"凍った再婚式" 第11話
今は違う。
刺をべ、本酒をみながら、窓のがゆっくり夕方へ変わるのを眺めた。
急いで夕を作る必もない。
正夫の薬のをいす必もない。
そのことを寂しいとうもあった。
36は、簡単には消えない。
スーパーで正夫の好きだった魚を見ると、今でも瞬を伸ばしそうになる。
テレビでゴルフが流れていると、以なら正夫が見るだろうとう。
朝起きて、2分のお茶を準備しかけたこともあった。
それでも、私はしずつ1分の活に慣れていった。
忘れる必はない。
ただ、自分の活の真んからしずつ正夫をしていけばいい。
その作業には、っていたよりがかかった。
けれど急がなかった。
36かけてできた習慣を、数かで消す必はない。
私にはもう、誰かに急かされる理由がなかった。
婚してからしばらく経ったある、浜さんから連絡があった。
残っていた細かな事務続きが全て終わったというらせだった。
私は話で礼を言った。
「本当にい、ありがとうございました」
「こちらこそ。佳子さんが最初から記録をきちんと残してくださっていたので、めやすかったです」
「昔から、そういうことだけは得なんです」
「得というより、みですね」
話を切った、その言葉を何度かい返した。
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み。
結婚していた頃、誰も私のしていることをそう呼ばなかった。
予定を覚える。
計を管理する。
類を理する。
族の体調を把握する。
それは「主婦の仕事」や「妻の役割」で片づけられていた。
私自も、その程度にしかっていなかった。
でも、あの能力がなければ私は自分の財産を守れなかった。
共座の異変にも気づかなかった。
正夫が分けにしてをかしていることも見逃した。
招待状を見つけた、のまま破り捨てていたら、な証拠を1つ失っていた。
何も誰かのために使った力は、決して無駄ではなかった。
ただ使う相が変わった。
それだけだった。
正夫がそのどう暮らしているのか、詳しくはらない。
退職、以の会社関係者との付きいも減ったと聞いた。
はるかとの関係も、結婚式のを境に終わったらしい。
それ以は聞かなかった。
彼が寂しいのか。
悔しているのか。
しい相を探しているのか。
私にはもう関係がない。
36緒に暮らしただから、完全にだと言い切れば嘘になる。
病気になったと聞けば、配するかもしれない。
くなったと聞けば、何かをうだろう。
それでも、彼のを管理する役目は終わった。
ある朝、私は窓辺に座って抹茶をんでいた。
では豆腐の女性がいつものようにをけていた。
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古い町の根に朝のが落ちている。
観客がまだないで、通りは静かだった。
スマートフォンが鳴った。
玲子からだった。
「今、暇?」
「暇よ」
「京都こうかな」
「来れば?」
「お昼、何べたい?」
以の私なら、正夫の好みを考えたかもしれない。
私はし考えた。
「湯豆腐」
「また?」
「私がべたいの」
玲子が笑った。
「はいはい。じゃあ昼にく」
話を切った。
私は残っていた抹茶をんだ。
昼まで何をしよう。
洗濯は午でもいい。
買い物もで構わない。
本でも読もうか。
し散歩しようか。
そんなことを考えた。
何も特別ではない朝だった。
正夫の再婚式ののような事件は起きない。
弁護士も来ない。
裁判所の類も届かない。
2500万円の退職について考える必もない。
3800万円の隠しマンションもない。
誰かの嘘を暴く必もない。
ただ自分のために過ごす1だった。
私は今、それが番贅沢だとっている。
午、玲子が来た。
2で湯豆腐をべ、くの寺まで歩いた。
帰り、さな菓子ので私はを止めた。
にの菓子が並んでいた。
桜をかたどった桃の練り切り。
あの、祇園霞でべたものによく似ていた。
玲子が私の線に気づいた。
「買う?」
「うん」
2つ買った。
部へ戻り、抹茶を点てた。
玲子が菓子を眺めながら笑った。
「やっぱりいす?」
「しね」
「嫌ないじゃないの?」
私は考えた。
そして首を横に振った。
「議だけど、もう嫌ないではないわ」
314。
正夫にとっては、しいを始めるはずのだった。
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