"水底に沈めた嘘" 第4話
誰も自然だとは言わなかった。
また、俊助の失踪、文は夫が職で加入していた団体保険の部を受け取っていた。
額はきくなかった。
しかしに判するのは、文がその保険のと支払い条件について、かなりい段階から確認していたという事実だった。
それも、この点では誰もらなかった。
そしてポケットベルの料は、なおも支払われ続けていた。
1998が過ぎ、1999になった。
2000。
2001。
カレンダーだけが静かにめくられていった。
曇野の貯池も、表面は何も変わらなかった。
になれば面へ桜のびらが落ち、には岸辺のが伸びた。にはのがくなり、になると端からい氷が張った。
側の柳のは、毎しい葉をつけた。
俊助が釣りをしていた所にも、週末になれば別の釣りが竿をてた。
2000代に入ると堤防に散歩が備され、民が朝夕歩くようになった。
犬を連れた。
すりにもたれて面を見る老。
り回る子供たち。
貯池は完全に常の景へ溶け込んでいった。
その底に何があるのか、誰もらなかった。
兄の賢介は毎1度、警察署へを運んだ。
「何かしいことはありませんか」
しかし答えは変わらなかった。
「ありません」
2003。
母親がくなり、自も腰の術を受けたことをきっかけに、賢介は警察署へくのをやめた。
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「諦めたわけじゃないんです。ただ、もう耐える力が残っていなかった」
に賢介はそう語っている。
方の文は、しずつへるようになった。
へ買い物にき、教会へ通い、域の集まりにも顔をした。
隣の幸子は、そうした変化を特に議とはわなかった。
はきていかなければならない。
いつまでもへ閉じこもっていることはできない。
ただし、1つだけ気になることがあった。
文は、貯池の方向へ度も歩こうとしなかった。
散歩ができてからも同じだった。
ある夕方、幸子が何気なく誘った。
「今度、貯池の方まで歩きません? がきれいになったんですよ」
文は静かに笑って首を横に振った。
「辺は怖いんです。あののことをいすから」
幸子は申し訳なくなり、それ以誘うことはなかった。
俊助名義のポケットベル料は2003まで支払われ続けた。
6以。
毎同じに、文名義の通帳から引き落とされていた。
やがてポケットベルのサービス自体が縮され、2003、文は解約を申し込んだ。
そして同じの12。
通信会社では古いサーバーからしいシステムへのデータ移作業がわれていた。
期再されていない音声メッセージが自に抽され、削除対象として覧に表示された。
担当職員は、そのの1件でを止めた。
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俊助名義の番号。
未確認メッセージ、23件。
最も古い付が199711だった。
俊助が失踪した、そのである。
職員は削除処理を止め、司へ報告した。
そして警察へ連絡が入った。
事件の類を取りしたのは、しく担当することになった伊藤輔刑事だった。
伊藤は古い捜査記録を最初から最まで読み、すぐ通信会社へデータ保を請した。
200312旬。
伊藤は通信会社の職員と共に、23件の音声を古い順番から再した。
最初のメッセージは、俊助が消える4だった。
女性の声だった。
文ではない。
メッセージは199711から2003まで、約6にわたって残されていた。
発信番号は毎回同じではなかった。
野内の公衆話。
名古の固定話。
番号が残っていないものもある。
しかし声の部分は、同じ女性だった。
「どこにいるの?」
「連絡して」
「待ってるから」
い言葉ばかりだった。
泣きながら途で切れているものもあった。
無言のまま、呼吸だけが記録されているものもあった。
そして2003。
最のメッセージ。
女性はい声で、ゆっくり言っていた。
「もうやめます。これ以は無理です」
伊藤刑事はその音声を何度も聞いた。
この女性は、俊助が失踪したことをらなかったのか。
っていて、それでも6メッセージを残し続けたのか。
伊藤は発信所を1つずつ調べ始めた。
くは野内の3か所の公衆話だったが、名古内の固定話も2件含まれていた。