みかん小説
本棚

"元嫁の15枚返し" 第12話

瞬で油が激しくね、がった。

鳴が響き、台所に煙が充満した。

ひよ子のにも油がんだ。

「あなた、うちを燃やす気なの!」

羅はそのから追いされた。

婚約は正式に破談となった。

さらに、婚約にもらった宝類の返還を求める通が届いた。

しかしそれらは桃に持ち逃げされている。

返せない以で弁償するしかなかった。

働いたことのなかった羅は、初めて仕事を探した。

堂の厨で鉄板を磨き、夜はコンビニで働いた。

は荒れ、爪の隙には油汚れが入り込んだ。

それでも借の返済には追いつかなかった。

そんなある堂へ昔の友たちが来た。

「え? 羅じゃない?」

油で汚れたエプロン姿を見られ、羅は反射に嘘をついた。

「違うの。兄が事業を始めたから、現をチェックしてるだけ」

その瞬が厨から鳴った。

羅! くだらない話してないで、く鉄板を洗え! もらってるんだから働け!」

内が静まり、そのさな笑い声が起きた。

羅は顔を真っ赤にして厨へ逃げ込んだ。

そしてのある夜。

の部を誰かが叩いた。

扉をけると、傷だらけの健っていた。

片方の靴しか履いておらず、いシャツ1枚だった。

から逃げ続け、ついに所を失ったのだ。

へ入った健は、へ座るなり言った。

広告

「飯、わせてくれ」

羅ので何かが切れた。

「飯ですって?」

声が震えた。

「お母さんを病院に置いて逃げたが、どの顔で言ってるの!」

横になっていた京子も、くにあった物を息子へ投げた。

「母親を……捨てた……悪い子……」

は謝るどころか、苛った。

「俺だけが悪いのか? 母さんが恵子をあんな扱いしなければ、俺の会社だってこんなことにはならなかった!」

「お兄ちゃんが桃なんか連れてこなければ、私だって破談にならなかった!」

狭い部で3がもみった。

髪を掴み、押しい、互いに責任を押しつけた。

12あのにあった「平」は、本物ではなかった。

恵子1し、働き、し、事も介護も引き受けることで、無理やり保たれていただけだった。

その柱がなくなった瞬

族は互いを支えるどころか、互いをい潰し始めた。

の部で、また言い争いが始まった。

ラーメン1袋を誰がべたのか。

賃を誰が払うのか。

そんな些細なことだった。

争っているうち、健が部の隅に置かれた古いテレビへぶつかった。

羅がごみ置きから拾ってきたブラウン管テレビだった。

今まで何度源を入れても映らなかった。

しかしそのは、突然画面にいノイズがった。

「何だこれ」

が側面を叩いた。

すると映像が現れた。

広告

経済番組だった。

華やかなスタジオ。

その央に、1の女性が座っていた。

羅が最初に気づいた。

「お母さん……あれ」

画面を指差した。

「恵子お姉さんじゃない?」

京子が首をかした。

画面のの恵子は、以とは別のようだった。

きちんとまとめた髪。

落ち着いたスーツ。

真珠のイヤリング。

カメラのでもしも怯むことのない線。

司会者が紹介した。

「今注目を集めた女性経営者、佐藤恵子代表にお越しいただきました」

画面に会社の報が表示された。

恵子がげたコンサルティング法

型プロジェクト。

は数字を見て息を止めた。

自分が「社」と呼ばれながら、度も届かなかった規模だった。

恵子は義父から相続した資産を台として利用し、自分自培ってきた能力を事業へ集させていた。

もともと企業の案件を任されるほどのコンサルタントだった。

まで翻訳の仕事をこなす能力もあった。

それを12、夫の赤字会社や義族の浪費を補うために使っていただけだった。

司会者が尋ねた。

「ここまでののりは、決して平坦ではなかったそうですね」

恵子はし微笑んだ。

「私は12、『良い嫁』でいなければならないとっていました」

京子の表が固まった。

「自分の能力を抑えて、周囲の期待に応えることばかり考えていたんです」

画面のの恵子は、静かに続けた。

「でも、誰か1の犠牲だけで維持されている関係は、族とは呼べないといます」

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: