"消えた御曹司と500万の罠" 第9話
監査の調査所には見えなかった。
悠が子へ座った。
ろから音がした。
振り向く。
「専務……?」
そこに信司がっていた。
「驚いたかね」
たい笑みを浮かべている。
「今回の件は会社にきな損害を与えた。私が直接調査することにした」
悠の胸に嫌な予が広がった。
「専務。私は本当に無実です」
「そうか」
「500万円もりません。そしてき先は、確かに専務から変更されたと――」
信司の顔から笑みが消えた。
「私がいつそんなことを言った?」
「今朝、会社で」
「証拠はあるのか?」
悠は黙った。
「2きりだっただろう」
それだけで全てを悟った。
最初から仕組まれていた。
「どうして……」
信司は答えなかった。
代わりに2の男が現れた。
「スマートフォンをお預かりします」
「なぜですか」
「調査は部との連絡を遮断します」
悠は拒もうとしたが、2に囲まれ、結局渡すしかなかった。
質問が始まった。
「誰から500万円を受け取った?」
「誰からも受け取っていません」
「ではなぜ座へ入された」
「分かりません」
同じ質問が何度も繰り返された。
1。
2。
さえ分に与えられなかった。
「し、をいただけませんか」
悠が頼むと、信司はたく言った。
「調査が終わってからだ」
そこで悠は確信した。
これは調査ではない。
自分を追い詰めるための所だ。
夜になる。
信司が計を見た。
「今はここまでだ」
広告
悠はちがった。
「では、また来ればよろしいですか」
「いや」
信司は平然と答えた。
「調査が終わるまで、ここにいてもらう」
「それは監禁です」
悠が声をげた瞬、男たちが両腕を押さえた。
「潔なら配する必はないだろう」
信司はそれだけ言い残し、倉庫をていった。
悠は窓のない部へ連れてかれた。
古いベッドと子だけ。
から鍵をかけられる。
悠は何度もドアを押したが、かなかった。
夜。
から男たちの声が聞こえた。
「までに自させろってさ」
「無理なら?」
「別のを使うしかないだろ」
背にたい汗が流れた。
このままでは危ない。
午2頃。
が静かになった。
悠はポケットを探った。
スマートフォンは奪われたが、自宅やの鍵は残っている。
細い鍵をドアの隙へ差し込み、何度もかした。
10分以試した頃。
カチッ。
さな音がした。
ドアがいた。
悠は靴を脱ぎ、に持って廊へた。
れたところで見張りの男が子に座ったまま眠っている。
非常まで数メートル。
息を殺してむ。
あとし。
その。
「誰だ!」
悠はった。
非常をける。
警報音が鳴り響く。
「逃げるぞ!」
階段を駆けりる。
背から複数の音。
1階の扉を押しけると、たい夜気が顔を打った。
悠はでった。
ろでのエンジン音がした。
広告
ヘッドライトが背を照らす。
へ入る。
までり始めた。
次第にくなる。
肺が焼けるように痛い。
それでも止まれない。
そのだった。
突然、のに別の映像がなった。
暗い夜。
。
誰かの叫び声。
追われている。
――逃げろ!
らないはずの記憶。
悠のがもつれた。
濡れた面で滑り、激しく転倒する。
を面へ打った。
界が揺れる。
ろでが止まった。
「いたぞ!」
逃げなければ。
悠はとうとしたが、に力が入らない。
ここで終わるのか。
その。
くからサイレンが聞こえた。
「パトカーだ!」
「撤退しろ!」
男たちのが急発し、のへ消えた。
悠はのへ倒れた。
識がれていく。
最に見えたのは、づいてくる青いだった。
同じ頃。
朝グループ本社。
健造の机へ、い封筒が置かれた。
「会。ご依頼の検査結果です」
鈴が告げた。
健造は見る気になれなかった。
「そこへ置いておいてくれ」
「しかし……」
「を受け取るようなが、私の息子であるはずがない」
健造は疲れ切った声で言った。
鈴がていったも、い封筒は机の端に残った。
仕事へ集しようとする。
しかし線が何度も封筒へ向かう。
やがて健造はため息をついた。
「確認だけだ」
封を切る。
類を取りす。
線が数字のところで止まった。
親子確率。
99.99%。
健造の呼吸が止まった。
もう度読む。
数字は変わらない。
「……悠」
類が震えた。
本当に息子だった。
20探していた。
目のにいた。
それなのに自分は疑った。
信司の言葉を信じた。