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"ブサ婿の正体" 第8話

「そうじゃなくて」

剛はさく息を吸った。

「親が決めた結婚でも、借のための取引でもなくて」

テーブルのに置かれたケーキの横で、剛のがわずかに震えていた。

「あなたが選ぶ形で、もう度俺と結婚してほしいです」

私は言葉を失った。

「条件でも取引でもないです」

剛はゆっくり言った。

「咲さん自が選んでください」

胸の奥がくなった。

それでも私は、最にどうしても言わなければならないことがあった。

「私、最初からがあったんですよ」

「はい」

「あなたを利用して、両親の借から逃げようとっていました」

っています」

「そんな私でも?」

「はい」

剛は迷わなかった。

「それでも、あなたが好きです」

涙が溢れた。

今度は隠すことができなかった。

声をして泣いた。

子供のように。

化粧も崩れた。

も赤くなった。

綺麗な泣き方ではなかった。

でも止める必もないとえた。

剛は何も言わなかった。

ただ私の隣へ座った。

そしてし迷うようにを伸ばし、私のを握った。

温かかった。

きくて。

器用で。

静かなだった。

私は泣きながらった。

私はずっと、誰かの具だった。

親のために働く娘。

を返すための商品。

綺麗な顔を利用される

でもこのは、1度も私を具にしなかった。

7から。

ただ見ていた。

私が苦しんでいることを覚えていて。

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何も求せず。

私自を見ようとしてくれた。

それだけで。

私のは変わった。

私は剛のを握り返した。

「はい」

声は涙で震えていた。

「今度は、私が選びます」

剛は何も言わなかった。

しの、私のを握ったまま。

さく頷いた。

それだけだった。

でも、その瞬

私たちのにあった「取引としての結婚」は終わった。

そして初めて。

私たちは自分たちで夫婦になることを選んだ。

私と剛は2だけでき、改めてさな式を挙げた。

豪華な披宴はしなかった。

両親のためでも。

会社のためでも。

誰かに見せるためでもない式だった。

私はいドレスを着た。

鏡ので自分を見ると、議な気持ちになった。

なら、綺麗に見えることを誰かに利用される気がして嫌だった。

でも今は違った。

剛が隣にった。

とは体型も変わり、鏡もなくなった。

しいスーツがよく似っていた。

剛は私をしばらく見た。

「何ですか?」

私が聞くと、剛はく答えた。

「綺麗です」

それだけだった。

でも分だった。

帰国してからも、私たちの活はきく変わらなかった。

私は週2回、所の料理教へ通い始めた。

誰かにけと言われたからではない。

自分がきたかったからだ。

そのことが嬉しかった。

剛も週1回、運するようになった。

健康診断で、性脂肪も肝臓の数値も正常範囲へ戻った

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剛は結果表を持って、わざわざ台所まで来た。

「咲さん」

「はい?」

「全部、正常になりました」

私は包丁を置き、結果表を見た。

「良かったですね」

「はい」

剛はし嬉しそうだった。

そんな常だった。

ではない。

でもない。

でも毎が、ちゃんとそこにあった。

毒親かられたからといって、22の記憶がすぐ消えるわけではなかった。

に突然になることもあった。

父の鳴り声をに見ることもあった。

買い物をする、自分のためにいものを選ぶだけで罪悪が湧くこともあった。

「私なんかが」

そうってしまう瞬は、まだ何度もあった。

そんなも剛は、丈夫だと繰り返したりしなかった。

解決方法を押しつけることもない。

ただ隣にいた。

同じ部で本を読んでいる。

同じテーブルで事をしている。

それだけだった。

でも、私にはそれが何よりかった。

ある夜。

に私が器を洗い、剛が横で布巾を持って拭いていただった。

剛が珍しく自分から話し始めた。

「俺も、子供の頃はあまり見てもらえなかったんです」

私はを止めた。

剛は皿を拭きながら続けた。

「御堂の跡取りとして期待されるか、役にたないは邪魔者みたいに扱われるか。どちらかでした」

私は黙って聞いた。

「俺というそのものを見てくれるが、族のにいなかったんです」

剛はし笑った。

「だから太っていくことにも気づかなかったし、も顔もどうでもよかった」

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