"五人目の白い靴" 第8話
荷台の奥に固定された型具箱。のスパナやレンチをすべて取りすと、底板がわずかに浮いていることが分かった。
板をしたから、黄ばんだ聞に包まれた呂敷がてきた。
武田はしい袋へ替え、ゆっくり包みをいた。
ピンクのジャンパー。
い靴。
子供用のヘアバンド。
さな袋。
そして、擦れた名札。
「さの りん」
武田の背をたい汗が伝った。
2001128。
母親が娘を送りしたの装と致していた。
ジャンパーの内側には、母親が縫ったという補修の青い糸まで残っている。
荒川は数mれた所から、その様子を黙って見ていた。
「荒川さん」
武田が呼ぶ。
返事はない。
「佐野凛ちゃんをっていますね」
荒川のが止まった。
わずかな反応だった。
だが武田は見逃さなかった。
「この子です」
凛の写真を見せる。
荒川は目を逸らした。
そのの午、類に残された微量物の緊急鑑定が始まった。
ジャンパーの襟から血反応。
DNAは佐野凛と致。
荒川は凛の事件について逮捕された。
しかし伊藤4に関しては、まだ決定証拠がなかった。
写真。
カセット。
勤務歴。
い靴。
疑うには分でも、4の方を説するにはりない。
取調へ入った荒川は、最初の数ほとんどをかなかった。
武田は急がなかった。
ぬるい麦茶を置き、向かいに座る。
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机のには凛の写真だけを置いた。
夕方。
武田が席をとうとしただった。
荒川がさく言った。
「あの子は」
武田は座り直した。
「最初だった」
「何がですか」
荒川はい、を見つめていた。
「あの子が、最初だったんです」
武田の指先がたくなった。
それは佐野凛についての告であると同に。
「最初」という言葉だった。
なら。
次がいる。
武田はあえて伊藤の名をさなかった。
荒川が自分から話すのを待った。
そして夜。
荒川はようやくにした。
「琵琶の族は」
度、息をんだ。
「最初から殺すつもりじゃなかった」
荒川の供述は、7のへ戻った。
2001128。荒川は浜郊の養魚で臨作業をしていた。仕事をしく切りげ、古いトラックで帰る途、宅をで歩く女を見つけた。
ピンクのジャンパー。
いマフラー。
学習塾の鞄。
佐野凛だった。
荒川は「を教えてほしい」と声をかけたという。そのについては何度聞いても供述が曖昧になり、「へ乗せた」「泣かれた」「怖くなった」という言葉だけを繰り返した。
凛はそのの夜、浜郊のへ連れていかれた。
荒川が以仕事で通ったことのある林。
がほとんど入らない斜面。
そこで凛は帰れなくなった。
荒川はジャンパーやヘアバンドを持ち帰った。
「どうして持って帰った」
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武田が尋ねる。
「分からない」
「捨てれば証拠にならなかった」
「捨てようとしました」
何度も処分しようとしたという。だが燃やそうとすれば煙を誰かに見られる気がし、川へ捨てれば浮いてくる気がした。
だから箱へ入れた。
そして緒に持ち歩いた。
数ヶ。
凛のい靴がだけ元に残っていたが、浜から転居する際に片方を失くした。
ここで武田は供述を止めた。
「違う」
荒川が顔をげる。
「何がですか」
「琵琶の靴は2002製です。凛ちゃんが消えたにはしていない」
沈黙。
荒川の顔から表が消えた。
武田は続けた。
「本物の靴じゃない」
い。
荒川は何も言わなかった。
やがて、掠れた声がた。
「買ったんです」
「なぜ」
「同じようなのを」
凛の事件から数ヶ。
先で似たい靴を見つけた。
買った。
内側に「さの りん」といた。
「なぜそんなことをした」
荒川は自分でも説できないようだった。
「忘れないためだったのかもしれない」
「何を」
「自分がやったことを」
靴は血のついたジャンパーと同じ箱に入れて保管された。その過程で、内側へ凛の血液が移った能性がかった。
ただの証拠ではない。
荒川にとって。
罪をいすための「代用品」だった。
2003。
荒川は津の釣り堀施設へ移った。
その箱も持ってきた。
古い物置のに隠した。
ところがある。
片方のい靴がなくなっていた。
探している最。
くから子供の声が聞こえた。
9歳くらいの女の子。
にい靴を持っていた。