"嘘を握った右手" 第10話
「俺は……おらを絶対に許さない」
その言葉が、の最の逃げを塞いだ。
えり子はへた。
軽トラック。
運転席の。
聞に包んだ刃物。
倉庫へ戻る。
がずさる。
「何で、それを……」
「万がのため」
「やめてください」
えり子は健のへった。
「最に聞きます」
健は顔をげない。
「資料はどこ?」
沈黙。
「あなたも、私をしたことがあったでしょう」
健がゆっくり笑った。
「おは……誰もさない」
えり子の腕がいた。
健の体がきく揺れる。
が慌てて止める。
「やめろ!」
えり子は振り払った。
「今さらいいにならないで」
「もう終わりました!」
「まだ息をしてる」
はドアへ向かった。
えり子が鍵をかけた。
「どこへくの?」
「俺には無理です」
「あなたの髪が、あのののにある」
の顔が固まる。
「殴ったのも、縛ったのもあなた」
「姉さんだって!」
「私は止めに来たと言えるわ」
その言葉で。
はようやく理解した。
自分は最初から共犯として選ばれただけではない。
必になれば。
1で責任を背負わせるための男だった。
で健が息をしている。
唇がく。
声にならない。
えり子はロープを拾い、へ差しした。
「終わらせて」
は受け取らない。
えり子は無理やり握らせる。
「このがきていたら、2とも終わる」
は震えながら健のろへ回った。
ロープが首へかかる。
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健は残った力でもがいた。
首を子へぶつける。
をかす。
だけは、最までかなかった。
「もっと」
えり子が言う。
の腕が震える。
「かなくなるまで」
倉庫には鉄子がを擦る音だけが残った。
しばらくして。
健の体から力が抜けた。
はロープをした。
壁へもたれ、座り込む。
「終わりました」
えり子は返事をしなかった。
健のそばへく。
首元へを当てる。
その。
健のの親指が、ごくわずかにいた。
も見た。
「まだ……きてる」
えり子の顔には恐怖も涙もなかった。
残っていたのは、計算だけだった。
「じゃあ、確認しないとね」
彼女はもう度。
の刃物を拾った。
全てが終わった。
2は30分く倉庫にいた。
はほとんどけなかった。
えり子だけが、次に何をするか考えていた。
健の携帯話。
偽の契約。
コップ。
割れた瓶。
ロープ。
「を拭いて」
「……」
「く」
はと洗剤でを拭いた。
血はくなった。
しかし板材の隙までは消せなかった。
「ここには置けない」
えり子が言った。
「どこへ」
「沢の。廃棄物集積」
黒い遮幕。
栽培ネット。
2で健を包む。
腕とを縛り直す。
い軽トラックへ運ぶ。
その、健のから数本の髪が落ちた。
ほとんどは握られた拳のに残った。
夜1026分。
えり子は同じ倉庫内にいるの携帯へ話した。
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わざと通信記録を作るためだった。
で、
「別々の所にいた」
と言えるように。
えり子が先にでる。
は健のオートバイでを追った。
い軽トラックは、に濡れた林を沢へりた。
農業廃棄物集積。
がシャベルで面を掘る。
がく、く掘れない。
「どうするんです」
えり子は周囲を見た。
肥料袋。
腐った枝。
古い遮幕。
「から隠せばいい」
遺体のに次々とねる。
最に枝を積んだ。
がそうに聞く。
「匂いで見つかりますよ」
「んだ物だとうでしょう」
「そんなの……」
「その頃には、警察はあなたを探してるわ」
が顔をげる。
「どういうですか」
えり子は答えない。
トラックへ戻った。
2は健の畑へ向かった。
はオートバイを宿舎へ戻した。
えり子は部へ入る。
卓。
グラス。
。
目につく物を片づける。
割れたガラス片の部がベッドへ入り込んでいることには気づかなかった。
卓についた傷も消せない。
彼らは健が、
「自分から突然いなくなった」
ように見せたかった。
しかし現。
通帳。
バイク。
歯ブラシ。
。
何もかも残っていた。
そして最もなもの。
タンス裏の秘密の話。
カレンダーの『佐藤社』。
それらをらなかった。
夜1148分。
えり子は帰宅した。
浴で体を洗う。
を袋へ入れる。
夫へ話。
「張、どう?」
声は普段と変わらない。
夫との話を切った。
健の携帯へ何度もパスワードを入れた。
かない。
午1過ぎ。
えり子は携帯をへ渡した。