"ブサ婿の正体" 第4話
母名義の消費者融4社分。
父名義の債務。
個から借りていた分。
すべてに返済済みの記載があった。
のには額も並んでいた。
見覚えのある数字。
総額、約1200万円。
が震えた。
「これ……どういうことですか?」
「俺がて替えました」
剛は淡々と言った。
「両親はらないです。俺が自分でしました」
「どうして……」
「もう取りては来ません」
私は何度も類と剛の顔を見比べた。
「どうして、そこまで……」
剛はしだけ目を伏せた。
「あなたを救いたかっただけです」
私は息を呑んだ。
「結婚活について、俺から何か求するつもりもありません。のことも、仕事のことも、全部自由にしてください」
「でも……」
「俺に慮しなくていいです」
剛は続けた。
「どこかへきたければっていい。働きたければ働けばいい。何を選ぶかは咲さんが決めてください」
そして、あまりにも静かな声で言った。
「ただ、自由でいてほしい」
胸の奥で何かが揺れた。
「あの夜みたいに、1で泣かなくていいように」
剛は最に言った。
「この結婚を利用してくれていいんです」
私は俯いた。
「それでいいんです」
その瞬。
ずっとのに積みげてきたものが、音もなく崩れ始めた。
私は最初から、このを利用するつもりだった。
持ちの息子と結婚して、親の借を片づけてもらう。
そのは自由になればいい。
など必ない。
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そうっていた。
そんな打算でいていた私に。
このは、「利用していい」と言った。
見返りも求めず。
私を責めることもなく。
自分が何かを得ようともせず。
ただ自由になってほしいと言った。
「私……」
声が震えた。
「あなたを利用しようとっていました」
「っています」
私は顔をげた。
「ってたんですか?」
「そういう事だろうとっていました」
「それなのに?」
「はい」
涙が落ちた。
私は慌てて顔を背けたが、次々に溢れて止まらなくなった。
父には役にてと言われた。
母には族なんだから分かってくれと言われた。
誰かに受け入れてもらうためには、必ず何かを差しさなければならないとっていた。
。
。
労働。
。
役につこと。
綺麗な顔。
そのどれかがなければ、自分には価値がないとっていた。
でも、このは違った。
私の打算も。
さも。
醜い考えも。
全部分かったで、それでいいと言った。
私は両で顔を覆った。
声を抑えながら、ただ泣いた。
剛は何も言わなかった。
背を撫でることもしなかった。
無理に慰めることもなかった。
ただ、そこにいた。
それが私にはちょうどよかった。
どれくらい泣いていたのか分からない。
やがて涙がしずつ止まり、私は顔をげた。
剛は変わらず同じ所に座っていた。
「ごめんなさい」
私が言うと、剛は首を横に振った。
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「謝らなくていいです」
「でも……」
「泣くことは、謝ることじゃないです」
静かな言葉だった。
「泣きたいは、泣いたらいいといます」
また涙がそうになった。
私は何も言えず、さく頷いた。
剛はちがるとキッチンへき、コップ1杯のを持って戻ってきた。
「どうぞ」
「ありがとう」
受け取ってんだ。
ただそれだけのことが、どうしようもなくありがたかった。
完済証を見た翌朝。
母から話がかかってきた。
私はし迷ってからた。
「もしもし」
母は挨拶もせずに言った。
「咲ちゃん、剛さんのカードって使えるわよね?」
私は黙った。
「まだちょっと残ってる支払いがあって。御堂さんのおなら、それくらい何でもないでしょう?」
以の私なら、何とかしなければとったはずだった。
父と母が困っている。
私が助けなければ。
族なんだから。
そう考えた。
でも、その朝は違った。
「使えません」
「え?」
「もう、おはしません」
母の声が変わった。
「ちょっと咲、何を言ってるの?」
「もう連絡しないでください」
私は話を切った。
が震えていた。
3分、今度は父から着信があった。
画面に表示された名を見て、臓がきく鳴った。
なかった。
もう度鳴った。
それでもなかった。
やがて留守番話へ切り替わった。
「咲、お父さんだ。母さんから聞いた。勝なことをするな。族だろう。
話しいをしろ」
昔なら、その声を聞くだけで体が固まっていた。
私は最まで再し、削除ボタンを押した。
廊にったまま、自分のを見た。
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