに流されたがくえぐれている。
「とうとう倒れてしまったか……」
川崎はさく呟き、老へづいた。
実はこのには、以から奇妙な印象を持っていた。何か特別な現象があったわけではない。ただのを通るたび、言葉では説しにくい苦しさをじることがあった。
い修活ので、川崎はそれを自分のい込みだと考えるようにしていた。古い寺にはくのの記憶が積みなっており、それにが引っ張られているだけなのだろうとっていた。
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しかし、その朝だけは違った。
根のにできた穴を覗き込んだ瞬、胸の奥にい違がった。
川崎は元に注しながら、ゆっくり穴へりた。を吸ったは柔らかく、し踏み込むだけで靴が沈む。
のに、妙なが見えた。
茶でものでもない。にい、青ざめただった。
川崎はしゃがみ込み、指先で湿ったを静かに払った。
最初に現れたのは、丸みを帯びたいものだった。
それがの蓋骨だと理解した瞬、川崎のが止まった。
い修ので、そのものにい恐怖を抱くことはなくなっていた。それでも、ここが正式な墓所ではない以、ただならぬ事があることだけはすぐに分かった。
川崎は度目を閉じ、静かにをわせた。
それから周囲を見渡し、さらに息をんだ。
骨は1分ではなかった。
比較きな2体の骨が並ぶように横たわり、そのすぐそばにさな骨があった。2と幼い子供。
埋葬の仕方はっていなかった。墓穴として丁寧に掘られたというより、急いでをかけたように見える。
それでも3はされていなかった。
まるで最だけは族として寄り添えるよう、誰かが並べたかのようだった。
川崎の線は、幼い骨の周囲に残った布へ吸い寄せられた。
ピンクのさなワンピースだった。
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いでほとんどは失われていたが、襟元のレースはまだ確認できた。たいとい骨のに残る淡い桃が、あまりにも釣りいだった。
「こんなさな子まで……」
川崎の胸が締めつけられた。
その、絡みった根の奥に黒いものが見えた。
慎に引きすと、古いビジネスバッグだった。革は腐し、し力を加えるだけで崩れそうになっている。
川崎はそれ以触れるのをやめた。
これは単なる事故ではない。
誰かが2と子供1を、この所へ秘密裏に埋めた。
そしてい、その事実は誰にもられないままので眠っていた。
川崎の脳裏に、15の来事が蘇った。
1993の。
京都で、という3が突然姿を消した。
夫と妻、そして3歳の娘。
旅の予定もなく、き置きもなく、親族への連絡もない。族全員が夜にして消えたとして、当は域でもきな話題になった。
しかし掛かりがないまま、いつしか事件は々の記憶かられていった。
川崎は穴のに残るさなワンピースを見つめた。
15。
もし目のの3が、あの族だったとしたら。
川崎は穴からがると、寺務所へ戻った。
古い携帯話をに取り、警察へ連絡する。
「境内で、骨が見つかりました」
話の向こうの声が瞬止まった。
「何分でしょうか」
川崎は倒れたガジュマルを見た。
「3です。が2と……幼い子供が1」
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