みかん小説
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"止まったカードと空の家" 第11話

残業が本当か考える必もない。

財布のを確認する必もない。

「ママ」

あやが私を見る。

「最、よく笑うね」

「そう?」

「うん」

その言で分だった。

婚からしばらく経った頃。

の朝。

私はキッチンで朝を作っていた。

「ママー!」

2階からあやの声がする。

「何?」

くして!」

「まだ9だけど」

「遅れちゃう!」

「何に?」

階段を駆けりてきたあやは、子までかぶって準備万端だった。

「猫!」

「ああ」

所の量販で、保護猫の譲渡会がかれる。

、チラシを見つけたあやが言った。

「ママ、猫飼いたい」

私はすぐには頷かなかった。

「最までお世話できる?」

「できる」

「ご飯だけじゃないよ。トイレ掃除もあるし、病気になったら病院にも連れていく」

「分かってる」

「旅も簡単にけなくなるよ」

「それでもいい」

あやの表は真剣だった。

の賃貸マンションでは、ペットを飼えなかった。

今のなら能だ。

私も猫が嫌いではない。

むしろ子供の頃、実で飼っていたことがある。

「じゃあ見るだけね」

そう約束したはずだった。

それなのに、朝からあやは完全に迎える気でいる。

「ママ、キャリーケースもいるよね?」

「だから今は見るだけ」

「でも運命の子がいたら?」

「そんな都よく……」

「いるかもしれないじゃん」

私は笑った。

べ終え、2る。

しいには、同じ代の族もい。

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の向こうから所のを振った。

「おはようございます」

「おはようございます」

引っ越してきた直は、周囲に馴染めるかだった。

けれどあやのおかげで、すぐにいが増えた。

でも友達ができ、休になると誰かが遊びに来る。

より表るい。

私はそんな娘を見るたび、あのの決断は違っていなかったとう。

もちろん、すべてが順調だったわけではない。

続き。

姓や学関係の類。

宅ローン。

仕事と事の両

弁護士とのやり取り。

養育費の確認。

計を背負う責任。

正文と暮らしていたより楽になった部分もあれば、変になったこともある。

けれど、精神さが違った。

誰かに裏切られているかもしれないで暮らすより、自分で選んだ苦労の方がずっと耐えられる。

譲渡会の会へ到着すると、いくつものケージが並んでいた。

成猫。

子猫。

懐こい子。

し警戒い子。

「あっ!」

あやがつのケージので止まった。

さな猫が、隅で丸くなっている。

周りの猫がづく、その子だけはじっとこちらを見ていた。

「この子」

「警戒してるね」

スタッフが声をかけてきた。

「その子、し臆病なんです」

「何歳ですか?」

「推定1歳くらいです」

あやがしゃがむ。

「こんにちは」

猫はかない。

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あやもさない。

ただ同じさから見つめている。

「怖いよね」

さな声で言った。

「私たちもね、しいに来たばっかりなんだよ」

私は何も言わず、その様子を見ていた。

「でも今は楽しいよ」

猫のく。

あやは笑った。

緒に来る?」

その言葉を聞いた瞬

胸の奥が温かくなった。

正文と婚した

私は、

族が壊れた」

っていた。

3だった族が2になる。

りなくなる。

失う。

そう考えていた。

でも、本当は違ったのかもしれない。

族は数で決まるものではない。

血が繋がっているだけで成するものでもない。

緒にいてできる。

切にしたいとえる。

帰りたい所になる。

それなら、2でも族だ。

そしてこれから、しい誰かが加わることだってある。

スタッフから飼育環境や譲渡条件について説を受ける。

勢いだけでは決められない。

な用品。

健康管理。

留守番

の環境。

つずつ確認する。

「今連れて帰れる?」

あやが声で聞いた。

「ちゃんと続きしないとね」

「じゃあ申し込む?」

私はの猫を見る。

猫もこちらを見ていた。

「……族になる準備、する?」

あやの顔が輝いた。

「うん!」

そのの帰り

あやはずっと猫の名を考えていた。

「ミルクは?」

くないよ」

「じゃあモカ」

なのに?」

「ママも考えてよ」

「会ってからでいいんじゃない?」

「名事だよ」

私は笑いながら歩いた。

へ戻ると、リビングには午差しが入っていた。

あやが窓をける。

がカーテンを揺らす。

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