みかん小説
本棚

"凍った再婚式" 第3話

退職は約2500万円になると聞いていた。

さんは最初から言っていた。

婚を考えるかどうかは別として、おきだけは記録しておいてください」

私はその通りにした。

そして招待状を見つけた翌

事務所の机には、それまで私が持参した資料だけではなく、浜さんが調査した類も並んでいた。

さんは写真を見た。

314

林正夫、藤はるか。

確認するように数秒眺めてから、静かに机へ置いた。

「佳子さん、こちらも調査が終わりました」

私は黙って待った。

「結果は、像していたよりいです」

さんが1枚目の資料をいた。

の8、ご主は京都内にマンションを購入しています」

私は驚かなかった。

ただ額だけを尋ねた。

「いくらですか」

「3800万円です」

机のへ目を落とした。

「支払いは?」

「購入資部分が、夫婦の共財産からています。約8かにわたって分けに引きされたが、複数の経を通って購入資へ充てられています」

私が記録していただった。

数万円。

10万円。

20万円。

にはそれ以

1つだけ見れば活費や個な支に見えるような額を、正夫はしずつかしていた。

「マンションの名義は誰ですか」

「ご主単独です」

さんはすぐに補した。

「ただし、購入原資が婚姻に形成された共財産である以、登記名義だけで全てご主のものになるわけではありません。

広告

財産分与の対象として争う余があります」

私は息を吐いた。

京都に3800万円のマンション。

それが、はるかとの居なのだろう。

結婚式の招待状。

京都のマンション。

カードで支払われた披宴費用。

バラバラに見えていたものが、1つずつ形になっていった。

「もう1つあります」

さんが次の類をした。

「ご主10、遺言を作り直しています」

初めて胸の奥がたくなった。

「内容は?」

「佳子さんへの相続をできるだけ減らし、藤はるかさんへ財産を渡す内容です」

私はしばらく黙った。

36暮らした妻を、夫は自分がくなったの財産からもそうとしていた。

さんは、私の表を見ながら続けた。

「遺言そのものは、形式件を満たしていれば効になる能性があります。ただ、法律の配偶者には定の権利がありますし、続きではまた別の問題になります」

「つまり、全部あのの好きにはできない」

「そういうことです」

さらに、為と財産隠しが確認されれば、婚に伴う財産分与や慰謝料を検討する際のな事になると説された。

私は資料を見つめながら尋ねた。

「314までに、私たちが婚する予定はありません」

「ありませんね」

「その状態で、正夫がはるかさんと婚姻届を提したら?」

さんはまっすぐ私を見た。

広告

「戸籍、佳子さんは現も林正夫さんの法律の妻です。婚姻関係が解消されない限り、別のとの婚姻届がそのまま受理されるものではありません」

つまり正夫は、結婚式だけを先にうつもりなのか。

それとも、本当に自分が自由になれるとい込んでいるのか。

私には分からなかった。

分かったのは、夫が私を完全に置きりにしたまま、しいを始めようとしていることだけだった。

さんは尋ねた。

「佳子さん。ここから、どうめたいですか」

私はすでに答えを決めていた。

「夫が、自分のしいが始まるとっているに」

度言葉を止めた。

「今まで隠していたものを、全部ってもらいたいです」

事務所が静かになった。

さんは数秒考え、それから頷いた。

「分かりました。法にできる範囲でめます」

類へサインするペンの音だけが聞こえた。

それから私は、何もらない妻として暮らした。

を作った。

洗濯をした。

正夫のワイシャツをアイロンにかけた。

の保険更の封筒が届けば、忘れないよう卓に置いた。

毎晩、血圧の薬をんだか確認した。

「薬、んだ?」

、私が声をかけると、正夫はテレビを見たまま答えた。

「ああ、あとで」

「あとでだと忘れるでしょう」

「分かったよ」

そんな会話も、以と何も変わらなかった。

正夫は、私が招待状を見たことをらない。

京都のマンションをっていることもらない。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: