みかん小説
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"追放母の25億売却" 第9話

はファイルから、最類を取りした。

「そして、これがこのの売買契約です」

旧所者としての名があり、者として投資会社の名称が記されていた。

健太は類から目をせなかった。

「母さん、本当に僕たちは、ここをていかなければならないのか」

声は、助けを求める子供のように震えていた。

里奈も泣きながら、へ縋るような線を向けた。

しかしの表は変わらなかった。

「ええ。契約の通り、1か以内にこのけ渡してもらいます。それがしい所者の向です」

母親としてではなく、資産を管理する1としての声だった。

はさらに別のファイルを取りした。

「もう1つ、伝えておかなければならないことがあります」

には、公益財団法の設に関する文字が記されていた。

「私がかけて築いた財産の使いを、決めました」

類には、が所する産、価証券、預部分を財団へ寄付することが記されていた。

「故郷の崎で、恵まれない環境にいる子供たちのために使います。お配をせずに学び、を追いかけられるようにするための奨学財団です」

里奈が信じられないという顔をした。

「全財産を寄付するんですか。それでは、私たちには……」

その言葉を聞き、は里奈へ静かな線を向けた。

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「私の財産は、1円もあなたたちには渡しません」

の望みまで断ち切る言葉だった。

を失っても、いずれの財産を相続できる。里奈はのどこかで、そう考えていたのだろう。

健太は呆然とち尽くしていた。

は息子を真っ直ぐに見つめた。その瞳にりはなく、しみだけがあった。

「健太。あなたには学も、留学も、このも与えた。私がしてあげられることは、すべてしてきたつもりよ」

はゆっくりとがった。

「でも、切なことを教え忘れていたようだね。おでは買えないの尊さと、自分のつことの本当のを」

は、打ちひしがれる息子の肩へを置いた。

それは、母親として与える最のぬくもりだった。

「これからは、自分のきていきなさい。ゼロからもう度、自分の力だけでを築きなさい」

健太の顔が歪んだ。

「それが、私があなたへ与える最です」

健太はそのへ崩れ落ち、子供のように泣いた。

の宣告から1が過ぎた。

健太と里奈は魂が抜けたように静まり返ったペントハウスで、ただが過ぎるのを待っていた。未来への展望は失われ、1かの退期限だけがくのしかかっている。

2に会話はなかった。

健太は、里奈が母親と計画してを侮辱したことを許せずにいた。

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里奈もまた、自分を責める夫の顔をまともに見ることができなかった。

そのの午、インターホンが鳴った。

健太が扉をけると、両に買い物袋を提げたっていた。

「母さん……」

は何も言わずにへ入り、真っ直ぐキッチンへ向かった。袋から材を取りし、調理台のへ並べていく。

ごぼう、参、里芋、鶏肉。きな老と、ぷら用の野菜もあった。

2、里奈がごみ袋へ捨てた料理と同じ材料だった。

「何をしてるんだ、母さん」

健太が力なく尋ねると、は振り返らずに答えた。

「晩御飯の支度よ。お腹、空いたでしょう」

は袖をまくり、黙々とごしらえを始めた。包丁がまな板を叩く音、油がねる音、醤油と汁のりが、絶望に満ちた部しずつ広がっていった。

あまりにもで、温かな景だった。

その温かさが、かえって健太と里奈の胸をく抉った。

やがてダイニングテーブルには、煮しめ、ぷら、老の艶煮、炊きたてのいご飯と噌汁が並べられた。

本来なら、お盆の最初のに3で囲むはずだった卓だった。

「さあ、めないうちにべなさい」

に促され、3い沈黙ので席へ着いた。

健太は目のの煮しめを見つめた。幼い頃からべてきた、母のし甘い

それを自分は、妻がごみへ捨てるのを止めなかった。

箸を持つが震えた。

「ごめんなさい」

健太のから、嗚咽とともに言葉が漏れた。

「母さん、本当にごめんなさい」

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