"消えた女将と800万の通帳" 第2話
駅へ向かう、バスを待つ、帰宅に杯だけみたいが次々と入った。
週末には席がりなくなった。
内には10卓ほどしかなかったため、義子はに折り畳みテーブルを2つした。それすら埋まるが続いた。
うどんの頃とは、まるで別のだった。
3か。
義子は売帳をにして、何度も計算し直した。
「違ってへんよな……」
うどん代の商の3倍を超えていた。
賃を引いても、材料費を払っても、正美の料を払っても、まとまったが残った。
5うどんで稼げなかったを、酒はわずか数かで取り戻し始めていた。
正美は帳面を覗き込み、珍しく笑った。
「やっとやな」
「ほんまにな」
義子も笑った。
を続けていてよかった。
そうえた。
だが、そのを最も必としていたのは、ではなかった。
だった。
そしてそのには、義子がどれだけ働いても埋められない問題が、すでに静かに広がり始めていた。
義子のは午3から始まった。
をてへ向かうと、正美が先に来ている。2で野菜を切り、だしを取り、卵を割り、蔵庫の庫を確認する。
午5に。
そこから夜2、遅いには3まで客が途切れない。
閉になると、正美は厨の片付けに入り、最の皿を洗い終える。義子はレジを締め、売を数え、戸締まりをする。
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へ戻る頃には午3を回っていた。
それが週6。
5、ほとんど変わらなかった。
は確実に域へ根をろしていた。
「義子」という本名をらなくても、「よっちゃんの3000円酒」と言えばっているが増えていった。
ところが、が繁盛するほど義子の表は疲れていった。
原因は夫、川武夫だった。
55歳。
若い頃から建設現で雇いの仕事を続け、30く体を使って働いてきた男だった。昔は朝くをて、夕方になると汗と埃にまみれて帰ってきた。
義子も、そんな夫をい支えてきた。
しかし4。
武夫は腰のヘルニアを患った。
まで痺れがるほど悪化し、術を受けることになった。
術自体はうまくいった。
医師からは、
「きちんとリハビリを続ければ、常活にはきな支障は残らないでしょう」
そう説された。
最初の数か、武夫は真面目に通った。
ところが次第にがのいた。
「今、リハビリは?」
義子が勤に聞く。
「腰がいから今はやめとく」
「腰悪いからくんちゃうの?」
「うるさいな。自分の体は自分が分かっとる」
そんな会話が増えた。
半。
1。
武夫は現へ戻らなかった。
しい仕事を探す様子もなかった。
代わりに増えたのが酒だった。
初めは夕方に焼酎を1本。
やがて2本。
3本。
昼からむもてきた。
午3。
義子が仕事へ向かう、武夫は居に座ってテレビを見ながら酒をんでいる。
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夜3。
義子が帰ると、空になった瓶の横で眠っている。
夫婦なのに、起きているに顔をわせるがどんどんくなった。
それだけなら、まだ義子も耐えられたかもしれない。
問題はだった。
武夫には収入がない。
の唯の収入は、義子が酒で稼ぐだった。
最初、義子は々の活費として決まった額を渡していた。
費。
用品。
武夫の遣い。
それでりるはずだった。
だが武夫には酒代が必だった。
でりいとむも欲しがった。
ある夜。
午8を過ぎ、3000円酒が最も混みっているだった。
「よっちゃん、2つ!」
「はい、ちょっと待ってな!」
義子がレジのを通った、引き戸がいた。
武夫だった。
客ではない。
義子は目で分かった。
「何しに来たん?」
武夫は答えず、客のを抜けてカウンターへ来た。
そしてレジのにある引きしをけた。
「ちょっと、何してんの」
現の束を掴む。
「武夫、今営業やで」
「いるんや」
「で話そう。でやめて」
武夫は返事をしなかった。
数万円分の幣をポケットに押し込み、そのままをていった。
内が瞬静かになった。
常連客が気まずそうに義子を見る。
義子はすぐに笑った。
「すんませんな。続きんでください」
そして何事もなかったように注文を取った。
厨の正美も何も言わなかった。
ただ、皿を洗うだけがしくなっていた。
それは1度で終わらなかった。