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"追放母の25億売却" 第8話

「ずっと母さんを騙してたのか」

里奈の顔が恐怖で歪んだ。

「健太、違うの」

「何が違う。昨のことも、全部君と君の母親が仕組んだのか」

健太の声が部へ響いた。

里奈は言い逃れできないと悟ったのか、そのへ泣き崩れた。

「だって、お母様が、あんな貧しい姑がいたらあなたの世にも響くって。私たちの活を守るためには、仕方なかったのよ」

その言い訳を聞いた瞬、健太ので何かが切れた。

していると信じていた妻の本性。そして、その妻と緒になって、自分も母親を傷つけていた事実。

夫婦のまれた亀裂は、修復できないほどいものになった。

の午11半、ペントハウスのインターホンが鳴った。

弁護士が来たのだろうと考え、健太は取りで玄関へ向かった。しかしドアスコープを覗き込んだ瞬、息をんだ。

っていたのは、だった。

まで着ていた、使い込まれたブラウス姿ではない。仕ての良い落ち着いたのスーツにを包み、髪も品にえられている。

背筋はまっすぐに伸び、周囲の空気まで張り詰めているようだった。々しく見えた老婆の姿はどこにもなく、そこにいたのは圧倒を持つ1の女性だった。

健太は縛りに遭ったようにけなかった。

は静かな目で息子を見つめ、言だけ告げた。

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「入るよ」

無を言わせない響きに、健太は反射に体をずらした。

はリビングへ入ると、顔をした里奈を瞥し、央のきなソファへ腰をろした。まるで、自分の所へ戻ってきた者のように堂々としていた。

健太と里奈は、そのち尽くすしかなかった。

「あなたたちが驚くのも無理はないね。今まで本当の私のことを、何も話してこなかったから」

質な鞄からいファイルを取りし、テーブルのへ置いた。

「いい会だから、私が何者なのかをきちんと話しましょう」

ファイルをき、最初に取りしたのは、都内の図だった。いくつもの所に印がつけられている。

「これは私が所している産の覧です」

の指が図のを滑った。

町にオフィスビルが2棟。座に商業ビルが1棟。表参にも、いくつか舗用の物件を持っています」

淡々と語られる内容に、健太と里奈は顔をげた。

本のと言えるに、複数の産を所している。現実の話とはえなかった。

「そんな……どうして母さんが」

健太がかすれた声をすと、は息子を真っ直ぐ見つめた。

「あなたのお父さんが残してくれた、わずかな保険と退職。それに私が建設現で稼いだわせて、を買ったのよ」

くを見るような目で、過を語った。

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「まだ京が今ほど発展するの話。の価値を教えてくれた子という友がいてね。そのの助言がなければ、今の私はなかった」

「それなら、どうして清掃の仕事なんか……。どうして僕に何も言わなかったんだ」

健太の問いは、責めるというより懇願にかった。

の表が、ほんのしだけ揺れた。

「言えるわけがなかったでしょう」

静かな声に、抱えてきた痛みが滲んだ。

「あなたが学へ入り、きな会社へ就職して、派なお柄のお嬢さんと結婚した。そのに、建設現がりで今も清掃員をしている母親がいたら、恥ずかしいいをするんじゃないかとったの」

は胸へを置いた。

「友達や会社の、里奈さんのご両親に、胸を張って私を紹介できるかしら。うちの母は清掃員ですって、言えるかしら」

健太は唇を噛み、目を伏せた。

までの自分なら、ためらったかもしれない。その事実が、何よりも恥ずかしかった。

「私はあなたの荷になりたくなかった。だから正体を隠して、貧しい母親のふりをして、くから成功を見守ることがだとっていたのよ」

歪んでいたかもしれない。

しかし、それは息子をう母親の真だった。

健太の目から涙が流れた。母は自分のために、これほどきなものを隠し、質素な暮らしを続けていた。

里奈も俯き、肩を震わせていた。自分が見していた女性が、実際には自分たちとは比較にならない資産を持ちながら、あえて慎ましくきていた。

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