"元嫁の15枚返し" 第5話
そうして得た収入から、夫の形を決済し、京子や羅のカード代まで支払っていた。
度、締め切りがなって3くまともに眠れなかったことがある。
朝にようやく原稿を送信し、ソファに寄りかかって数分だけ目を閉じた。
そこへ京子が現れた。
「真っ昼から寝てるんじゃないわよ」
濡れた雑巾が恵子の膝へ投げつけられた。
「夫のすねをかじって活してるくせに。仕事してるなんて言いながら、寝てばかりじゃない」
隣でテレビを見ていた羅も顔をしかめた。
「お母さん、お姉さんの寝息がうるさくてドラマに集できない」
恵子は何も言わなかった。
雑巾を拾い、を拭いた。
その、廊の奥にあるさな部へ向かった。
義父・学の部だった。
2にがんを告され、治療を続けていた学は急激にっていた。体は落ち、自分だけでは起きがれなくなり、事から薬、排泄の世話まで必になっていた。
その介護も、すべて恵子が担った。
朝く起き、柔らかくした事をずつべさせる。
薬をませる。
着替えを伝う。
体を拭き、必ならおむつも交換する。
それを終えて計を見れば、もう勤だった。
ある朝、学が恵子の首を々しく掴んだ。
「恵子……すまないな」
「どうしたんですか、お義父様」
「私は、おにひどいことをさせている」
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恵子は笑って布団を直した。
「私はもともと朝がいんです。これくらい平気ですよ」
嘘だった。
夜も午3まで翻訳をしていた。
学は何も言わず、井を見つめた。
その頃、京子も健も、学の部にはほとんどづかなかった。
「薬の匂いがするから嫌」
京子はそう言い、恵子が支払ったカードで買ったコートを着てかけた。
健は父の部のを通る、に通り過ぎるだけだった。
病状が悪化し、学が入院してからも状況は変わらなかった。
ある、京子が病へ来た。
扉をけ、入りから痩せた夫を眺めた。しかし内へは入らず、わずかに顔をしかめ、そのまま扉を閉めた。
学は起きていた。
妻が自分を瞥し、何も言わず帰ったことをすべて見ていた。
それから数、珍しく健が果物を持って現れた。
学は嬉しそうにを伸ばした。
「来てくれたのか。忙しいだろうに」
しかし健は父のを取らなかった。
子をベッドの横へ寄せ、体調を尋ねるに本題へ入った。
「父さん、今決済しないといけない形がいくつかあるんです」
学のが宙で止まった。
「まだ理してない預とかとかないですか。どうせで俺が相続するんだから、し先にもらえませんか」
酸素マスクの向こうで学の呼吸が荒くなった。
「今は……ない」
「そんなはずないでしょう」
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「ない」
すると健の顔に苛ちが浮かんだ。
「父さんはもう、おを使うところもないじゃないですか」
病が静まり返った。
械音だけが規則に響いた。
その、病ので器の揺れる音がした。
おかゆを温めて戻ってきた恵子だった。
に持っていた器が傾き、い汁が指へかかったが、恵子は気づかなかった。
全部聞いてしまった。
恵子は病へ入り、健の腕を掴んだ。
「あなた、お義父様は鎮痛剤でやっと落ち着いているところなの。おの話ならでして」
健は嫌そうに腕を振り払い、廊へた。
「俺の親父だぞ。君に関係ないだろ」
「いくら必なの」
健が額を告げると、恵子はそので携帯話をいた。
満期まで2か残っていた自分の定期預を解約した。それでもりず、の融資枠まで使った。
その夜の支払いは何とかにった。
恵子は最に1つだけ頼んだ。
「その代わり、約束して。度とお義父様の病でおの話をしないで」
健は「ありがとう」とは言わなかった。
「だったら、もっとく何とかしてくれればよかっただろ。俺に恥をかかせるなよ」
そう言い残して病院をた。
その夜、健が向かったのは都の級クラブだった。
そして病の学は眠っていなかった。
しいた扉の向こうで交わされた会話を、最初から最まで聞いていた。
翌朝、学は護師を呼び止めた。
「すみません。話を貸していただけませんか」
そしてある物へ連絡した。
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