"元嫁の15枚返し" 第3話
「もっとひっくり返しなさい。ほら、焦げるでしょう」
「お母さん、だったら自分でやってよ」
「私は指示してるのよ」
やがて京子は、娘を見ながらため息をついた。
「羅、あなたもうすぐ結婚するのに丈夫なの? 嫁にけば料理くらい必でしょう」
羅は呆れたように笑った。
「今の代、お持ちのの嫁が自分で料理なんてするわけないでしょう。向こうへったらを雇うわよ」
桃も胸を張った。
「私も健さんに言われてます。仕事なんかしなくていい、隣で笑っていてくれればいいって」
京子は満そうに頷いた。
「そうよ。あなたたちは恵子とは違うの。うちのにふさわしい嫁は、台所につような女じゃないわ」
3は顔を見わせて笑った。
結局、魚は側だけ真っ黒になり、はほとんどが通っていなかった。串焼きは串から肉も野菜もれ、井くまで煙がち込めて災報器まで鳴り始めた。
神棚へ供えるはずの料理は、まともに1皿も完成しなかった。
京子はエプロンを投げ捨てた。
「もういいわ。料理の1つや2つなくたって、ご先祖様も分かってくださるでしょう」
そして財布を取りした。
「こういうは買い物よ。息子が稼いだおで気分転換しましょう」
羅と桃の表が気にるくなった。
玄関をる、京子は財布のから黒いカードを抜き取り、得げに2へ見せた。
広告
「見て。うちの健のブラックカード。限度額なんてないようなものよ」
3は笑いながら座へ向かった。
そのカードの名義が、健ではないことさえらなかった。
百貨へ入ると、ブランドフロアの従業員たちが丁寧にをげた。、額商品を購入してきた京子たちは顔を覚えられていた。
京子はその挨拶を当然のように受け止め、フロア央で両腕を広げた。
「今は私から2へのプレゼント。好きな物を好きなだけ選びなさい」
桃の目が輝いた。
「お義母様、本当ですか?」
「健が息をするように稼いでくるおなんだから、慮する必なんてないわ」
桃は限定品のバッグを選び、羅も負けじと別のブランドバッグを抱えた。2が選んだ商品の総額は500万円を超えた。
京子は周囲に聞こえるほどきな声で笑った。
「このくらい、うちには何でもないの。息子はに数千万円稼ぐ社だし、だって港区の10億円のペントハウスですもの」
客たちがこちらを見る。
京子は、その線さえ誇らしくじていた。
レジへくと、ブラックカードをへ差しした。
は両でカードを受け取り、端末に通した。
しかし画面を見た瞬、眉がわずかにいた。
もう度試した。
結果は同じだった。
「お客様、申し訳ございません。このカードは現ご利用いただけません」
広告
京子の顔が赤くなった。
「何ですって?」
「利用止の状態になっております」
「械が壊れてるんじゃないの? これは限度額のないブラックカードよ。私がこのでいくら使ってるとってるの」
声がフロア全体へ響いた。
はカードの表裏を確認し、システムの登録報をもう度見た。
「失礼ですが、こちらはお客様ご本の名義ではございません」
「どういうことよ」
「名義様は、佐藤恵子様となっております」
京子のがいたまま止まった。
羅がカードを奪うようにして確認すると、表を張らせた。
「お母さん……本当に恵子お姉さんの名よ」
「そんなはずないわ。システムの違いよ」
京子は財布から別のゴールドカードを取りした。
「こっちでやって」
しかし、それも利用拒否だった。
名義は佐藤恵子。
羅が自分のカードを取りした。
「じゃあ私のを使う。これはお兄ちゃんが学卒業のに作ってくれたんだから」
端末に通す。
拒否。
裏返せば、そこにも恵子の名が刻まれていた。
羅は震えるで自分のバッグを探り、残りのカードをカウンターへ広げた。
百貨カード、用カード、ガソリンカード。
1枚。
2枚。
3枚。
全部、佐藤恵子。
京子も自分の財布を逆さにした。落ちてきたカードを1枚ずつ確認したが、結果は同じだった。
「息子が稼いだ」
だと信じて使っていたカードの名義は、すべて自分たちが3に追いした嫁だった。